Mixed Realityから始まる産業革命

製造業、設備業、建設業など先行事例が続々 Mixed Reality 2020大予測

Mixed Reality (以下、MR)はもはや未来ではない。物理世界とデジタル世界を融合するMRは、 HoloLens 2 の登場によってさらに使いやすくなり、ビジネスへの浸透が加速している。現場や会議室でデジタル情報を3D空間に展開し、複数の担当者が同じビジョンを共有して仕事を進める仕組みは、確実に普及しつつある。
マイクロソフトのMR基盤に独自のアプリケーションを提供するベンダー企業も増えてきた。Microsoft Mixed Reality パートナープログラム(MRPP)の認定パートナーは、すでに25社を数える。
この25社は、マイクロソフトのMR基盤に独自の技術とノウハウを統合し、日本のビジネス環境に革命を起こそうとしている。働き方改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)をMRで支援し、日本企業の競争力を次のレベルへ引き上げるためだ。今回は、製造業、設備業、建設業など Mixed Reality の先進事例を紹介する。

製造業では直感的なトレーニングや操作確認を可能に

MRはあらゆるビジネスに活用できるが、その中でも、導入が先行している業界がいくつかある。その1つが製造業だ。MRPP認定パートナーのホロラボは、すでにこの分野で実績を重ねている。
同社が提供する「 mixpace 」は、CADやBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の3DデータをMR向けに自動変換できるアプリケーションだ。企業が保有する豊富なデータ資産をそのまま生かし、新たなビジネス機会を創出している。
データ変換は驚くほど簡単だ。専用のウェブページにデータをドラッグ&ドロップするだけで、美しい見栄えを保持したままポリゴン数を削減し、MR用のデータに変換してくれる。

現場の作業環境にデジタル情報を重ね合わせ、直感的なトレーニングや操作確認を可能にする
「 mixpace 」。

「 mixpace 」は、現場の作業環境にデジタル情報を重ねて表示し、直感的なトレーニングや操作確認を可能にする。マニュアルと実物を交互に確認する従来のトレーニング方法に比べ、作業員のスキルアップは格段に速まる。リードタイムの短縮やコスト削減に大きく貢献するという。日本の人口は2011年以降、減少が続いており、将来的にも減少が続く見込みだ。2050年までに約1億200万人まで減少すると予想されており、都市部と地方部の人口格差はさらに拡大することが見込まれる。こうした労働力不足に加え、技術の伝承にも課題がある製造業において、MRが救世主となるかもしれない。

東京電力ホールディングスとの実証実験が話題に

設備業界では、ポケット・クエリーズと東京電力ホールディングスによる共同研究が話題となっている。変電所の保守点検で運用した実証実験の成果を、独自のMRソリューション「 QuantuMR 」に結実させた。

東京電力ホールディングスとの共同研究によって誕生したポケット・クエリーズの「 QuantuMR 」。変電所の保守点検で実証実験が行われた。

遠隔地にある管理室から、PCを使用して現場の作業員が見ているビジョンを共有し、リアルタイムの指示や共同作業を可能にしている。
また、現場の作業員はいつでも作業手順書のデータを呼び出し、確認しながら作業を進めることができる。現場の状況にデジタル情報を重ね合わせ、より精度の高い判断ができる。敷地内にある危険な設備や区域を指定しておけば、現場の作業員が誤って近づいた場合にアラームで通知する機能もある。このような安全面でのMR活用は、設備業界を中心に急ピッチで進められている。作業の迅速化や省力化、異常の早期発見による費用削減といった効果が期待できるほか、技術継承、人材育成などにも活用できる。

実物大のCADデータ展開で建築や土木の現場が変わる

建設業界でも、MRの導入がいち早く進んでいる。
インフォマティクスが提供する「 infomatix GyroEye Holo (ジャイロアイ ホロ)」は、3Dまたは2DのCADやBIMのデータをMR向けに変換し、建築や土木の現場に原寸大で展開できる。設計図面をホログラムとして1分の1スケールで現実世界に正確に投射することで、さまざまな検証が可能となる。

インフォマティクスの「 infomatix GyroEye Holo 」。建築や土木作業の現場にCADデータを原寸大で展開できる。

現場に展開したCADデータやデジタル情報を複数の関係者で共有しながら、直感的な議論が可能で、誤解や齟齬の少ないコミュニケーションにより、判断のスピードと正確さが大きく向上する。その成果が作業効率の改善や時間短縮につながり、働き方改革の推進やコスト削減に貢献している。Infomatix GyroEye Holo は当初、建築施工現場での利用を想定して開発されたが、社会インフラ分野の企業からも引き合いがあり、道路や橋梁の現場での実証実験を重ねているという。今後は、橋梁・道路・トンネル等のインフラ構造物の維持管理や工事中の施工・品質管理での活用も期待される。

会議やプレゼンテーションの常識を変える

南国アールスタジオは、企業のオフィスに着目した。同社の「 WHITEROOM 」は、ミーティングやプレゼンテーションの常識を大きく変えている。MRでは、まるで、同じ会議室に集まり、顔を突き合わせてミーティングをおこなっているような会議を実現するが、加えて大きな付加価値ももたらす。画像、動画、3Dモデル、3Dマップなど、さまざまなデジタル素材をMRで3D空間に配置し、異なる環境にいる参加者で共有できる。配置したデジタル素材は、位置やサイズをリアルタイムに変更できる。
ユニークなのは、遠隔地にいる参加者をリアルなアバターで表現し、一緒に会議をしている臨場感を創出できることだ。

会議の常識を大きく変える南国アールスタジオの「 WHITEROOM 」。デジタル素材をMRで3D空間に配置し、遠隔地にいる参加者をアバターで表現する。

アバターは、遠隔地の参加者が見ている方向を忠実に表現する。アバターを見れば、相手がいま何に関心を持ち、何について話しているのかを直感的に理解できる。
3Dペンを使用して、空間に投影した3Dモデルに修正点や問題点を書き込むことも可能だ。製品やパッケージのデザインレビューなどを想定している。
MRの視界をスクリーンショットとして撮影し、音声メモと一緒に記録することで、議事録を作成する手間が省ける。これを履歴として保存すれば、ウェブで閲覧できるようになる。

マイクロソフトも5つのMRアプリケーションを提供

マイクロソフトも、すでに5つのアプリケーションを提供している。
まず、 HoloLens 2 をビジネスに生かすための「 Dynamics 365 Business Applications for HoloLens 2 」として、「 Dynamics 365 Remote Assist 」、「 Dynamics 365 Layout 」、「 Dynamics 365 Guides 」の3つのアプリケーションが登場している。

HoloLens 2 を活用するためにマイクロソフトが提供している3つのアプリケーション。さまざまな現場でMRを容易に導入できる。

「 Dynamics 365 Remote Assist 」は、遠隔地にいる担当者同士がMRを介してリアルタイムに共同作業できる環境を提供する。問題をすばやく解決し、リードタイムを短縮したり、遠隔検査を可能にしてコスト削減につなげるような効果が期待できる。
「 Dynamics 365 Guides 」は、主に現場作業やトレーニングで使用される。複雑な作業手順をステップバイステップで3D表示し、作業効率を高めると同時に、作業品質の標準化が可能となるほか、トレーニングの効率を飛躍的に高める。
「 Dynamics 365 Layout 」は、共同作業でデザインやレビューを進めるためのツールだ。実物大の空間デザインをMRでリアルに体感し、共有することで、より正確な意思決定を可能にする。
以上の3つのツールに加え、さらに「 Dynamics 365 Business Applications for Mobile Devices 」として提供されている2つのアプリケーションがある。MRをモバイルに展開するためのツールだ。
「 Dynamics 365 Product Visualize 」を使用すれば、製品のデジタル・レプリカを客先の環境に3Dデータで投影し、モバイル端末で確認できる。営業担当者は、あたかも製品がそこにあるかのようなビジョンを顧客と共有できる。明確なイメージを顧客に提供することで、営業サイクルの短縮が期待できる。

顧客の環境に製品データを3Dデータで配置し、モバイル端末で確認できる「 Dynamics 365 Product Visualize 」。営業担当者をMRで支援する。

一方、「 Remote Assist for mobile 」は、前述した「 Dynamics 365 Remote Assist 」をモバイル端末で利用できるようにするものだ。展開が容易で、導入初日からすぐに利用できる利便性を備える。

Microsoft Mixed Reality パートナープログラム(MRPP)は充実し、認定パートナーから続々とユニークなアプリケーションが登場している。MRを導入したい企業にとって、その環境は整ったと言えるだろう。
いち早く導入した企業は、他社に先駆けてノウハウを蓄積し、効果的な活用スタイルを確立しつつある。その成果が市場競争力となって表れる日も近い。

Microsoft Mixed Reality パートナー企業のご紹介

  • HoloLens 2 Ready ソリューション:
  • Azure Mixed Reality ソリューション:
    • Azure Spatial Anchors プレビュー:
    • Azure Digital Twins +HoloLens:
  • Microsoft Dynamics 365 Biz Apps:
  • ※表記なしの企業は、各企業までお問い合わせください

株式会社アウトソーシングテクノロジー

AR匠

株式会社インフォマティクス

GyroEye Holo

株式会社エム・ソフト

Holospect

株式会社神戸デジタル・ラボ

株式会社セック

株式会社積木製作

DataMesh株式会社

DataMesh Director

株式会社電通国際情報サービス

株式会社ナレッジコミュニケーション

ナレコムVR

日本電気株式会社

日本ビジネスシステムズ株式会社

Microsoft HoloLens 導入支援サービス

ナレッジワークス株式会社

アプリ開発&ARサービス

南国アールスタジオ株式会社

WHITEROOM

株式会社ネクストスケープ

株式会社博報堂

株式会社博報堂プロダクツ

株式会社ポケット・クエリーズ

QuantuMR(クァンタムアール)

株式会社ホロラボ

mixpace

株式会社YE DIGITAL

株式会社wise

  • HoloLens 2 Ready ソリューション:
  • Azure Mixed Reality ソリューション:
    • Azure Spatial Anchors プレビュー:
    • Azure Digital Twins +HoloLens:
  • Microsoft Dynamics 365 Biz Apps:
  • ※表記なしの企業は、各企業までお問い合わせください