日経ビジネスonline
日本アジアグループ株式会社
Vol.7 経済・環境・防災の側面から日本を強くする森林プロジェクトが始動
空からの目線で森林の現状を知る

日本の国土の約7割は森林が占めている。しかしその管理状況は、行き届いているとは言いがたいのが現状だ。

「急峻(きゅうしゅん)な山が多いため、もともと入り込んでの手入れに手間がかかるうえ、管理者の高齢化も進んでいるという問題があります」と加藤は言う。適切な伐採や植林といった管理のされない森林は、降った雨を蓄える場としての機能を失い、気候変動の影響で増加している土砂災害にも弱くなる。

■森林活性化への取り組み(スマート林業+バリューチェーンの形成と山林資源の新たな利活用ビジネス)

こういった事態を防ぎ、さらにはビジネスにも展開しようと、2016年9月、それぞれの部署でキャリアを積んできた精鋭8人が集まり、日本アジアグループ内に森林プロジェクトが誕生した。同社はプロジェクト発足に当たって、四国に1500ヘクタール(ha)の森林を購入し、所有者の悩みやニーズを実感しようとしている。

始点は、森林の現状を把握するところだ。本来、森林は森林簿で管理されているはずだが適切に更新されないまま相続を繰り返した結果、現状が分からないなどといった課題もある。そこで日本アジアグループではまず、空から測量をし、今の森林を知ることを提案している。加藤はその分野のエキスパートだ。

日本アジアグループ 森林プロジェクトリーダー 加藤 哲

「デジタル化された航空写真やレーザ測量によって、その土地の3次元データが得られ、樹種や生育状況も分かります」

現状を把握したら、材木として利用できるまでに育った木は伐採する。

「伐採の時期を迎えたまま放置されている木が多いので、適切に伐採する必要があります。また伐採は、人間がチェーンソーで行うのではなく、機械化したい。その方が、安全でコストも抑えられるからです」

切った木は、やはり安全に低コストで山から下ろし、市場へ。そのときの競争力の確保も大きな課題だ。プロジェクトの一員である増田は「ゆくゆくは、世界で戦える国産材をつくり出したいと思っています」と目を輝かせる。増田はもともと、土壌・地下水調査の専門家。山林と水との関係を誰よりも熟知している。

日本アジアグループ 森林プロジェクト 増田 拓朗
ビジネスの持続性向上のため
産地から消費地まで一貫管理

将来像として加藤は「住宅だけでなく、土木の現場でも木材を活用したいと考えていますし、枝葉の部分はバイオマス発電に使えます。新たに植林をして育てれば、それは二酸化炭素の固定化もしてくれます。日本の木の活用の場が広がれば、森林の所有者や現場で働く人たちに利益を還元でき、ビジネスとして成立するようになるでしょう。そうなれば、森林の管理は今よりもずっと進むはずです」と言う。

それは環境保全の面からも、防災面からも、多くの人にとって大きなプラスとなる。日本アジアグループが山林という上流から土木現場などの下流まで通してマネジメントをしようとしているのは、その循環が1カ所でも滞れば無理が生じ、持続性を失うからだ。

持続性を強化するため、ファンド化も進める。日本には共有林が多く、また、一人ひとりの所有面積は狭く点在していることも多いので、自分の所有する土地で木を伐採しても、それを複数の他人の土地を通らずに山から下ろすことはかなり難しい。そこで、欧州で先行している、すべての関係者の間でキャッシュフローが生じるようなスキームを導入することも検討中だ。

加藤は「日本は森林という資産に恵まれた国です。これを活用できなければ、日本の将来はないのではないかと私は思います。今の人工林のほとんどは、先輩たちが戦後に、これからの日本を思って植えた木です。その山林を、科学的見地とビジネス的見地から適切に管理することが、日本の森林の価値を上げることになります」と言う。

これまで日本アジアグループは、測量などの技術を通じて森林保全に取り組んできたが、今後は直接、森林という資源の維持管理も手がけていく。同社にとっては、Save the Earth, Make Communities Greenを体現する新事業となっていくだろう。

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