日経BP総研社会インフラ研究所 上席研究員 小原 隆
被災後も住み続けられる地震に強い家づくりとは?

地震に強い家づくりの基準は地震の被害を受けるたびに見直されてきた。熊本地震の被害を経験した今では、目標レベルを引き上げる動きも見られる。居住者の生命や財産を守ることを目指す建築基準法が定める最低レベルでは巨大な地震や繰り返しの揺れには不十分という見方が出ているという。

大地震から生命・財産を守る最低限の基準では不十分

戸建て住宅の耐震性は、簡単に言えば、耐震壁と呼ばれる壁の量と配置に左右される。一定の耐震性を確保するには、必要な量の耐震壁がバランスよく配置されていなければならない。さらに高い耐震性を目指すなら、その量やバランスが一段と求められる。

今問われているのは、そうした造りでどの程度の耐震性を目指すべきか、という目標レベルの設定だ。熊本地震では震度7の激しい揺れに2日間のうちに2度も襲われ、比較的新しい住宅にも大きな被害が生じたからだ。

日経BP総研社会インフラ研究所で上席研究員も務める前出の小原隆は、こう指摘する。「建築基準法に基づく耐震基準では、大地震の揺れを受けても建物は倒壊・崩壊せずに人命は守られるという前提に立っています。しかし今では、その前提では不十分ではないかという考え方が住宅建築の専門家の間で広まっています」。

たとえ建物が倒壊・崩壊せずに残っても、居住者としてはそこに住み続けられなければ意味がない。大地震の揺れを受けてもなお同じ建物内に安心して住み続けられるように、耐震性の目標レベルを引き上げる必要があるという。

一つの目安を与えてくれるのは、下の表に示した住宅性能表示制度に基づく耐震等級である。ここでは、建築基準法が求める最低限の耐震性を「等級1」と定め、その1.25倍を「等級2」、1.5倍を「等級3」と位置付ける。

「『等級3』のものしか供給しないという住宅会社が増えています。耐震壁に頼るだけでなく、地震の揺れのエネルギーを吸収する制震部材を活用する会社も少なくありません」。地震に強い家づくりでは最低でも「等級3」を目指すことを検討したいという。

CHECK 住宅性能表示制度に基づく耐震等級