スペシャルレポート Vol.4

企業健保の挑戦

保健指導を強化し、「健康経営」を目指す

【パナソニック健康保険組合】
組合員一人ひとりに健康づくりの機会を提供

 パナソニック健康保険組合も、加入者への健康づくり活動を積極的に推進している。同組合は186事業所が加入し、被保険者約16万人、被扶養者約18万人。2011年度より、創業100周年となる2018年に向け、会社、労働組合、健保組合が三位一体の活動として「健康パナソニック2018」を展開しており、メンタル関係の疾患、脳心臓疾患(メタボリック症候群)、体力低下(ロコモティブ症候群)、がん、歯周病の5つを重点疾患として位置付け、それを3つの予防活動で対応することとした。その3つとは、「生活習慣改善」「健診(精密検査)受診」「職場・家庭等でのコミュニケーション向上」だ。

 そして、これらの予防活動を効果的に行うために取り入れたのが、「玉入れ大会」と「いきいき健康ナビゲーション(以下、健康ナビ)」である。「健康づくりの効果を得るには、まずはその機会をつくることが大切。その機会づくりとして選んだのが、この2つだった。こうした機会を通して成功体験を経験してもらい、さらにそれが習慣化することで、健康の増進や維持、職場環境の活性化を図ることができる」とパナソニック健保組合健康開発センター所長の阪本善邦氏は説明する。

 「玉入れ大会」というと、「いい大人がやることか」と思う向きもあるだろうが、これが自分の健康状態を改めて認識するにはよい方法だという(写真2)。「まずは、玉入れとバカにできるところがいい。そのバカにしている玉入れを、実際にやってみると息切れや筋肉痛などで思うようにできないことを実感できる。地面にある玉を拾って、上のかごに投げ入れるのは、スクワットを続けるようなもので意外に体力が必要だ」と阪本氏。

 その結果、息切れや体が重いという人は特定保健指導で減量につなげる。筋肉痛や体力不足の人には、後述する「健康ナビ」のウォークラリーで体力づくりをしてもらう。また、玉入れの楽しさや一体感は、職場環境の改善やコミュニケーションの向上に寄与するという。

 一方、健康ナビは加入者専用のWebサービスで、2012年8月から本格始動させた。加入者は過去5年の自分の健診結果が閲覧できるが、視覚的に変化が捉えられるよう、人形イラストの頭部の色の違いで血圧を、腹部の大きさで肥満度を示すといった工夫がされている(図4)

健診4週間前から「カウントダウンメール」が届き、健診に向けての意識付けも行う。さらに、年に2回、全社を挙げての健康活動日があり、その一つである「禁煙デー」には終日喫煙室を閉鎖したり、分煙環境調査を行う。それに合わせて30日間の連続禁煙を目指す「禁煙ラリー」も実施。健康ナビのラリーマップに禁煙の可否をチェックしていくことで、禁煙をサポートする。

 また、健康と生活習慣について考える日として「ヘルスアップデー」を設定。これに合わせて1日1万歩以上歩くウォークラリーや、就寝前に5分以上の歯磨きをするハッピーラリーも催し、禁煙ラリーと同様30日間 Webでチェックし、他の人の状況と比較することができる。達成者には達成証明書を発行し、モチベーションの向上にもつなげる工夫をしている。

 「事業場での活動と、家庭での実践をつなげることで、健康増進や維持という成果を達成できる」と阪本氏は強調する。

データヘルス事業により、さらに健康経営が推進

 トヨタ健保組合やパナソニック健保組合の活動にもあるように、効果的な方法を見つけ出し、保険者機能を発揮するには、現状を把握することが重要となる。そのために現在、厚生労働省が推進しているのがデータヘルス計画だ。これは、保険者が加入者の疾病や受けた医療内容が記されているレセプト情報と特定健診などの情報を突き合わせて分析し、それを活用した保健事業計画を策定・実施していくことを推進するものだ。

 「データヘルス事業により、保険者(企業)は健康経営を大きく推進させるツールを手に入れることになる。あとは、それを活用するスキルがあるかどうかだ。これまでは折角、健診をしても適切な受診につながっているのか分からなかった。今後、データに基づけばより有効な指導が可能となり、健康寿命の延伸にもつながるだろう。それこそが、本来の保険者の大きな役割の一つだ」と尾形氏は語る。

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