賃貸事業の視点で価値再認識 移住需要見込める京都や沖縄

分譲マンションの資産価値は賃貸事業の収益性という観点からも捉えられる。その収益性を左右する賃貸住宅への需要は時代とともに、また地域によっても大きく変化する。世帯や人口の動向から、需要動向をみていこう。

将来、第三者に賃貸することを念頭に置いて分譲マンションを購入する場合、意識しておきたいのが、賃貸事業の収益性だ。いざというときに賃貸し安定収益を得られる条件を備えているなら、その収益に見合う資産価値を見込める。

賃貸住宅の需要を今後はどう見込めばいいのか――。まず認識しておきたいのは、世帯構成の変化である。

図1は、総務省の公表資料を基に世帯種別構成比の推移と予測を示したものだ。構成比を見ると、「夫婦と子」「その他」が減っていく一方で、「単身」だけは年々増えていくことが分かる。しかも、2030年時点の予測構成比は、「単身」が37.4%と最も大きい。

世帯種別構成比の推移と予測"
区部は25~29歳の受け皿に賃貸住宅の安定需要見込める

背景には、生涯未婚率の上昇があるという。総務省の公表資料を基にその推移と予測をみると、男女ともに1990年代から急増していることが分かる(図2)。東京カンテイ市場調査部上席主任研究員の井出武氏は「今後、男女ともに生涯未婚率が上昇し、単身世帯が増え続ける見通しです。それに伴い、単身者向けの住宅需要が高まっていくことは間違いありません」と指摘する。

男女別生涯未婚率の推移と予測"

賃貸住宅の将来需要を見込むうえで次に認識しておきたいのは、地域や年代による違いである。どの地域でどの年代が増えているのかを把握できれば、どの地域でどのような需要を見込めるのかが見えてくる。

表1~3は、東京区部、京都府、沖縄県、それぞれの地域で、2011年から2016年までの間に、どの年代の人口がどの程度を増えたのかを示したものだ。表の枠内を、増加は赤系で、減少は青系で表現している。

東京区部の年代別人口増加率"
京都府の年代別人口増加率"
沖縄県の年代別人口増加率"

東京区部では、20代の増加が著しい。ただここには、卒業・就職によって居住地を変える可能性が見込まれる学生も含まれる。注目すべきは、このうち学生を除いた25~29歳の層である。

井出氏はこう強調する。「東京区部ではこの25~29歳の層が増えています。この地域が大学を卒業した年代の受け皿として機能しているわけです。そこで賃貸住宅の需要がなくなることは考えられません」。

また京都では中心部で40代以上の層が、沖縄では一部の地域で30代以上の層が増加していることが分かる。井出氏は「いつかはあこがれの京都に住みたいとか、沖縄のきれいな海の近くで暮らしたいという、いずれも移住ニーズによるものとみられます」と分析する。