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IoT時代における企業のありかた

vol.3

IoT

IoTがもたらす
インパクト

村井純

慶應義塾大学 環境情報学部長・教授/
IoT推進コンソーシアム会長

時代のニーズが創造する
農業や医療の新サービス

 農業もIoTの力によって変わろうとしています。最新のコンバインは、稲を刈った瞬間に米のタンパク質や水の含有量がわかるようになっているし、ファーティライザーという肥料を撒く機械の頭の部分にセンサーを付けてやると、場所ごとに土の栄養状態を判断して出す肥料の量を変えてくれるのです。これによって植物が同じ高さに育つため、結果的にコストや人手をかけずに収穫量を増やすことができる。ただ、そのためには人の居住地ではない農地が携帯電話のカバレッジエリアになる必要があるので、これについては総務省と農林水産省が協力し合って、整備に向けた議論を進めています。

 また、在宅医療の分野においてもIoTの活用による新たなサービスの誕生が期待されています。人間の健康管理にとって重要なのは、一日のほんの一部である通院の時間以上に、食事や睡眠、運動といった在宅時の普段の過ごし方です。インターネットにつながった家電やウェアラブルデバイスを通じて集められたさまざまな健康データをネットワークで共有することで、非常にたくさんの健康に対するコミットメントができるようになります。たとえば、日頃からその健康データを医師が監視することで異常を早期発見できるし、高画質化しているカメラやモニターを使えば、自宅にいながら医師の診察も受けられるようになります。

 こうした新しいサービスは社会の要求から生まれてくるものであり、高齢化社会における介護サービスや高額な医療費の抑制、医師不足の解消といった問題解決のために創造されたものといえます。農業へのIoTの活用もそうですが、結局はコストダウンを実現し、最終的には価格を下げることにつながるわけです。こうしたサービスの多様化は現在進行形であり、今後はサービスサイエンスとしての学術モデルの確立も進み、まったく新しいサービスの誕生を期待できる環境が、次々と整っています。

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新しい価値を創造するために、学生には「できるだけ既成概念にとらわれないでほしい」と村井氏は語る。たとえば農業を志す学生が、バイオ分析機やコンピューターネットワークといった最先端の技術に触れ、社会の課題を学んでいくことで、新しい視点から農業の発展に貢献できる可能性が生まれる。SFCが、ひとつの学問にとらわれない学際的な研究・教育を使命とする理由だ。

100年以上培った信頼が
IoT時代を切りひらく

IoTは産業構造においても大きな変化をもたらす。
業種や国境を越え、新たなバリューチェーン全体へとひろがっていく。
さらにその世界を前進させるには、自らを変革しながら、
信頼できるパートナーシップを築くこと。

企業間のあらゆる情報やモノの流れをつなぎ、
ユーザーやパートナーと共に価値ある「コト」を創造する。
それが“Co-innovating tomorrow”を掲げ、
YOKOGAWAが目指す未来。

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