スカルプDメディカルミノキ5ヒットの理由を探る

スカルプDメディカルミノキ5ヒットの理由を探る

森永 拓郎

経済アナリスト。1957年東京都出身。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局等を経て、現在は獨協大学教授。専門はマクロ経済、計量経済、労働経済。難しい「経済」を紐解く、その語り口は解りやすく、軽妙である。テレビやラジオ番組のコメンテーター、パーソナリティーとしても活躍中。

叶屋 宏一

1989年上智大学を卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。1997年メリルリンチ日本証券入社、2002年バンクオブアメリカ証券入社、2004年クリムゾンフットボールクラブ(Jリーグ:ヴィッセル神戸)入社、専務取締役。2010年同社代表取締役社長。2016年アンファー入社、常務取締役。2017年より同社専務取締役。

「スカルプD」シリーズで知られるアンファー初の発毛剤、「スカルプD メディカルミノキ5」が注目されている。独自のブランド展開やプロモーション戦略が功を奏し、20~30代の若者世代にも大反響。発毛剤のデビュー年齢をぐっと下げた功績は、市場にとっても明るいニュースとなった。この現象に着目したのが、経済アナリストの森永卓郎氏。アンファーに赴き、専務取締役の叶屋宏一氏に快進撃の理由を訊いた。

第1類医薬品 販売名:スカルプD メディカルミノキ5

「スカルプD メディカルミノキ5」が売れている4つの理由

森永

「スカルプD メディカルミノキ5」が話題を呼んでいます。「スカルプD」といえば男性用シャンプーで有名ですが、「メディカルミノキ5」はどんな商品なんですか。

叶屋

発毛成分「ミノキシジル」を5%配合した第1類医薬品の発毛剤です。実は発毛剤市場に新規商品が登場するのは20年ぶりのこと。それを“シャンプーの会社”が実現できたのは、当社がおよそ20年前から医師と連携して商品の研究・開発を行ってきたからだと自負しています。また、シャンプーのように長く愛用していただくために、薬剤でありながらもしっとり感を追求し、酸化防止剤も不使用。頭皮にやさしく塗布できるクッションラバーヘッドを採用するなど、使い心地にもこだわりました。

『クッションラバーヘッド』は頭皮への刺激を抑えつつ、頭皮をしっかりグリップし無駄なく塗布できるのが特徴。

森永

「スカルプD」のブランド力に加え、医師との共同開発というのは大きな安心材料となりますね。

叶屋

初めての医薬品ということで、当初はお客様の反応も気になりましたが、結果的には好感をもって受け入れていただけたようです。

森永

その成果は、登場1カ月で計画比約150%という売り上げにも表れています。ずばり、好調の理由はどこにあるとお考えですか。

叶屋

ポイントは4つあると考えています。
1つは、お客様にもなじみのある「スカルプD」から登場した発毛剤であること。今回の反響を受けて、あらためて「スカルプD」ブランドの信用力の高さに自信を得ることができました。

2つ目は、ミノキドクターズサポート」という画期的なサービスで、商品使用のその先まで考えたケアをご提供できた点。

さらに3つ目には、草彅剛さんと香取慎吾さんを起用したCMやスタイリッシュな製品パッケージなどに象徴される、独自のマーケティング戦略があります。

そして最後が、WEB戦略。「スカルプD」シリーズの65%がWEBで購入されているという実績から、WEB上の広告展開や認知対策をきめ細かく行い、WEBでの買いやすさにも力を入れました。

草彅剛さんと香取慎吾さんを起用したCMは、その印象的な外見とローンチ手法で話題を呼んだ。

森永

どれも納得の分析です。やはりブランド力は大きいし、話題性のあるタレントを起用した広告展開も秀逸。WEBをステージに選んだのも正しい戦略だと思います。発毛剤はお店では買いにくいと考えている人も多いでしょうからね。ところで、「ミノキドクターズサポート」というのはどのようなサービスなんですか。

叶屋

当社ECサイトで「スカルプD メディカルミノキ5」の4本セットをご購入された方が、提携の薄毛専門クリニックを初診無料でご利用いただけるサービスです。ミノキシジルは、使用開始から約6カ月を過ぎても効果がみられない場合、医師または看護師に相談することが勧められています。でも実際には、「どこに相談すればいいかわからない」「相談しにくい」という声も多い。そうした理由から治療をあきらめてしまうお客様に対しての解決策として生まれたのが、「ミノキドクターズサポート」です。

森永

日頃から医療機関と連携しているアンファーさんだからこそできたサービスといえますね。商品を開発して販売するだけでなく、その先のことまできちんと考えている。こうした一人ひとりに寄り添った姿勢もまた、ブランドの魅力につながっているのでしょう。

20代、30代に刺さる絶妙なプロモーション

森永

「スカルプD メディカルミノキ5」は、売り上げの約40%を20代、30代が占めているそうですね。これまでの発毛剤といえば、“おじさんが使う”ものでしたが、そのイメージをガラリと変えました。

叶屋

実は、薄毛専門クリニックへの問い合わせ件数の約7割が20~30代なんです。若年層の方もそれだけ薄毛に苦労している。むしろ、昔より美意識が高くなった分、その悩みは深刻です。にもかかわらず、発毛剤のボリュームゾーンは50代、60代が主流で、20代~40代は「シャンプーで対処したい」と考える傾向にあります。そこで、今回は若者世代に対するプロモーション戦略を打ち出しました。悩んでいる方に、こういう手段がありますよ、と広く伝えていくのも我々の使命だと考えたからです。また、男性用商材の購買行動には奥さんやお嬢さんの意見が大きく影響することを踏まえ、女性にも注目していただけるような施策を展開しました。

調査期間2018年8月 n:男性 1,000人 出所:アンファー調べ

森永

草彅剛さんと香取慎吾さんが「ミノキ兄弟」に扮したCMには、私も驚きました。出演している情報番組でそのニュースを取り上げたときも、ものすごい反響があったんですよ。今回のプロモーションの流れとポイントを教えていただけますか。

叶屋

今の世の中で「国民全員に伝える」というのは不可能なので、一部の限られた層に強烈なインパクトを与え、その人たちに広めてもらうという方法を採りました。そのキーとなったのが、現在パワフルに活躍されている草彅さんや香取さんの起用であり、新商品お披露目のタイミングです。「スカルプD メディカルミノキ5」の発表は、発売前日の今年8月5日に、インターネット放送であるAbemaTVの番組『7.2 新しい別の窓』で行いました。おふたりが「ミノキ兄弟」として出演されることも同時に公表し、その斬新な露出とビジュアルは、「Twitterトレンドランキング」「Yahoo!リアルタイムランキング」でたちまち上位ランクインするほどの話題に。狙い通り、20代、30代の注目を集めることができました。

森永

プロモーションの成功により、「スカルプD メディカルミノキ5」は若者世代の発毛剤、と強く印象づけられましたね。そうなると困るのが私たちの世代。おじさんが使ってもいいんでしょうか(笑)

叶屋

もちろんです。どんな世代であれ、髪の悩みは手遅れになる前に対処していただくのがいちばんですから。

森永

「スカルプD」シリーズは頭皮・頭髪向けのブランドですので安心ですね。発毛という新たな力を得た今、「スカルプD」ブランドの目指す方向性を教えてください。

叶屋

「スカルプD」は、9年連続で男性用シャンプーシェアNo.1※を獲得しています。昨年は予防に着目した「スカルプDネクスト」を発売し、今回の「スカルプD メディカルミノキ5」の登場により、「予防」「育毛」「発毛」のトータルケアを確立することができました。今後も当社ならではの技術とノウハウを活かし、お客様のニーズに深く、幅広く応えられるブランドにしたいと考えています。※富士経済「化粧品マーケティング要覧2018No2」メンズシャンプー・リンス(2009年~2017年)。

スカルプDシリーズはシャンプーだけではなく、スタイリング剤などさまざまな商品を展開している

森永

では最後に、今後の経営戦略や展望についてお聞かせください。

叶屋

お客様に最後まで寄り添うために、現在ご好評いただいている「ミノキドクターズサポート」のさらなる充実なども検討しています。同時に実店舗販売も強化し、今年度中に800店舗、次年度には5000店舗にまで取り扱いを拡大する予定です。また、ミノキシジルの効果をサポートする商品開発にも取り組み、シリーズの相乗効果を高めていきたい。実をいうと、「スカルプD」にはすでに頭皮環境を改善する成分を取り入れたリニューアルを施しているんです。予防から育毛、発毛まで、「スカルプD」シリーズでまとめて解決し、多くの方にご満足いただけるよう、今後もさまざまな研究に取り組んでまいります。

森永

毛髪に悩む人、とくに若者世代にとっては新しい解決手段として歓迎された「スカルプD メディカルミノキ5」。使い慣れた「スカルプD」ブランドの1ピースということで、20代、30代の発毛剤へのハードルを下げることにもつながりました。薬剤の処方や容器形状、パッケージへのこだわり、「ミノキドクターズサポート」などのサービスの一つひとつに、お客様に寄り添うという姿勢が表れている点も好感度を高めているのでしょう。「スカルプD」シリーズの展開には、私自身おおいに期待しています。今日はありがとうございました。

森永氏と叶屋氏の対談取材は、終始和やかな雰囲気で行われた。