見た目で損をしたくない人に 「匠」の定番と「最先端」の流行 ―― エグゼクティブは気づいている、ビジネススキルとしての身だしなみ

ビジネスパーソンが見落としがちな、セルフプロデュース。見た目を整えることは、仕事の出来に対して二の次だと考えてしまいがちだが、「ビジネスを円滑に進めるためにこそ、身だしなみが重要」だと語るのは、エグゼクティブを中心としたパーソナルスタイリストとして活躍する大山旬氏だ。

パーソナルスタイリスト / SO styling代表 大山 旬氏

アパレル販売職、転職アドバイザーを経て独立。エグゼクティブなビジネスパーソンを中心に、これまで3000名以上のスタイリングを担当。ビジネスにおけるキャリアアップを目的としたスタイリングを得意とする。読売新聞、AERA、NHK、TBS、テレビ朝日、Yahoo!ニュースなどメディア出演多数。最新刊は『おしゃれが苦手でもセンスよく見せる 最強の「服選び」』(大和書房)

ビジネススキルの一部としてファッションを捉える

fashion

「ファッションはビジネススキルの一部として捉えるべき」。そう語るのは、パーソナルスタイリストの大山旬氏だ。大山氏のクライアントは、7割が経営者や管理職など、企業の顔として活躍するエグゼクティブなビジネスパーソンだという。

「エグゼクティブな方々が一概にファッションに興味があるかといえば、そうではありません。彼らは、ファッションはビジネスを円滑に進めるためのファクターだと気づいているのです。例えば、最先端のIT事業を売りにする企業の代表が、前時代的で型遅れのスーツを着ていれば、それだけブランドイメージにも影響しますよね」

日経ビジネスオンラインの読者アンケートでも、「男性ビジネスパーソンのリーダーにこそきちんとしてほしい部分は?」との問いに対して、約9割が「服装・着こなし」と回答している。ファッションに対して苦手意識があったとしても、はじめは義務的でもいいので、立場にあった着こなしをすべきだと語る大山氏。では、年齢を重ねたビジネスパーソンは、身だしなみのどこに気を付けるべきなのだろうか。

「ファッションには大きく、定番と流行の側面があります。例えばファッションに無関心な人は、スーツには流行がないと思われているかもしれません。しかし、それは流行の面では間違いで、5年程度でトレンドは変わります」と大山氏。最近ではクールビズなどカジュアル化した時代への反動として、ラベルが太めだったり、スラックスにタックが入っていたりと、ややクラシックなスタイルが再びはやっているという。

「流行に合っていないスーツはちょっとした違和感というか、女性はその辺りに気づくのが早い方が多いですよね。10年着るために高いスーツを購入するつもりなら、その都度、買い替えることを勧めます」。最近は量販店の既成品もレベルが高いので、体にフィットしている一着ならば、ある程度すてきに見えるそうだ。

Q1 日本の男性ビジネスパーソンのリーダーはセルフプロデュースできていると思う? はい31%、いいえ67.8%、無回答1.2%

Q2 あなたが目指したいビジネスリーダーの「印象」「イメージ」は?

清潔感があり、意思決定力があること。人の話を聞けること。(50代、会社員)

とにかく清潔感と立ち居振る舞いが重要。部下からもチェックされています。(29歳以下、会社員)

スーツをバシっと着こなして、シャツとネクタイのコーディネートが行き届いていること。それに似合う引き締まった体であること。(40代、会社員)

Q3 男性ビジネスパーソンのリーダーにこそきちんとしてほしい部分は? ※いくつでも
								服装・着こなし 88.9%
								頭髪・ヘアスタイル 75.4%
								ニオイ 69.6%
								靴やネクタイなどの小物 48.0%
								ヒゲや眉毛の手入れ 43.3%

「ただし、生地の質や着こなしのこだわりは、見る人が見れば分かるものです。エグゼクティブ層はもちろん、こだわりある部下たちからも当然、スーツの質や着こなしも見られていると思っておいてください」

その際に注意したいのは、できるだけシンプルを心掛けること。ビジネスシーンでは悪目立ちする派手さや主張の強さはNGだという。

「手ごろな価格で手に入るシャツの中には、分かりやすいおしゃれのために、縫い糸やボタンに色が付いているものが多いですが、着回しがしにくいもの。まずはネイビーのジャケット、白いシャツ、グレーのスラックスといった、時代に左右されないベーシックを押さえること。いい物をジャストサイズで着ることを心掛けましょう」

年齢を重ねた自分と向き合うための“清潔感”

cleanliness

セルフプロデュースが不得手なビジネスパーソンがまだまだ多い中、大山氏は「最初は義務感からファッションに取り組んだ人でも、変わった自分を見たり、周囲からの評価の変化を知ると、より一層成長しようと努力をします」と語る。結果的に、ファッションだけでなく、髪型や体形維持などに気を使うようになるという。

「いくらファッションに気を使っていても、清潔感がなければ全体の雰囲気はだらしないままです。特に印象を左右するのは、目線が最初に向かう上半身。髪型、眉毛、ヒゲといった顔まわりは、第一印象に直結します」

実際、「男性ビジネスパーソンのリーダーに備わっていると『困る』印象は?」という問いに対して最も多かった回答は「不潔感がある」。男性よりも女性の方がより見ている数値が出た。しかし清潔感とは一体、どんなところに表れるのだろうか。

「お客様には、こだわりがなければ、短髪でヒゲをキレイに剃っておけば間違いない、とアドバイスしています。特に、意図のないヒゲの剃り残しは、人に不快感を与えかねません」と語る大山氏。ただし、ワンランク上を目指すなら、髪型もヒゲも、そしてファッションも、自分の社会的な立ち位置を反映したものにするとより効果的だという。

「最近は、ジャケパンスタイルなどのビジネスカジュアルがOKな職場も増えてきました。また、整えたヒゲならビジネスシーンでも受け入れられています。職業によっては、自分を印象づける武器になりますね」。例えば、クリエイティブの職種であれば、あえてノーネクタイのジャケパンスタイルで、ヒゲを生やしていた方が、提案に説得力が出ることもあるだろう。

Q4 あなたが普段意識していること、あるいは気を使っているパーツは? ※いくつでも
								頭髪 66.3%
								ヒゲ 57.3%
								体臭 62.9%
								口臭 60.7%
								ワイシャツ 44.9%
								靴 43.8%

Q5 男性ビジネスパーソンのリーダーに備わっていると「困る」印象は? ※いくつでも
								自信がなさそう 62.0%
								不潔感がある 87.1%
								軽薄そう 60.2%
								品がない 74.3%
								その他 1.2%

Q6 男性ビジネスパーソンに対して「清潔感」を感じるポイントはどこですか? ※いくつでも
								服装・着こなし、頭髪・ヘアスタイル、ニオイ、ヒゲや眉毛の手入れ

「その際も、キレイめなスタイルには気を付けてください。キレイめのスタイルとは、簡単に言えばジャケットやシャツ、スラックスのこと。他方、カジュアルめのスタイルは、Tシャツやパーカー、ジーンズなどです。ビジネスパーソンの方は、ビジネスカジュアルで悩まれている方が多いですよね。学生時代の延長で服を選ばれる方もいますが、年齢を重ねることでご自身の清潔感が減ってしまう分、キレイめを意識することで補ってあげる必要があります」

各データは、20歳から60歳までの日経ビジネスオンライン読者171人(男性89人/女性82人)を対象に、2016年9月に行ったアンケートから抜粋しています。