オムニチャネル時代における企業の立地展開と戦略

都心に近く居住人口も多い千葉ニュータウン
渋谷氏

 一方、どんなにオンラインショッピングが普及しても、「いいモノは自分の目で確かめて購入したい」という人は依然として多い。実店舗は、そうしたこだわりのある人、洗練されたファッションやライフスタイルを求める人の“好み”を探るうえで、必要不可欠な存在となっていくだろう。

「センスのいい方がたくさん住んでいる地域に実店舗を出し、そこを“オムニチャネル”のハブとして販売チャネルを広げていくという戦略も考えられます。これを展開するためには、都心に近く、まとまった人口があるニュータウンなどが格好の場所ではないでしょうか。“千葉ニュータウン”は、非常に適した場所のひとつかもしれません」(渋谷氏)

 “千葉ニュータウン”は、2010年7月に成田スカイアクセスが開通したことにより、北総鉄道北総線の「アクセス特急」で日本橋から38分と近く、計画人口14万3000人と多くの人が暮らしている。マーケティングのための拠点としては、このうえない条件が揃っているといえるだろう。

 ある程度まとまった居住人口があれば、コンビニエンスストアだけでなく、百貨店やスーパーなど、さまざまな業態による店舗展開が可能だ。実際、“千葉ニュータウン”には、2016年4月に埼玉県を地盤とするスーパーの「ヤオコー」(千葉ニュータウン店)が出店するなど、流通企業の進出が相次いでいる。

 また、「都心から近く、センスのいい方がたくさん住んでおられるということは、物流拠点を設けるうえでも魅力的です」と渋谷氏は語る。

 “オムニチャネル”に対応した物流拠点は、たんなる物流倉庫ではなく、ズボンの裾上げやエンブレムの縫い込み、商品のラッピング、メッセージカードの同封など、実店舗が当たり前に行っているサービスをオンラインショッピングでも提供できるような、付加価値の高い拠点としても機能することになるだろう。

 ただ都心に近いだけでなく、そういったサービスに対応できる人材が確保しやすいのも、“千葉ニュータウン”の大きな魅力だといえそうである。

成田空港と羽田空港に直結国際物流拠点にも最適

 もうひとつ、“千葉ニュータウン”の大きな魅力として挙げられるのは、「アクセス特急」で成田空港(空港第2ビル)から21分、羽田空港からでも69分と、空の玄関口に近いことだ。「“オムニチャネル”によって商圏がなくなるということは、つまり国境がなくなるということです。日本の大手流通企業は、中国や東南アジアなど海外への出店も拡大していますが、いずれは国内だけでなく、海外でもマルチチャネルを展開していくことになるでしょう。成田からも羽田からも近い“千葉ニュータウン”に物流拠点を置けば、海外戦略を展開するうえで有利になるかもしれません」と渋谷氏は語る。

 特に日本の大手コンビニエンスストアは、セブン-イレブンやファミリーマートなどが中国や東南アジアでいずれも数千店舗を展開している。日本のオンラインショップで注文した品物を、現地のコンビニの店頭で受け取るといったサービスも、いずれ当たり前になるかもしれない。こうしたサービスを展開するうえで、2つの国際空港に近い“千葉ニュータウン”は国際物流拠点を置くのに格好の立地だ。

 マーケティングや物流など、オムニチャネル戦略のあらゆる側面において、“千葉ニュータウン”はそれらを成功させる大きなポテンシャルを秘めているといえる。

アクセス地図

北総鉄道北総線によって、都心や成田、羽田の両空港と直結する“千葉ニュータウン”。さらに国道464号の成田方面への延伸を目的として整備されている「北千葉道路」(印旛〜成田、約13.5km)が完成すれば、成田空港方面へのアクセスは飛躍的によくなる。国際物流拠点を置くには格好の立地だ。