Facebookの動画広告機能を駆使したサントリーの施策

サントリーの「チンザノ アスティ」の動画広告は、Facebookでの配信を前提にモバイルに最適化してつくられた施策である。

「チンザノ アスティ」は、イタリアのピエモンテ州アスティ地方産のマスカット種からつくられるスパークリングワインだ。マスカットそのものの甘さを生かし、アルコール度数7%と、気軽に味わえる飲み口だという。ただし、ビールやウィスキーなどと異なり、ターゲットとなる顧客層はある程度絞られており、テレビコマーシャルのようなマス広告は適していない。

そこでサントリーでは、見込み客をきめ細かく絞って広告を配信できるFacebookを活用し、特定のFacebookユーザーにリーチしようと考えた。その際、商品の魅力を端的に表すため、動画広告のクリエイティブにも工夫を凝らしたとClient Solutions Managerの麗狗 乃美氏は説明する。

Facebookの動画広告のカルーセル機能を活用し、スマホの画面に4つの動画広告を並べ、画面をスワイプすると、最初の動画から次の動画へ移ることができ、その都度動画上では乾杯シーンが続く。スプマンテの泡立ちや揺れの美しさも再現し、動画広告ならではのシズル感を視聴者に伝えることができる。

この広告を展開し、ユーザー調査を施したところ、広告想起率は13ptアップし、ブランド認知率も6ptアップ、前年比売上は22ptアップと、商品の認知度向上のみならず商品の実売が向上するなど、明確な広告効果を得ることができたとサントリービジネスエキスパート株式会社 宣伝部 デジタルグループ 國塩 淳氏はいう。

モバイル動画で売上を伸ばした、コカ・コーラの「にごりほのか」

このように、Facebookを活用した動画広告の活用によって、商品の認知度向上といったブランディング効果を得られるばかりでなく、実際に商品の消費を直接促し、購買行動に結びつけることがたやすくなる。

カンター・ジャパンのMedia & Digital Director関井 利光氏とHead of CSMの田野崎 亮太執行役員のトークセッションでは、その一例として、日本コカ・コーラの「にごりほのか」の広告施策が取り上げられた。

2016年3月、日本コカ・コーラは、緑茶「綾鷹」の新商品「綾鷹にごりほのか」を発売、大規模なキャンペーンを行った。「にごりほのか」の発売と同時に、テレビコマーシャルの他、FacebookとInstagramで動画広告を配信したのだ。

その後、メディアターゲットに対して調査を行ったところ、メディア効果として説明される「にごりほのか」新規購入者のうち、61%がFacebookとInstagramの動画広告効果によって「購入に至った」という。

関井氏は、FacebookとInstagramで動画広告を配信することで、ユーザーが実際に「にごりほのか」の購買に至るようになった理由をこう説明する。

「FacebookとInstagramは、主にスマホなどのモバイル端末でアクセスしています。つまり、ユーザーの方々が外出しているときに、FacebookとInstagram経由で『にごりほのか』の動画広告を見ている場合が多々あるのです。自宅でテレビコマーシャルを見ているときに比べ、外出先で動画広告を見たほうが、すぐに『にごりほのか』を購入できる可能性が高くなります」

モバイル端末で動画広告を配信すると、テレビコマーシャルでは得られなかった3つの広告効果が得られる、と関井氏は付け加える。

「1つは、実際に商品を購入する可能性のあるオケージョン(場)で広告を見せ、その場で消費を喚起できるオケージョン効果。2つめは、直前に見た広告によって消費者の購入意欲を喚起できるリーセンシー(近接)効果。3つめは、さまざまな場で広告に触れてもらえるため、商品の存在を何度も思い出してもらえるリマインド効果です」