
この数年、全国で新規供給されるマンションの戸数は年間10万戸程度と減り続けていますが、2017年現在、日本全国にあるマンションのストック戸数は約634万戸と増え続けています。しかも、東京23区内では全世帯の約3割がマンションに居住しており、いまやマンションを「終の棲家(ついのすみか)」と考える人が5割以上もいると言われます。
よく「マンションは管理で買え」と表現されます。ただ、マンションの資産価値を維持するために必要なのは、自分たちが暮らすマンションを「経営」していくという視点です。
つまり、管理を他人任せにするのではなく、例えば「資産価値を下げない」「良好な住環境を実現する」など、自分たちのマンションをどうしたいかという将来ビジョンを持ち、その実現に向けてマンション住民の意思統一を図り、積極的にマンションの資産価値を守る取り組みを展開すべきでしょう。
住民の高齢化や賃貸の増加によって、最近は管理組合の活動にマンション管理士や弁護士、建築士などの専門家を活用するマンションもあります。それでも、終の棲家としてマンションに長く住み続けたり、資産価値を維持したりするためには、なにより管理組合の活動が活性化していることが必要です。
マンション住民はいわば運命共同体。収入や家族構成の違いなどで、住民の価値観や望むものに温度差があっても、住民同士が日ごろからいい関係を保っていれば、将来についての合意形成が得られやすくなるはずです。マンションの資産価値を守るためにも、良好なコミュニティーを形成していくことが、ますます重要になっていくと思います。