泉:品質とコスト以外の強みを教えてください。

日暮:当社の経営モデルである資源循環型の経営。これも強みの一つです。

2012年に、「持続可能性ロードマップ ビジョン2020」を発表しました。自然林を伐採しないこと。自然林の保護や景観保護によって、環境に配慮した経営を行っていくこと。そのための具体的な目標も定めました。

紙の原料の大部分は木材です。森林の恵みによって事業を展開している製紙会社こそ、森林とその景観を保護するべき。――この理念のもと、私たちは自然林を伐採することなく植林をすることで、事業活動を継続しています。そうした経営姿勢が評価され、この20年のAPPジャパンの躍進につながっているのではと思います。

泉:その取り組みの内容を、具体的に教えてください。

日暮:APPが主体となって、広大な景観レベルでの熱帯雨林の保全・再生を支援するプログラムを進めています。

樹木の成長スピードは樹種や生育環境によって大きく異なり、針葉樹は成長までに50~60年を要するといわれています。一方、インドネシアのように温度も湿度も高い気候では、熱帯雨林に育つ樹種は5~6年で成長する。針葉樹のおよそ10分の1のサイクルで育つわけです。インドネシアで植林を進めていけば、自然林を伐採することなく、植林で育った木材を資源として、事業を継続できます。中国でも同様に、樹種と環境に合わせたサイクルで植林活動を進めています。

泉:そうした壮大な規模の森林保護再生は、取引先やエンドユーザーも応援できるビジネスモデルといえそうです。

日暮:資源循環型経営を後押しするプロモーションを、他社と一緒に行っているケースもあります。例えば、事務用品を中心に通信販売を手掛けるアスクルさんと、コピー用紙を1箱お買い上げいただくごとに2本の植林を行うプログラム「1 box for 2 trees」を展開しています。製品を購入することでユーザーも環境保全に参加できると、反響も大きいようです。

泉:昨年4月にインドネシア系企業として初めて日本経団連(日本経済団体連合会)に入会するなど、日本での足場を一段と固められています。

日暮:今年7月には、日本製紙連合会に賛助会員として加入しました。日本でビジネスをスタートさせて20年、輸入紙マーケットで事業を継続し、確かな地保を築いてきた今、単なる1プレーヤーとしてではなく、日本の紙市場で一定の役割や責任を担っていきたい。そんな思いからです。

業界団体への加盟を通じて、例えば日本企業の海外進出、特に東南アジアへの進出に当たって、何かしらお手伝いができることもあろうかと思います。日本経団連への加盟は、そういった意味でも重要なマイルストーンになるでしょう。日本とインドネシアとの懸け橋となるべく、尽力していきたいと考えています。

泉:今後、どんなビジョンを持って事業を遂行されるのでしょうか。

日暮:私たちの事業の根幹は、先ほども申し上げたように資源循環型の経営です。もちろん、多くの日本企業が事業活動やCSR活動の中で実践していますし、環境省も環境配慮経営を推進しています。こうした動きを、紙のビジネスを通じてサポートしていくことが、私たちの使命です。

高品質な商品・サービスへのニーズが高い日本の顧客の声に応えるべく、そのニーズに真摯に耳を傾けて、生産工場の品質に反映していくことも、愚直に続けなければなりません。そして、お客様の満足度を追求していく。このサイクルを見失ってはならないと考えています。奇をてらうのではなく、これまで同様、“基本”を着実に実行していくことが、信頼を高め、APPのプレゼンスをより強固にすると思っています。

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