少子高齢化時代 医療福祉ビジネスの新たなチャンス到来

『地域包括ケアシステム』にも対応可能医療福祉ビジネスに理想の街づくりを実践

「医療福祉ビジネスの拠点として考えた場合、“千葉ニュータウン”は厚生労働省が提唱する『地域包括ケアシステム』を形成しやすい特性を備えたエリアであることも魅力的だと思います」と真野氏は指摘する。

 先ほども述べたように、『地域包括ケアシステム』とは、住宅・医療・介護・予防・生活支援のサービスを地域ごとに包括的に提供する体制であり、厚労省は、団塊世代が75歳以上となる2025年までに、この体制を国全体に構築することを目標に掲げている。

「厚労省が掲げる構想はかなり概念的で、いざ実現するとなると、地域ごとに抱える現実的かつ複雑な課題をいくつもクリアしていかなければなりません」と真野氏は指摘するが、“千葉ニュータウン”ならば、『地域包括ケアシステム』の構築も比較的実現しやすいはず。

 また、「“千葉ニュータウン”は、エリア内で人の移動がある程度完結しているようですし、その中に新たな病院や介護施設などが集積していけば、地域住民にとって満足度が高く、連携性もある医療福祉サービスのエコシステムが形成されるのではないでしょうか」と真野氏は言う。

 人の動きがエリア内でほぼ完結しているのなら、『地域包括ケアシステム』の一翼を担う病院や診療所は、それなりの“集客”が見込めるのである。

印旛日本医大駅圏千葉ニュータウン中央駅圏
成田国際空港と直結『医療ツーリズム』にも望ましい立地

 もう1つ、“千葉ニュータウン”の大きな魅力として挙げられるのが、近年の訪日観光ブームとともに人気が高まっている『医療ツーリズム』の需要を取り込むのにも望ましい立地であるということだ。

 2010年7月に北総線を経由する「成田スカイアクセス」が開業したことで、“千葉ニュータウン”は日本の空の玄関口である成田国際空港と直結した。ここに訪日観光客向けの病院などを建設すれば、アクセスの良さから人気を博す可能性もありそうだ。

「『医療ツーリズム』の振興は、安倍晋三内閣が成長戦略の1つに掲げているテーマでもあり、やり方次第では大きな成長が期待できると思います。安倍首相が思い描いているのは、米国のミネソタ州ロチェスター市にあるメイヨー・クリニックのような病院を日本にもつくることのようです。ロチェスターは米国の田舎町ですが、メイヨー・クリニックは世界的に名の知られた最先端の医療機関で、世界中のセレブたちが病気を診てもらうためだけに押し寄せています。そのおかげで、小さな街にもかかわらず、高級ホテルやレストランが次々と建設され、病院だけでなく、街全体が非常に潤っているのです。訪日観光ブームという追い風が吹いている今、『医療ツーリズム』を推し進めることは日本経済全体にとっても大きなチャンスに結びつくかもしれません。成田に近い“千葉ニュータウン”に病院を建設すれば、より強くその恩恵を受けられるのではないでしょうか」(真野氏)

※メイヨー・クリニックとは、1863年、最初は米国のミネソタ州ロチェスター市の小さな診療所から始まり、1892年にはアメリカで最初のGroup practiceとして他科の医師たちを加え、総合医療を扱う施設となった。最高レベルの医療、メイヨー・クリニックの統合的なグループ活動が世界中で注目されたため、田舎町に著名人が訪れるようになり、徐々に街が活性化されていった。

路線図