「イソジン®」を世界で初めて製品化したムンディファーマ日本進出から55年目の節目を迎え、日本でのビジネスを強化

「イソジン®」の登録商標を持つことで知られるムンディファーマは、長年、欧米市場中心にビジネスを展開してきたが、2011年になって欧米以外の市場におけるさらなるプレゼンス拡大を決め、アジア、アフリカ、南米などで急速に売り上げを伸ばしている。日本市場については、主に提携を通じて半世紀以上にわたり製品を提供してきたが、2016年のイソジン®承継を機に重点投資を開始、2016年末までに人員を2倍の100人前後に増やすという。日本を含むエマージング・リージョンを統括するラマン・シン氏に新たな取り組みについて聞いた。
写真:ラマン・シン氏
アジアパシフィック・中南米・中近東・アフリカ担当
プレジデント
ラマン・シン氏
  • ムンディファーマのグローバルな全体像についてお話しください。
     ムンディファーマは、アメリカを発祥とし、製薬事業に関わる独立関連企業ネットワークで、医薬品の研究開発から製造、商品化までを手がけています。ポートフォリオは多角的で、疼痛、呼吸器関連、がん、およびコンシューマーヘルスケアを提供しています。一般消費者向け製品にはイソジン®(日本以外では主にBETADINE®)などがあります。弊社の社名を知らない方でも、イソジン®はご存じでしょう。

     独立関連企業ネットワークとしてグローバルに展開しており、現在120カ国以上の市場に参入しています。北米と欧州以外の地域、すなわち日本を含むアジア、オーストラリア、ニュージーランド、中東、アフリカ、そしてメキシコからチリに至る中南米市場を私が管轄しています。

     2011年にグローバル戦略の見直しが図られ、北米と欧州以外の地域にビジネスを拡大することが決定されたことを機に、2012年にアジア、2013年に南米、2014年には中東・アフリカという形で重点的に投資を進めてきました。結果、わずか4年の間に急成長を遂げました。

     日本市場に対しては、以前から高い関心を持ってきました。旧・明治製菓とイソジン®のライセンス契約を締結したのが1967年ですので、以来50年以上にわたって日本市場に関与してきたことになります。2012年には、販売提携だけでなく、日本市場へのより直接的な参入を目指すという決定が下りました。

     具体的には、がん領域に関して治療薬を2剤、日本で開発しており、そのうち1剤は世界に先駆けて日本で上市される予定です。また、今年の3月には、米スペクトラム・ファーマシューティカルズ社の日本法人を合併、同社が持っていた放射性がん治療薬の製造販売権を取得しました。コンシューマーヘルスケア製品に関しても、今年の3月に「イソジン®」ブランドを承継し、4月より自社で開発・製造した製品の販売を開始しました。
  • イソジン®については、今後どのように取り組んでいきますか。
     イソジン®は、弊社が世界で展開する医薬品であり、手洗いやうがい用の殺菌・消毒剤などとして世界120カ国以上で販売されている、弊社にとって象徴的なブランドです。日本ではあまり知られていないかもしれませんが、BETADINE®は月から帰還したアポロ11号の消毒のためにNASAが採用したという実績があり、その有効性について強い信頼に支えられています。日本においては、50年以上にわたり販売されており、このブランドを育ててくれた提携先であるMeiji Seikaファルマ社には感謝しています。今後は、長期にわたり日本で培われてきたこのブランドに対する信頼を維持し、さらに強化していきたいと考えています。

     日本以外の国では、主にBETADINE®というブランドの下で多様な製品を販売されていますが、海外で販売されていて日本に未導入の製品があります。今後は、そうした製品についても日本で展開をしていきたいと思っています。また、新しい病原体に対しても各国で研究を続けています。日本においても同様の研究を進め、エビデンスに基づく優れた製品を提供しつつ、日本の感染症対策に貢献していきたいと考えています。
  • がん領域では希少疾患の治療薬開発を目指していますね。
     末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)という希少ながんの治療薬を2剤開発しています。PTCLは、日本国内の罹患率が人口10万人あたり2~3例とされていて、発症原因は不明、標準治療として確立した治療法がないのが現状です。固形腫瘍(胃がんや肺がんなど主として臓器のがん)の治療薬においては多数の大手製薬企業がしのぎを削っています。しかし、患者さんが少ない希少がんについては、治療法がまだ少なく、少数ながら患者さんが治療の機会を待ち望んでいます。弊社のような規模の製薬企業にとっては、このような領域における治療薬の提供を目指すことで、価値の最大化が図れると信じています。がん領域については、アジア、中東、アフリカなど、私の担当している全地域で拡大していきます。
  • 疼痛分野ではオピオイド鎮痛剤を手がけられていますが、日本ではまだオピオイド鎮痛剤の使用が不十分とされています。
     米国や欧州と比較すると、日本におけるオピオイド鎮痛剤を用いた疼痛管理は発展途上と言わざるを得ません。しかし、がん患者さんなどの強い痛みの治療は、オピオイド鎮痛剤以外の薬では困難です。

     問題は、治療に当たる医師の方々や患者さん、規制当局に、オピオイド鎮痛剤に対する恐怖心のようなものがあることです。理解を得るためには、幅広い教育や啓発活動が必要です。

     疼痛治療の不十分さが懸念されるのは日本だけではありません。日本以外のアジア地域で、弊社が主導したがん性疼痛に関する調査研究の結果では、医師の84%が、がん患者の中等度以上の痛みに対して医療用麻薬が第1選択肢だと答えたにもかかわらず、医療用麻薬による疼痛治療を受けていると答えた患者さんは53%に過ぎませんでした。こうした結果からも、疼痛管理について継続的に教育していく必要性を強く感じます。
  • 日本市場を重視する上で優秀な人材が必要ですね。
     現在の日本法人は、製品開発と薬事が中心で約40名体制ですが、新たにコンシューマーヘルスケア領域とがん領域の営業組織を立ち上げますので、2016年末までには2倍の約100名体制にする計画です。
  • 今後、製薬企業としてどのような姿を目指しますか。
     売り上げランキングの上位をひたすら目指すという考え方は好きではありません。革新的な薬剤を提供していくことによって、患者さんにまだ提供されていない医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)を満たし、その中で企業価値を高めたいと思っています。
  • 最後に、木村昭介社長から日本法人を統括する立場でお考えをお聞かせください。
     弊社はこれまで他社への導出が中心でしたので、日本における企業としての存在感は少なかったかもしれません。しかし、長期戦略に基づいて日本における事業拡大を目指す方針が決まりましたので、これを機会に、日本の患者さんや医療機関の皆様からより大きな信頼を勝ち取れるように活動していきたいと考えています。
写真:木村 昭介氏
ムンディファーマ
代表取締役社長
木村 昭介氏
イソジン®、BETADINE®はムンディファーマの登録商標です。

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