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「ウルトラウエストン」に繋がる
老舗シューズブランドの輝かしきヒストリー

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創業以来、フランスのリモージュにファクトリーを構え、アメリカで学んだ製法で名靴を生産し続けている。

森岡:80年代~90年代に日本に上陸してすぐに小暮さんも私も、ジェイエムウエストンを知りましたが、創業は、1891年。創業者は、エドゥアール・ブランシャール。なんと120年以上前なのですね。

小暮:そうです。創業の地がフランスのリモージュで、息子のユージェーヌがブランド名の由来になっているアメリカのマサチューセッツ州ボストン郊外のウエストンでグッドイヤーウエルト製法を学び、1922年にパリのクルセル大通りに1号店を開きます。私たちがよく知るパリのシャンゼリゼ店が開かれたのは1932年。それから14年後の1946年に、あの「シグニチャーローファー#180」が誕生します。

森岡:日本に上陸したジェイエムウエストンで、最初に注目されたモデルですね。素足でこのローファーを履いたら、内側の革に少しゆとりがあって、足にフィットして気持ちがいいと評判でした。

小暮:それまで持っていたアメリカ製のローファーとは佇まいがまったく違っていましたね。1960年代は、シャンゼリゼ通りのドラッグストアにたむろする若者たちがこのローファーにジーンズを合わせていた。これは当時の体制に対する反抗を表現していたと言われています。

森岡:そうなのですか!私はこのシグニチャーローファーのリザードやクロコダイル素材のものに本当に憧れていました(笑)

小暮:私は普通のカーフ素材のローファーしか買えませんでしたが、それでも最初に手に入れた時には、ちょっと誇らしげに履いた覚えがあります。

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植物タンニン鞣しの自社タナリーを持っている、世界でも唯一のシューメーカー。最高の革を求めた結果と言える。

森岡:小暮さんはジェイエムウエストンの定番Uチップ「ゴルフ」もお好きだったのではないですか?

小暮:よくご存知ですね。大好きですよゴルフは。黒と茶の両方を持っていますが、2足ともカーフ素材です。丈夫なこともあって相当荒っぽく履きまして、黒のゴルフは、1足履き潰してしまいました。買い直した程です。

森岡:この靴はソールが特徴でオリジナルのリッジウェイソール。そして汎用性が高いデザインなのでカメラマンもよく履いていました。

小暮:「ジャーナリストシューズ」とも呼ばれていましたね。石畳が多いフランスの街では本当に歩きやすいんです。

森岡:シグニチャーローファー#180もジーンズにも履ける汎用性の高い靴でしたが、このゴルフはもっと汎用性がある。本当にスーツからカジュアルまで合わせることができるんです。

小暮:本当にそうですね。昔、シャンゼリゼ店で取材の折に靴を購入し、店の近くでタクシーを止めたら、私の買い物の袋を見て、ドライバーが足を上げたのですが、彼もゴルフでした。「すべりにくいソールが車の運転に向いているんだ」なんて話してくれました。

森岡:ジャーナリストシューズとの由来も案外、その辺りにあるのかもしれませんね。

小暮:確かこの靴は、同ブランドの靴をいつも履いてプレーしていたプロゴルファーのオーブリー・ブーマーとパーシー・ブーマーに因んだモデル名だそうですよ。

森岡:それでゴルフというモデル名なんですね。フレンチテイストが満喫できるオリジナリティ溢れるデザインとディテール。この靴を含めて、ジェイエムウエストンの靴の大きな特徴は、服と合わせやすいことにあると思います。

小暮:私はすぐに靴ばかりを気にしてしまうのですが、さすがスタイリストですね。

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120年を超える歴史と伝統によって受け継がれた職人的な技術。名品はこのクラフトマンシップなしに生まれない。

森岡:誤解を恐れずに言えば、ジェイエムウエストンの靴の特徴は、「中庸」にあります。飛び道具のようなディテールを持つ靴は合わせる服を選ぶし、それ以上にセンスの良い人に見えない。テイストが少し違う服を合わせても、「あえてこの靴を選んだ」、あるいは「モノの良さを本当に知って選んでいる」という、ある種の「包容力」を備えた靴だと思います。昔、東京モーターショーの時に、フランスの自動車会社のデザイナーらしき方が、スーツにジェイエムウエストンのローファーを合わせていました。とてもカッコよく、パリっぽく見えました。スーツもフランス製だったと思いますよ。

小暮:シグニチャーローファー#180はトウの部分がやや長めで、あのラインがフランス的なんですね。

森岡:ジェイエムウエストンのローファーだと一目でわかる。それも大きな魅力ですね。普通なのに、主張している。加えてこれ見よがしではないところもいい。いろいろと靴を履いてきた人が最後にたどり着く感じがこの靴には漂っています。

小暮:それにクオリティは折り紙つき。タナリー(植物タンニンの鞣し工場)を持っているのは世界でもジェイエムウエストンしかありませんから。それに製法も昔ながらのクラフフトマンシップ溢れるものですから、絶対的な信用がある。まさに一生ものです。

森岡:新しいウルトラウエストンはそうした老舗ならではの伝統、職人技、センスを含めて作られているわけですね。 小暮:その通りだと思います。