デジタルトランスフォーメーション デジタルの力で未来を変える

Case study 01 大成建設が「働き方改革」に注力 「いつでもどこでも仕事ができる」環境を整備スーパーゼネコンが取り組むデジタル変革とは?

要となるコミュニケーションツールの選定要件

桔梗原:大成建設は全社コミュニケーションツールとして、Office 365を選定しました。選定にあたっての要件はどのようなことでしたか。

平野啓司氏:Office 365は建設業を含む多くの企業や団体での導入実績が高く、国内と海外のどこでも使うことができ、世界のデファクトスタンダードとして使われているためです。建設現場において情報共有やコミュニケーションを行う場合でも、その基盤が世の中で広く使われているクラウドサービスであることが非常に大きなメリットです。

情報を保管するデータセンターが国内にあり、セキュリティポリシーが明確だったことも決め手の1つです。私たちはお客様の情報も取り扱いますが、なかには、国外へのデータ持ち出しやデータ保管を禁止しているお客様もいらっしゃいますので、国内にデータセンターがあり、準拠法および裁判地ともに日本の法律適用下に置かれることに安心感があります。

現在は、現場で働く社員にもOffice 365を利用できるタブレットを配布して、いつでもどこでも情報を共有できるようにしています。オフィスに戻らなくても仕事が進められるようになっています。これによって、移動時間や承認待ち、返答待ちなど付加価値を生まない時間を大きく削減できました。

また、今回は導入にあたりマイクロソフトコンサルティングサービスを活用し、働き⽅改⾰実現のための⽣産性向上の評価指標として、時間の創出と業務のスピードアップの「時間」を設定しました。ターゲットモデルを絞りこみ、 当該部署の社員にヒアリングのうえ業務分析を⾏い、コミュニケーションの環境整備による時間創出等の効果を定量的に推定しました。そしてこの定量効果により費⽤対効果を検証し、さらに導⼊後の測定/ヒアリングにより達成度を評価することにしたのです。

図1 オフィスの「定住度」による4分類

昨年11月に実施した調査の結果では、社員1人当たりの時間創出効果は月間8時間という結果が得られました。アンケートの回答者はおよそ8千人(全社員の約9割)なので、全体では月あたり約6万5000時間の時間を創出できていることになります。これは、当初の予測の倍以上の効果です。現在、さらに正確な効果測定を進めているところですが、11月に得られた結果について社員の時間単価を考えれば、財務上の効果も大きいと考えています。

図2 働き方モデルの全体像

人が変わらなければ「働き方改革」にはつながらない

平野拓也氏:大成建設様の取り組みで素晴らしい点は、ICTツールの導入と同時に社員の方々が積極的にICTツールを活用し、働き方を変えた点だと思います。だからこそ、これほど大きな効果が表れたのだと思います。

ICTツールを導入しただけで「働き方改革」が実現できるわけではありません。社員の方々が、それをいかに使いこなすかが重要なのです。

デジタルトランスフォーメーションというと、テクノロジーに注目が集まりますが、実はそれを活用する人がいかに変わるかというところが重要です。最新のテクノロジーを導入しても、人の働き方が変わらなければ「働き方改革」につながりません。「社員力」が成功の鍵を握っているのです。

桔梗原:「働き方改革」に取り組む際に、何か留意すべきことはありますか。

平野拓也氏:それぞれの企業が、自社のビジネスを成長させるインパクトポイントを明確にして、それを達成するために既存のプロセスを見直していくことが重要です。

私は、日本マイクロソフトに来る前に3年間、中央・東欧州地域を統括してきました。外から見ていて、日本企業がプロセスを重んじるあまり、本来の能力が十分に発揮できていないことがあり、もったいないと感じることがありました。

日本では100%の品質を求めて過剰にリソースを振り分けがちですが、狙うインパクトを具体的に設定してデジタルトランスフォーメーションを推進することが大切です。デジタル化することを目的にするのではなく、インパクトを引き出すポイントに最新のテクノロジーを活用して変革を進めれば生産性を大きく向上することが可能です。これによって、ビジネスは大きく成長するはずです。

これに加え、もう1つ重要なことがあります。それは経営トップの強いコミットメントです。「働き方改革」は、特定の部署や仕事を対象とした改革ではありません。全ての社員を巻き込む取り組みです。これを認識してもらうには、トップのコミットメントは欠かせません。

現時点の判断によって5年後に大きな格差が

桔梗原:デジタルトランスフォーメーションをどのように捉えてらっしゃいますか。

平野啓司氏:人手の作業が多い建設業は、デジタルトランスフォーメーションとは縁遠いと思われる方も多いかもしれません。しかし、私たちも最新のテクノロジーをしっかりとウォッチしています。

デジタルテクノロジーによって業界の勢力図がひっくり返ることがいつでも起こりうると感じています。AIやIoTを活用した新しいビジネスモデルを引っさげて、非建設業者が我々の市場を侵食してくる可能性もゼロとはいえません。

大成建設は、新しもの好きで好奇心が旺盛な企業風土を有しています。チャレンジ精神をもって、変革の機会を継続的に探しています。

平野拓也氏:デジタルトランスフォーメーションに取り組む際には、3年後や5年後といった少し先のビジネスをイメージすることが大切です。テクノロジーの知見も必要ですが、ビジネスに対する嗅覚の方が重要かもしれません。

AIやIoTなど新しいテクノロジーの活用が始まっている今、何に取り組むかを判断すべきだと思います。現時点の判断が、5年後の大きな格差につながる可能性もあります。

桔梗原:大成建設ではICT関連で今後、どのようなことを計画しているのですか。

平野啓司氏:現在、開発している業務システムのうちのいくつかは、マイクロソフトが提供するクラウドで稼働させる予定です。

平野拓也氏:サーバー環境を提供するクラウドサービス、「Azure」ですね。そのほかにも、現在、御社技術センターにおいて、スーパーコンピューターで処理している大規模技術計算をマイクロソフトのクラウドで試行・評価していただいています。また、MR(Mixed Reality:複合現実)技術としてマイクロソフトの「Microsoft HoloLens」を活用することにも興味を持っていただいており、検討セッションを開催させていただいています。

平野啓司氏:最新のテクノロジーを活用して、より使いやすい環境、より生産性向上に寄与するシステムに育てていきたいと考えています。御社と今まで以上に連携を深めて、デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいきたいと思っています。

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