:D3 WEEK 2016 REPORT

ウェブ接客のこれから個客に最適化された「おもてなし」を実現するには

リアルの世界では当たり前に行われてきた人間的な接客。これを、Webサイトで実現し、パフォーマンスを向上させるウェブ接客プラットフォームとは?

株式会社プレイド Co-Founder and CEO 倉橋健太氏

株式会社プレイド
Co-Founder and CEO
倉橋健太氏

顧客をリアルタイムに捉えて個別対応の接客を実現

 7月26日に行われたプレイドの倉橋健太氏によるセッションは、同社が提供するウェブ接客プラットフォーム「KARTE(カルテ)」によって実現可能なウェブ接客をテーマにした話題が展開された。

 セッション序盤、ECサイトをはじめとするWebを介したサービスについて、「リアルの接客と比べると、多くの場合、カタログを載せているだけという域を出てない」と倉橋氏は指摘し、発言の意図をこう説明した。

「リアルの世界では、当然のように行われている接客ですが、印象に残る接客とは自分の方をしっかり向いて、自分に合った提案やサービスが提供されるものです。Webを介した接客サービスは、その点がまだまだ弱い。たとえば、多くのECサイトでは、初めて訪れたお客さまに対して『こういう方にはこの商品がおすすめです』というようなコンテンツを出しています。しかし、ほとんどのサイトで、リピート客に対しても同じものが表示されている。極端なことを言えば、100回来たお客さまにも同じことを繰り返している」

 これではとても、「いい接客」などとはいえるはずはない。

 さらに倉橋氏は、「競争が激化する現在は、集客の部分をしっかりやれば成長が望めたこれまでとは違います。いかにしてWebサイト来訪後に、そのサービスに定着してもらえるかが勝敗の分かれ目になってくるのです」と、今後のWebビジネスについての見解を述べ、Web上のサービスでも「いい接客」を行う必要があると説いた。

 では、それを実現するためにはどうすればよいのだろうか? 実現への第一歩は、「接客とは、お客さまの状況に合わせて最適な提案をすること。まずお客さまを知ること」だと倉橋氏は言う。

 つまりWeb上においては、顧客情報を捉え、これまでできてなかったインタラクティブなマーケティングを行うためのウェブ接客を実現すればいいわけだ。

 そして、同社のウェブ接客プラットフォーム「KARTE」を活用すれば、簡単にそれができるという。このサービスは、サイト訪問者がどのような人で、サイト上で何をしていて、どのような目的を持ってサイトに訪れているのかを、リアルタイムに分析・可視化し、その人に合った接客を行うものである。

 ユーザーの行動分析といえば、アクセス解析ツールがまず思い浮かぶが、「アクセス解析では、今何人がページを見ているかなど、Webサイト側の視点からの分析はできるものの、たとえば閲覧しているユーザーが、何歳で、どのようにサイトを閲覧していて、どこで離脱しているかなど、その心境までを可視化することは難しい」と倉橋氏。

 その点、「KARTE」なら、瞬時に顧客に関するあらゆる情報を自動解析し、個客(個々の顧客)のコンテクスト(背景)を明らかにできる。そのうえで、「そこで得たコンテクストに沿って働きかけができれば、機会損失——購買プロセス間の取りこぼしを減らすことが可能」だと導入のメリットを倉橋氏は強調した。

既存コンテンツの伝え方を変えるだけでパフォーマンス向上

 セッションの後半には「KARTE」が具体的にどのようなことを実現するのかを、いくつかの事例を挙げて説明された。まず紹介されたのが、アパレルECサイトのケースだ。

 このECサイトでは「新規会員登録すると10%オフのクーポンがもらえる」というキャンペーンを実施してきた。しかし、そこへのリンクバナーが設置されていたのは、トップページの下部。そのため、スマートフォンによる閲覧時には、画面を下までスクロールしなければならず、「初めてサイトに訪れたユーザーにリーチしにくい」という課題があった。かといって、新規会員向けの施策は売上に直接はつながりにくいため、バナーをページ上部へ移動するわけにもいかない。そこで「KARTE」を使い、初めて訪問したユーザーにだけ、ポップアップで新規会員登録キャンペーンの案内を表示する仕組みを構築した。

「この方法なら、しっかりターゲティングしているので、基本的に開封率は100%になります。ユーザーに情報を確実に届けられるため、コンテンツのパフォーマンスを著しく向上させることに成功しています」と倉橋氏は胸を張る。

 続いて紹介されたのは、コスメのECサイトの事例である。このサイトが抱えていた課題は、カテゴリーごとに商品を比較するコンテンツが「見てもらいたいユーザーにちゃんと届いていない」というものであった。

 商品比較のようなコンテンツを欲しているのは、まだ欲しい商品が決まっていなかったり、最後のひと押しが欲しかったりというユーザーだ。しかし、先の事例同様、コンテンツへのリンクが設置されていたのはトップページ下部。これでは、比較コンテンツが必要なユーザーが、必要なタイミングに見てくれるとは限らない。

 そこで、次のような取り組みを行ったという。たとえば、あるユーザーがヘアケア系の商材を検索して、商品一覧から特定の商品ページに流入したとする。ここで購入したい商品が決まっていないユーザーは、同じページ内にある「その他のおすすめ商品」の一覧を見て商品比較を行うことが多いという。そこで、そのような行動をしているユーザーを捉えて、画面内に比較コンテンツのインフォメーションを表示するようにした。この結果「購入の確率が30%ほど上がった」と、倉橋氏は言う。

ますます重要性が高まるWebサービスのホスピタリティ

 以上の事例は、「既存コンテンツの伝え方を変えるだけで、パフォーマンスを向上させる」という、最も基本的な「KARTE」の活用方法を体現したものであるが、これについて倉橋氏は「誰にどのようなコンテンツを提供するのか? そして、それをいつどのように提供すればお客さまが一番反応してくれるのか? というマッチングの精度を上げていくことをベースにした施策です。このような取り組みを追求していくと、そのマッチングがなぜ重要なのか? というところに行き着きます。そして、この“なぜ”の部分こそが企業のナレッジになるのです。今後、競争が激化してくるなかで、このナレッジをたくさん蓄積した企業ほど、競争に勝っていくと考えています」とまとめた。

 このほかにも、『KARTE』のA/Bテスト機能を併せて活用することで、クーポンのクジを有効的に実現した事例や、スマートフォンを使ってアクセスしている顧客に対して、買い物の邪魔にならないタイミングでだけスマホ用アプリのダウンロードを訴求した事例なども紹介。「KARTE」には、アイデア次第でさまざまな活用法があることを印象付けた。

 なお、実装が簡単なことも、このサービスの特徴である。Webサイトに数行のタグを埋め込むだけで、顧客のリアルタイム解析や接客アクションを実行でき、どんな接客を行うかというアクションの設定も用意されたテンプレートを使って簡単に行えるという。

 最後に倉橋氏は、いくつかの調査結果を引用して「世の中のトレンドでは、個人レベルでのマーケティングがスタンダードになりつつあり、消費者側も人間らしいサービスを求めています」と説明し、「KARTE」が実現するおもてなし感のあるウェブ接客がますます求められていくだろうという見解を示した。そして「企業がそこにしっかりと投資をしていくことは、サービスおよびスタッフの地力の向上、ナレッジの蓄積につながるため、事業の未来に対する投資になると考えています」と話を結んだ。

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