スマトラ島の中央付近に位置するリアウ州クルムタン

2014年、APPのインドネシアの熱帯雨林の保護・再生支援活動に賛同し、植物生態学の世界的権威である横浜国立大学の宮脇昭名誉教授は、スマトラ島にあるAPPのパルプウッドサプライヤーの自然保護区を視察した。

そして、この地の自然林再生の可能性を確信し、APPへ1万本のフタバガキ科の苗木の植樹を通じて保全活動 を推進することを提案。この翌年2015年からAPPは、熱帯雨林の保護・再生支援活動の一環として1万本植樹プロジェクトを開始した。

2017年8月、「第3回 1万本植樹プロジェクト」が開催。植樹を行う場所は毎年異なる。今回はインドネシア、スマトラ島のリアウ州クルムタンだ。リアウ州はスマトラ島の中心部、大部分が平野で大変豊かな森林に覆われている。州都はプカンバル。リアウ州の面積はなんと北海道よりも大きく、870万ヘクタールだ。石油・天然ガス・ゴム・パーム油およびパルプなど天然資源を豊富に有する州である。

アジアの熱帯雨林に多く分布するフタバガキ

このリアウ州の中の広大な泥炭地を多く含む平野部、130万ヘクタールもの森林保護区を持つ地区がクルムタンだ。プカンバル空港からだと約160kmの距離となる。APPのパルプウッドサプライヤーの保護区内にある20ヘクタールの土地に、宮脇名誉教授が薦めたこの土地の自生樹、フタバガキ科のレッドバラウを植える。フタバガキというと馴染みが無いかもしれないが、日本ではラワン材と呼ばれ合板などに使用されていた。アジアの熱帯雨林を構成する代表的な樹種で、なんと600種もあり樹高は50m前後になる。

国際熱帯木材機関(ITTO)馬桓玉(マ・ファンオク)博士

リアウ州クルムタンの植林会場には、ITTOの馬桓玉(マ・ファンオク)博士、JAEBの神谷光德会長の他、日本各地からも総勢16名の植樹ボランティアが出席した。

1万本植樹の記念セレモニーが行われ、リアウ州ぺラワン地区理事、インドネシア環境林業省の官僚、APP社員そして国内外からのマスコミの取材陣や、地域コミュニティ関係者らも参加。セレモニーでは各分野の代表者から、森林保全の重要性やプロジェクトの目指す方向性などについてスピーチが行われた。

ITTOのプロジェクトマネージャーであるマ・フォンオク博士は、「森林の劣化を防ぐためには、まだまだ多くの協力が必要。われわれはさらに迅速に行動すべきである」と語った。マ・フォンオク博士は、第1回1万本植樹から毎年参加しており、APPが「森林保護方針(FCP)」を定め、次々と新たな施策を打ち出し行動を起こすことで、多くの環境NGOや企業、地域コミュニティの理解が深まり、支持を集めてきたことを見守り、時には行動を共にしてきた一人である。

続いて、JAEBの神谷光德会長が登壇した。神谷会長も毎年参加されている。この1万本植樹の発案者である宮脇名誉教授が2015年に健康を損なわれたことにより、本プロジェクトの推進を託された方である。神谷会長は、病床に就く宮脇名誉教授の思いを重ね、「生きとし生けるものはすべて、森から水を頂き、酸素を頂いている。だから、なんとしてもこの森林を守らなくてはならない。われわれ一人ひとりの力を合わせることで、必ず持続可能な森林環境をつくることができます」と訴えた。

2017年1万本植樹イベント会場

表彰を受ける日本環境ビジネス推進機構(JAEB)神谷光德会長 

セレモニーを終えると、地域コミュニティ関係者などに案内され植樹に向かう。APPの関係者やマスコミの取材陣や現地NGO、地域コミュニティ関係者を含めると100名ほどの参加者が植樹場に移動する。植樹場には、それぞれ参加者の氏名が書かれたサインボードがあり、地域コミュニティ関係者が植樹のサポートを行う。赤道直下の焼けるような暑さの中で、一人ひとりスコップを手にフタバガキを植えていく。この1本が豊かに育ち、いずれ森となり、荒廃地が回復するようにと願いを込めて。

地域コミュニティ関係者と共に植樹を行うマ・フォンオク博士

APPタン会長と共に植樹を行う神谷光德会長

日本から参加した植樹ボランティアは、札幌から東京、横浜、名古屋、大阪、徳島と各地から集まった有志だ。それぞれ、1万本植樹に参加した理由はさまざまだ。木材を活用した仕事についていたり、森林保護を目的としたNGOを運営していたり、中には自然素材による酵素水の仕事をしており、樹木の成長を促進させるために参加された方もいる。

酒井さん親子と神谷会長

札幌から親子で参加した酒井さんは、以前から宮脇名誉教授に賛同し行動を共にしたいという思いを抱いていた方だ。

「地球環境を大事に、実際に行動をもって実践していくということは、本当にすばらしいことですし、未来に希望が持てました。こうした活動を知って、少しでも何かを感じてもらいたくて、娘と共に参加しました」と酒井嘉子さんは語る。酒井さんは、札幌にて「9千年続く平成のいのちの森プロジェクト」を主催しており、シンポジウムで宮脇名誉教授の森の育て方、植樹の必要性を紹介している。

徳島県から植樹ボランティアに参加した島勝伸一さん

徳島から参加された嶋勝さんはバイオマスを活用した汚水処理の事業を行っている。「日本が経済発展してきた昭和30年代からずっと、多くの国の森林伐採をしてきた。日本が発展するために、ものすごくインドネシアの木を切っていたんですね。そのため、少しでもインドネシアの森林がよみがえる手伝いをしたいという思いで参加しました」と語る。

日本とインドネシアから参加した植樹ボランティアの皆様

それぞれが、宮脇名誉教授が薦めたスマトラ島の自生樹、フタバガキ科のレッドバラウを植えた。この後、地域コミュニティ協力の下で植樹を続け、数ヶ月をかけて1万本の植樹が達成する。これで、合計3万本のフタバガキが根付く。さらに来年、再来年と継続することで、いつの日か、この土地が再生され、エコシステムが戻ってくるはずだ。

エイピーピー・ジャパン 代表取締役会長
タン・ウイ・シアン氏

APPジャパンのタン会長は、「日本のボランティアの方々が、リアウ州の植樹イベントに参加してくれたことは、森林を大切に思うこと、森林保全に貢献することに対し、地元のインドネシア人にとても良い影響を与えて頂きました。また、このイベントを通して、『森林を保護し、環境を守ることは地球に住む一人ひとりの責任である』というメッセージが、世界中に伝わっていくと信じています」と語った。

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