コラム Vol.2

データで見るニッポンの医療費②

良質な医療を持続するために
欠かせない国民一人ひとりの意識改革

 加速する高齢化などを背景に、わが国の国民医療費は毎年1兆円を超える規模で増え続けており、このままでは近い将来、日本の健康と長寿を支えてきた「国民皆保険制度」も破綻しかねない。日本の医療の現状を見ると、いくつか日本特有の課題が浮かび上がってくる。「生活習慣病を予防するためのセルフメディケーション」をはじめ、「症状に応じた適切な医療機関の選択」「ジェネリック医薬品の活用」など、高騰する医療費を削減するために個々人がアプローチできる課題も多い。今こそ、私たち一人ひとりの医療に対する意識改革が求められている。

歯止め効かぬ国民医療費の増大
2025年度には約60兆円に達する見込み

 日本の国民医療費は高齢化の進行とともに増大の一途をたどっており、厚生労働省の発表によると、2011年度の国民医療費は約39兆円に上り、2010年度に比べて1兆円以上の増加となった。人口一人当たりの国民医療費は30万1900円、前年度の29万2200円に比べて3.3%増加している。このまま推移すれば、国民医療費は毎年1兆円を超える規模で増大し続け、2025年度には約60兆円に達する見込みだ(図1)

国民医療費の国民所得に対する比率も年々増加して、2011年度は11.13%(前年度10.62%)に達した。また、GDP(国内総生産)に対する比率も過去最高を更新し続けており、2011年度は8.15%(前年度7.79%)へと上昇した(図2)

 経済が好調で所得水準が上昇し、国民の年齢構成も若ければ、国民医療費が増加してもある程度カバーできる。しかし、わが国の総人口は、長期の人口減少過程に入っている上、65歳以上の高齢者人口は増え続け、高齢者にかかる医療費の急増が見込まれている。高齢者が増加して生産年齢人口が減少し、経済が上向かなければ、高齢者医療費を支える現役世代の負担はますます増大することになる。従って、国民医療費を誰が、どのように負担するかを考えるとともに、国民医療費を抑制するために、一人当たりの医療費を抑えることが重要な課題となる。

生活習慣病の増加が医療費増大の要因に

 2011年度の国民医療費のうち、医科診療医療費に占める生活習慣病の割合は全体の約3分の1(約9.8兆円)を占めている(図3)。これらの生活習慣病は、若年期からの運動や食事などの生活様式の変化や健康への無関心が大きな要因であると考えられ、完治が困難で多額の治療費(例えば人工透析)を必要とする場合も多く、医療費増大の要因の一つとなっている。

  • 01
  • 01
  • 01
  • 01