“見える化”でムダが見えてくる  新時代の業務改善「HIT.s法」

特別対談 理不尽な残業を止めるために -可視化で全体最適化- supported by 課長塾

これからの時代の働き方

細谷 残業時間は指標のひとつとしては重要だと思うのですが、他方で、個人においては残業の概念が変化していると思うのです。

──それはどういうことでしょうか。

細谷 昔と比較すると、働く環境は大幅に向上していますよね。最も分かりやすい例は、スマホの普及です。いつでもどこでも、電子メールが読めて、返信できるようになった。また、パソコンを自宅に持ち帰り、仕事をすることも珍しくありません。極端な話、24時間仕事ができる状況です。

──自宅でのメールチェックは、厳密には時間外労働です。これを残業と捉えるか、仕事方法の多様化と捉えるかは、意見が分かれそうな気がします。

細谷 しかし、出社後の朝一番にたまったメールをチェックするぐらいなら、出社前に家族との食事の前にメールをチェックした方がいいと考える人もいるわけです。それは働き方の多様化だし、ひとつの評価指標として必ずしも減らす必要はない。いろいろな指標があっていいと思いますね。

──ビジネススキル本などでは、すき間時間の活用として解説されることもありますね。結果として、自由に使える時間も増えます。

石橋 自由に使える時間は重要です。HIT.s法はチャンピオン工数で業務時間をきっちりと組み合わせをする分、1時間のうちの10%、6分間は本人が自由に使える「余裕率」を持たせてあげるんです。休憩時間とは別で。人は機械ではないので、その方が能率がいいんですね。また弊社ではいつも、1日は8時間×3で考えなさいと言っています。仕事、プライベート、睡眠の3分割です。会社組織の長として意欲的に働けて取り組める職場環境を考えたとき、社員にはできるだけプライベートの時間を設けてあげたい。だから、弊社には残業がありません。9:00~17:00の8時間の中で頑張ろうと言っています。8時間一生懸命働いてくれていて、それ以上のことを要求することもなかろう、という考えです。

細谷 ちなみに、社員の皆さんは、アフター5はどのように使われているのでしょうか。

石橋 スポーツをしたり、勉強をして博士号を取った者もいて、いろいろなことにチャレンジしているようです。私は、このような「私時間」こそが人生だと思うんですよ。あと最近は、スポーツや勉強もいいけど、恋愛をしろと言っていますね。家庭の良さということがね……もちろん、様々な価値観があるので強制をしているわけではありません。ただ、人と関わればその分、視野が広がるんじゃないかなって思うんです。

システム科学の実践

──最後に、今日の対談で印象に残った話を教えていただけますか。

細谷 例として社内の事例が多く挙がるのは素晴らしいですね。システム科学自体がHIT.s法で残業を減らしている。だからこそ、お客様に提案しても説得力がある。もうひとつ興味深かったのは、全体を可視化して、前後の工程を踏まえることで、全体最適となる評価指標を設ける仕組み。例えば、生産と販売を例に取ると、生産だけを考えた場合の評価指標は「どれだけムダのない在庫管理ができるか」です。しかし、ギリギリの在庫管理をすると、「販売工程での機会損失」が発生する可能性がある。生産にとっての評価指標が、部分最適になってしまうのです。ですから、HIT.s法のように、前工程や後工程を含めて可視化することが必要だと改めて感じました。

──石橋社長はいかがでしょうか。

石橋 なるほどと思ったのは、メタ思考の「物事を1つ上の視点から考える」というのは今、大変重要なことであるということ。視点を1つ上に持ってきて全体を俯瞰すれば、社員全員が、会社の指示や自分の仕事に納得感を持てるようになり、目的に向かって1つになれます。そして、組織はメンバーの合意が得られたときに、挑戦への意欲が出てくる。今の課長職は、失敗したときに「逃げる・ごまかす・隠す」のいわゆる“NGK”をやってしまいがちです。だから、そもそも挑戦しない。本来は、部下が挑戦したい仕事をやらせて、もし部下が失敗したら自分の指示が間違っていたと言える課長が増えなくてはいけません。それが、挑戦する風土にもつながります。

細谷 HIT.s法は全体を可視化した上で、仕事がリスト化、体系化されているので、どの段階でミスが起きたかすぐに分かりそうです。すぐにミスに気づければ、挑戦もしやすくなるのではないでしょうか。

石橋 おっしゃる通りです。今、私が挑戦していることは、それをさらに発展させたシステムの開発。リスクが発生しそうなときに、そのリスクが社長、専務、部長、課長のどこで対処すべきかをHIT.s法のチャート図から判断して、対応すべき人間に通知する仕組みです。課長の役割でおさまるのか、部長が知っておかなければならない問題なのか。出荷する前で不良が起きたのか、出荷したあとに不良が発生しているのか。そういったことがひと目で分かり、どの職責と工程で処置しているのかを明確にします。早い段階で処理をすれば、リスク管理につながります。

Sチャートで使用する記号例

ドキュメント:モノ・金、紙媒体、電子媒体
					機械の作業:電送、自動処理
					人の作業:作成、参考作成、捺印サイン、記載、転記、検査、検索、保管、廃棄、その他の作業

HIT.s法の「Sチャート」は、「モノ・金」「紙媒体」「電子媒体」と呼ばれる3つのドキュメント記号と15の作業記号から成り立つ。ドキュメントは処理されるべき情報や成果物を表す。チャート作成では、ドキュメント記号から伸ばしたフロー上に作業記号を記載。記号にドキュメントや作業の名称と担当者名を添える。

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協力

株式会社 システム科学
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