あらゆるシステムが「つながる」時代 市場変化に即応可能なプラットフォームとは ――SAP HANA導入企業パネルトークレビュー&データ活用事例

膨大なデータを、いかに「実益」につなげるか――。もはやデータ活用は、あらゆる企業の競争力獲得に必須の要素となっている。そうした中、SAPは、全社レベルのデータ活用を実現するための情報戦略サミット「SAP Platform Day Tokyo」を開催。冒頭ではSAP HANAなどのプラットフォーム製品事業のグローバル責任者スティーブ・ルーカス氏が、同社の戦略について語った。

「パートナー企業のシステムなど、従来はつながっていなかった無数のシステム同士をつなげることで新たな価値を生み出す。あらゆる情報をビジネス成長力の源泉とする『デジタルエンタープライズ』が、企業が今後目指すべき姿です。そのためには、複雑さを排除した、シンプルでパワフルなIT基盤が不可欠。SAP HANAをはじめとする当社のソリューションが最適な環境をご提供します」

事実、国内でもすでに多くの企業が、SAPを用いたデータ活用で大きな成果を得ている。サミットでは、コカ・コーライーストジャパン・瀧定大阪・トラスコ中山・CCCマーケティング(カルチュア・コンビニエンス・クラブ関連会社)が登壇し、データ活用によるビジネス革新のポイントを解説した。ここではその中から、SAPユーザー企業によるパネルトークの模様を紹介する。

SAP HANA導入企業パネルトークレビューデータ活用で“勝つ!”先進事例紹介1 トラスコ中山データ活用で“勝つ!”先進事例紹介2 CCCマーケティング

SAP HANA導入企業パネルトークレビュー

全社データ活用の仕組みの実現には経営層のコミットが欠かせない

データ分析・活用の専門企業として、多くの顧客のビジネス改善に取り組んできたブレインパッド会長の草野 隆史氏がモデレータを務め、SAPユーザー企業が意見を交わしたパネルトーク。そこでは、「全社レベルのデータ活用」をどう進めるべきか、またそのために必要なプラットフォームの条件とは何かについて議論が交わされた。

まず議題となったのが、海外拠点も含めた全社的なデータの収集・統合の仕組みをいかに構築するかという問題だ。

これには多くの困難がつきまとう。というのも、必要なデータを漏れなく集めるためには、既存の業務プロセスにも手を加えなければいけないことがあるからだ。IT部門だけでは手に負えない領域まで取り組みが広がることで、プロジェクトが頓挫してしまうケースも多い。これについて日産自動車の須田 俊彦氏は、次のように話す。

「そこで当社は、あるシステムのデータを分析ツールで可視化し、実際に経営層に提示するという方法をとりました。すると経営層からは『もっとこういう分析ができないか』『他の領域のデータとクロスしたい』といった声が寄せられました。こうした経営層の要望に基づいていれば、業務プロセス変更も進めやすくなります。もちろん各部門との連携は図りつつも、部分的にはトップダウンで進めることが、全社レベルのデータ活用には不可欠だと考えています」

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誰がデータ活用業務を行うか 最適な体制は、企業ごとに異なる

また、全社レベルのデータ活用における課題は、実際の活用フェーズにもある。具体的には、データ活用という新たな業務に対し、IT部門と現場部門がどんなバランスで関わるべきかという問題である。これについては、富士通の木村 光義氏が自社の経験からポイントを語った。

「データ活用は新しい業務のため、どの部門の誰が行うのがベストかについては、まだ明確な指針がありません。扱いたいデータの所在や分析目的、スキルを持つ人材がどこにいるかといった条件は企業ごとに異なるため、自社環境をしっかり見定めて検討する必要があります」。富士通では、システム環境や人員配置を精査した結果、IT部門内に新たなチームを配置し、現場の分析ニーズに対応していくことにした。

「もちろん、高度な相関分析などには現場の業務ノウハウも必要です。そのため、状況を見ながら体制は更新していくことが大切。現場部門との間で人員をローテーションすることも一つの方法でしょう」と木村氏は付け加える。

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ビジネススピードが加速する中、高まるリアルタイム分析への要請

さらに、真に経営に役立つデータ活用を実現するには、システムを稼働させるプラットフォームの質もポイントとなる。特に近年は、リアルタイム分析へのニーズが増大している。従来のように、基幹系システムのデータを一度データウェアハウスやデータマートなどに移し、そこで分析を行うという手順を踏んでいては、変化の速い市場に追従できなくなりつつあるからだ。

「この要求に応えるのがSAP HANAです。今日、ECサイトなどのB to Cの世界においては、来訪者が『どんなサイトの』『どの商品にアクセスしたか』をリアルタイムに捉えてレコメンドするアプローチが一般化しています。同様のことが、近いうちにB to B領域でも必要になるでしょう。これに対応するには、OLTP(オンライントランザクション処理)とOLAP(オンライン分析処理)を単一の仕組み上で動作させられるSAP HANAが、大きな威力を発揮します」とパネルに参加したSAPジャパンの大本 修嗣氏は強調する。

「SAP HANA Cloud Platform」の概要

「SAP HANA Cloud Platform」の概要

大量データのリアルタイム分析環境をはじめ、新たなビジネスを具現化するためのシステムを迅速に立ち上げることが可能となる

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同様に、データ活用に必要なサービスを、どれだけ迅速に用意できるかといったスピード感も、他社に先駆けたビジネス展開には必須となる。これに対してSAPは、SAP HANAの基盤をPaaS型で提供する「SAP HANA Cloud Platform(以下、HCP)」も提供している(図)。

「現在は、データの記録・蓄積を目的とした従来型システム(SoR:System of Record)以外に、新しいアイデアを具現化するためのシステム(SoI:System of Innovation)が求められるシーンが増えています。このSoIは、トライ&エラーの過程で頻繁に構築/スクラップが繰り返されるもの。そうした短いライフサイクルでの利用にも、HCPであれば柔軟かつ迅速に対応することが可能です」(大本氏)。SAPは、このHCPを提供するデータセンターを東京・大阪の2カ所に今秋から新設。高まるデータ活用ニーズに向けて、サービスを拡充していく計画だ。

「日産自動車様では現在、インドネシア地域でSAPのERP『Suite on HANA』の導入を進めており、ゆくゆくはグローバル標準の業務システムへと展開していく予定です。また富士通様は、自社内のデータ分析基盤にSAP HANAの採用を計画中。オープンデータ連携やIoTを含めた、先進的なデータ活用具現化を狙っています。この2社の経験から導かれた全社的なデータ活用のポイントは、多くの企業の参考になるでしょう」と草野氏は語り、ディスカッションを締めくくった。


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