「大型」「高機能」の背景に3PL事業やEC市場の急拡大

図3/倉庫着工建築物の床面積と、倉庫一建築物あたり床面積の推移

ここ数年、物流施設のスペックは大きく変化してきた。特に、「大型化」「高機能化」が、この数年のトレンドとなっている。

「大型化」の傾向は、新設倉庫の着工動向にも表れている(図3参照)。ここ半世紀の推移をさかのぼると、最初のピークは1970年代前半。当時は延べ床面積合計が1500万m²にも達したが、1棟当たりの平均床面積は広くても250m²程度だった。ところが2000年度以降、1棟当たりの平均床面積は急速に増え始め、600m²近くに達した時期もある。

もちろん、この数値はあくまで平均値。どの程度の床面積を「大型」とみるかに関しては、物流施設に投資するJ-REITの考え方が参考になる。

それによれば、ある投資法人が自法人で保有する施設の一般的な特徴として挙げる規模は、延べ床面積でおおむね1万6500m²以上。また別の投資法人も、投資する対象施設の規模として同じく1万6500m²、つまり約5000坪という目安を示している。

「高機能化」の流れも、これらの投資法人の姿勢に表れている。

ある投資法人では自法人で保有する物流施設の機能面での一般的な特徴として、(1)有効天井高おおむね5.5m以上(2)床荷重おおむね1.5t/m²以上(3)柱間隔おおむね10m×10m(4)上層階にトラックが直接アクセス可能な大型ランプウェイまたは十分な搬送能力を備えた垂直搬送機能――などを挙げる。スペースの使い勝手や車両の出入りのしやすさが問われている。

「大型化」や「高機能化」の背景にあるのは、サプライチェーン管理機能を請け負うサード・パーティー・ロジスティクス(3PL)事業や電子商取引(EC)市場の急拡大である。

「これらの事業はいずれも、高い機能性を持つ作業効率の良い大型物流施設を基盤として成り立っている業態です」と赤尾氏。先ほど挙げたような仕様を備えた物流施設を利用し、作業効率の向上を図ることが、それぞれの業界での競争力を高めることに直結するという。

機能面で求められている点にはこのほか、災害対応力もある。具体的には、地震時の揺れ幅を小さくするため地盤と建物の間に免震装置をかませる免震構造を採用したり、停電時でも一定期間は利用可能な非常用発電機を設置したりする対応がみられる。

湾岸から内陸に向かう立地 今後はBTS型が主流になる

物流施設の高機能化、自動化の流れに一段と弾みが付いていくと、今後はテナント企業1社を確定させたうえで、施設をその仕様でつくり上げ、一括貸しする「Build To Suit(BTS)」と呼ばれる開発形態が主流になっていくのではないか、と赤尾氏はみる。「自動化機器には建物と一体構造化したものもあり、また物流ロボットや物流機器活用に適した環境整備等のため、設計段階から天井高や施設の仕様などを事前検討する必要があるからです」。

「大型化」「高機能化」という施設の特性とは別に、その立地に関してはどのような傾向がみられるのか。

たとえば、「DPL流山」の最寄りの流山インターは、環状道路である東京外かく環状道路(外環道)と国道16号のほぼ中間点。都心部から直線距離で約25kmの地点に位置する。この立地を赤尾氏はこう評価する。

「都心部への転送を見すえて物流拠点を配置する場合、圏央道周辺が限界で、できれば都心部からの距離が30kmほどの国道16号周辺以内が望ましいとされています。一方、流山インターより都心部寄りの地域で開発の見込める土地は極めて少ない。都心部への配送を見すえた物流施設を整備するには希少な立地と言えます」

図4は、首都圏で2016年以降に完成または完成予定の主な賃貸用大型物流施設の分布を示したものだ。そこでは、2つのゾーンで新規立地が目立つ。

一つは、常磐自動車道周辺の流山から国道16号周辺の柏や印西に至る千葉県の内陸ゾーン。もう一つは、埼玉県内の圏央道周辺ゾーンだ。これらの内陸部は、物流施設の集積地である臨海部に比べ土地代が安い。そのうえ、圏央道は途切れていた区間が神奈川県内と千葉県内の一部を除き全てつながったことから、その周辺への立地が相次いだ。

図4/2016年以降に完成または完成予定の主な賃貸用大型物流施設

圏央道の外にも立地が拡大 古い小型施設の行方にも注目

「ただ圏央道周辺までのゾーンは飽和状態。大型施設を開発できるようなまとまった土地はそう見当たりません。最近はさらにその先、栃木県や群馬県の南部に立地するケースもあります」(赤尾氏)。開発余地を求めて立地がさらに内陸に入る例がみられるという。

もちろん、都心部から離れる分、土地代は安く済むにしても、賃貸事業としてはリスクが高まる。それだけに、都心部から離れた立地では、「BTS」が中心になるとみられる。

赤尾氏が注目するのは、内陸部で新規供給が続く一方、老朽化した物流施設はどうなるのか、という点だ。先ほどグラフで示したように、1970年代前半に盛んに建設された倉庫は築50年近く。倉庫の使用可能年数は一般的に40年から50年程度と言われており、倉庫としての継続利用に問題のある老朽化した小型施設が大量に生じてくることとなる。

それらを物流施設としてどう使い続けていくか。あるいはその地域で需要のある他の用途の施設に変えていくのか。状況に応じて検討する必要がある。赤尾氏は「『大型』『高機能』の開発適地を生み出すことに加え、その検討場面でも、不動産会社の役割は求められていくはずです」とみている。

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東急リバブル 取締役常務執行役員 ソリューション事業本部長 岡部 芳典
東急リバブル 取締役常務執行役員 ソリューション事業本部長 岡部 芳典
東急リバブル 取締役常務執行役員 ソリューション事業本部長 岡部 芳典
東急リバブル 取締役常務執行役員 ソリューション事業本部長 岡部 芳典

大和ハウス工業の物流施設「DPL流山」の開発で、開発地の選定を主導したのが東急リバブルだ。このプロジェクトでは建設予定地の「農地転用」が前提となっていた。東急リバブルは開発適地を探すだけでなく、転用や開発に必要な許可手続きを担い、新たな事業機会を創出する役割を果たした。

東急リバブルは、すでに稼働している施設(アセット)のマネジメントに加えて、「開発型のアセットマネジメント事業」にも積極的に取り組んでいる。物流施設だけでなく、ホテルや住宅、オフィスビルなど幅広いアセットが対象だ。

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