少子高齢化時代 医療福祉ビジネスの新たなチャンス到来

新たな資金調達源として注目される「ヘルスケア・リート」と「ヘルスケア・ファンド」

 そうしたなか、病院の建て替えの促進や、事業開始へのスピードを上げるための資金調達手段として注目されているのが、「ヘルスケア・リート」と「ヘルスケア・ファンド」だ。

「ヘルスケア・リート」とは、文字通り病院や介護施設などの医療福祉施設をポートフォリオに組み込んで、資金を運用するリート(不動産投資信託)のこと。同様に、医療福祉施設などを運用対象とするのが「ヘルスケア・ファンド」と呼ばれる投資信託である。

「人口増加とともに、患者が増え続けた高度経済成長期からバブル期にかけては、融資が受けやすかったので、病院の新設や建て替えの資金は銀行からの借り入れで賄うのが一般的でした。しかし、医療と介護の分業化による患者数の減少、長期的に見れば、人口減少に伴う患者の母数の低下などによって、病院の“顧客”は減り続ける運命にあります。あまり成長が期待できない分野だと判断して、今後、銀行が融資を絞り込む可能性も否定はできません」と真野氏は語る。

 そこで、銀行融資に代わる資金調達手段として、「ヘルスケア・リート」「ヘルスケア・ファンド」が脚光を浴びるようになったのである。

「病院の建て替えが進まないと、日本の医療インフラ全体の劣化に結びついてしまいます。その意味でも、資金調達手段が多様化し、建て替えの動きが広がるのは望ましいことだといえます。リートやファンドの運用会社から、経営やマーケティングの知見を得ることで、出資を受けた病院が事業継続性や成長性を手に入れることも可能になるでしょう。これも、長い目で見れば日本の医療インフラの維持に結びついていくはずです」(真野氏)

 ただし、経営と医療を分離することなく長く自前で行ってきた多くの病院にとって、運用会社が経営に関与することへの抵抗感は強いようだ。

「若手の病院経営者の中には、医療政策の変化や人口減少といった時代背景に危機感を抱き、リートやファンドに関心を寄せる人が増えているようです。そうした意識が世代を超えて広がれば、日本の医療インフラはますます安泰になるでしょう」(真野氏)

「ヘルスケア・リート」「ヘルスケア・ファンド」への注目度が高まってきた

かつては患者の数が多かったので、建て替えのための銀行融資も受けやすかったが、近年は病院に対する銀行の融資審査は慎重になりつつある。そこで、新たな資金調達手段である「ヘルスケア・リート」「ヘルスケア・ファンド」への注目度が高まってきた

「患者は消費者」求められるマーケティングの発想

 一方で、「これからの病院や診療所の経営には、これまで以上にマーケティングの発想が求められるようになる」と真野氏は指摘する。

 なぜなら、患者の母数が減り続けているだけでなく、その医療に対する考え方も様変わりしているからだ。その背景の1つは、医療費の高騰である。

「健康保険によって患者負担は3割で済むとはいえ、先端医療の発展などによって医療費の負担は年々重くなっています。その結果、多くの人が『治療や予防のために、どれだけおカネを掛けるべきなのか?』と費用対効果を考えるようになってきたのです」(真野氏)

 生活スタイルや価値観、予算によってモノやサービスを選ぶように、医療についても、消費者感覚でサービスを選ぶ国民が増えていると真野氏は見る。

「一方では国も、増大する社会保障負担を少しでも抑えるため、国民に医療費を減らしてもらおうという働きかけを強めています。そうした環境変化の中で、いかに値打ちのあるサービスを受けられるかということが、病院選びの重要な判断基準になっているのです。患者が消費者になった今、病院経営者も魅力あるサービスを訴求するために、マーケティング志向を持たざるを得なくなりつつあります」(真野氏)

医療マーケティングにおいては立地の良しあしも非常に重要

 いかなる業種においても、マーケティングの要となるのは顧客満足度を高めることだ。病院経営においても、「患者本位の視点で、いかに喜んでいただき、『また来たい』と思っていただけるかどうかが非常に重要だといえます」と真野氏はアドバイスする。

 真野氏によると、医療サービスや“接客”の質はもちろんのことだが、どのような場所に病院を開業するかということも顧客満足度に大きく影響するという。

 「通院しやすい、便利な場所にあることが望ましいのは言うまでもありません。その場合、クルマで行くのに便利な場所よりも、電車で通いやすい場所のほうが喜ばれます。患者の多くは高齢者ですから、ただでさえクルマを運転するのはおっくうですし、薬を飲んでからクルマで帰った場合、うっかり居眠りして事故を起こす危険性もあります。そう考えると、駅から近い立地の病院が好まれやすいのではないでしょうか」(真野氏)

 そう語る真野氏に、これらの条件を満たす土地となる“千葉ニュータウン”について聞いたところ、「鉄道アクセスの良さを考えると、病院を開業するには理想的な街だと思いますね」と言う。

千葉ニュータウン”は、東西に細長く伸びるエリアを横に貫くように北総鉄道北総線が走っており、エリア内の電車による移動が便利なだけでなく、東京都心にも電車一本で行き来できる。しかも“千葉ニュータウン”の事業用地の多くは最寄り駅から徒歩圏にあるので、高齢者でも通いやすいはずだ。

 他にも、居住人口の増加や近隣の日本医科大学千葉北総病院との連携の可能性もあるため、病院を開業しやすい理由となる。