価格は高止まりの調整局面に郊外部も再開発エリアに強さ

首都圏では2016年夏以降、分譲マンションは供給増加から減少の傾向に転じた。一方で、平均坪単価は横ばい傾向を続ける。一部では価格調整も出始めているという中、成長余力が見込める再開発エリアの強さが指摘される。

図1を見てほしい。新築マンションの供給は、首都圏では2015年夏以降、おおむね右肩上がりに増えていたが、16年夏以降は減少傾向に転じた。市場環境から供給にブレーキが掛かってきた――。そんな見方もできそうだが、価格が目立って下がることはなさそうだ。

首都圏新築マンション分譲戸数の推移"

新築マンションの平均坪単価の推移をたどると、三大都市圏では高止まりの状態が続く(図2)。建築資材の価格や作業員の人件費の高騰を背景に、2013年以降は上昇傾向を見せていたが、16年に入るとその勢いは落ち着きを見せ、横ばい傾向に変わってきた。

三大都市圏圏域別新築マンション平均坪単価の推移"

東京カンテイ市場調査部上席主任研究員の井出武氏は、「分譲マンションの価格動向を約30年間にわたって調査し続けてきましたが、分譲価格がこれだけ長い間、高原状態を保つのは、初めてのことです」と指摘する。

平均坪単価を下げないように販売時期・戸数を区切り調整

この間、一部では価格調整も行われている、と井出氏はみる。

「平均坪単価を下げることがないように、販売時期を細かく分け、販売戸数を少なくしながら、分譲価格を1割程度下げている物件がみられます」

こうした市況の中で価格面での強さを発揮できるのは、再開発エリアである。再開発によって利便性や資産性の向上が期待できるからだ。将来の成長余力が見込める点に強みがある。

東京都心部では2020年以降、五輪・パラリンピックの選手宿舎に一時使用された高層マンションなどが大量供給されることから、供給過剰による値崩れを心配する向きがある。しかし井出氏は、「都心部ではあちらこちらで再開発が進んでいます。価格が下落することは考えられません」と言い切る。

東京以外の大都市や東京郊外部でも再開発エリアは強い。「再開発によって駅前に機能集約を図る動きが各地で見られます。立川では駅直結の超高層マンションが好評でした。郊外部では駅直結や駅前マンションが主流になっていくでしょう」(井出氏)。

表1は、東京都下で2015年度以降に完成したか現在事業中の市街地再開発事業である。いずれの事業も駅前再開発で、調布駅北第1B地区を除けば全て、マンション開発を含む。

東京都下で2015年度以降完成または現在事業中の市街地再開発事業"

ただ郊外部では駅前以外のエリアになると、マンション価格は弱含みに推移するとみられる。井出氏は「建築コストの上昇でマンション価格が高くなったため、戸建て住宅のほうが優位に立っています。価格を見直したりするものの、購入者が戸建て住宅に流れるのを止め切れていないようです」とみる。