小型で薄く、高品質で安い

篠田 今年はレディースモデルの発表が増えた一方で、メンズともレディースとも明確に位置づけないモデルも結構ありました。ユニセックスともうたわないけれど、男女でできるサイズ感の時計です。
広田 その流れもあってか、メンズウォッチもケース径が38㎜に近づき、それを下回るものも出てきた。デカ厚の最先端ブランドだったIWCですら、全体のサイズを落として、40㎜を下回るものが多くラインナップされています。
篠田 サイズが小さくてもいいと思えるのは、やっぱり質感が向上しているから。またスタイリング面でいうと、今年は業界全体としてスポーツモデルが減ったという印象があります。スマートな立ち居振る舞いが求められる時代に、重くてデカい時計は合わない(笑)。
広田 あと時計市場を一貫して支えてきたのは、日本でいうところの団塊ジュニア世代、あるいはその少し上。まさしく今のトレンドは、その中心層の成熟と比例していると思います。つまり、若い頃はスポーツウォッチを買い、年齢を重ねてドレスウォッチを買うようになる、と。
篠田 ただ本来のドレスウォッチは2針で薄く、貴金属ケース。時計の形をした、アクセサリーという感じです。でもそれじゃちょっと、日常では使いにくい。その点、今は3針でありながら、ドレスっぽいものが増えてきたなと感じます。
広田 つまり、ビジネスシーンで着けやすい時計ということ。実用性が付加され、対衝撃性、防水性もある。以前スポーツウォッチで起こった、ビジネスウォッチとのボーダレスという動きは、ドレスとビジネスの間でも起こっていますね。
篠田 カルティエが発表した「ドライブ ドゥ カルティエ」は、まさにそれだと思う。ドレスウォッチ然とした世界観を持ちながらも、デイリーユースできる時計ですから。あと、ジラール・ペルゴにも、その傾向が感じられます。「1966」も昨年のモデルからステンレスケースをラインナップすることで日常性を高め、今年もその線を推し進めている。

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シチズン エコ・ドライブワン(左)

世界最薄2.98㎜を実現。1㎜のムーブメントに、85個の部品を格納する。光発電、SSケース(デュラテクトα)、径39.8㎜、32万4000円

ジラール・ペルゴ 1966 スティール
ムーンフェイズ&デイト(中)

「1966」コレクションにステンレスモデルが初登場。薄型自社製ムーブメント、GP03300を搭載。自動巻き、SSケース、径40㎜、103万6800円

広田 それから、シチズンの光発電時計、「エコ・ドライブ ワン」。
篠田 あれは間違いなく、そうですね。2.98㎜と世界最薄で、2針。秒針を置く場所すら作れないほど、ものすごく薄い。
広田 あれだけ薄いと通常はブレスレットをピンで留めますが、耐久性を考えてネジ留めにしています。その分ブレスレットがやや厚くはなるのですが、ドレスからデイリーにという流れに合わせたモデルといえます。

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