「流通の近代化が世界平和につながる」という故・中内㓛氏の信念のもと、世界で唯一、流通を総合的に科学することを目的に創設された流通科学大学。建学の理念は脈々と受け継がれ、現在理事長兼学長を務める中内潤氏により、新たな実を結ぼうとしている。キーワードとなるのは、「夢の種」だ。それは、なりたい自分を実現させる種。大学生活の4年間は、その種を「探す」「育てる」「咲かせる」ためにあるとし、2015年度から異色の教育カリキュラム「夢の種プロジェクト」を実施している。
「プロジェクトの背景には、『将来何になりたい』という明確な目標を持つ学生がどれだけいるのか、という問いかけがありました。大学で学ぶ4年間は、この先数十年の生き方の指針を決める大切な時間。『なりたい自分』を早く発見し、その夢をかなえるための実践的な学びの場としてほしい。そうした想いから、抜本的な改革に取り組んでいます」と中内氏。
まず変えたのは、入学式。流通科学大学には毎年900人以上の新入生が入学するが、会場ではその全員が壇上に上がり、一言ずつスピーチを行うという。入学初日から当事者意識を持たせることが狙いだ。また、直後に編成される約40人のクラスは、学部・学科を混在させ、幅広い視野を醸成。クラス単位で1泊2日のキャンプをしたり、ショッピングセンターを見学するなどしてコミュニケーション力の向上を目指す。1年次前期は、先輩や卒業生との交流、企業から人を招いた講義、地域活動などを通じて見聞を広め、自分が何をしたいのかを「探す」時間に充てるというわけだ。
「最初の1年で見つけた“本当にやりたいこと”を学べるよう、2年次には学部・学科を自由に変更できるようにしました。2016年度は37名が転学部・転学科を果たしており、夢や目的意識を持たせるカリキュラムに成功の手応えを感じています」

商学部(経営学科/マーケティング学科)、経済学部(経済学科/経済情報学科)、人間社会学部(人間社会学科/観光学科/人間健康学科)の3学部、7学科、16コースで運営。生徒数は3432人(2017年5月現在)