今年日本とインドネシアは国交樹立60周年を迎えた。この間、さまざまなレベル・分野での交流が進み、ますます盛んになっている。日本企業の進出が進むと同時に、インドネシア企業の日本進出も増えており、そのひとつである製紙会社アジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)グループは、1990年代から日本に進出。特にコピー用紙などの情報紙分野で強い存在感を示している。近年APPは環境経営に大きく舵を切り、環境に配慮した施策を次々と打ち出す。成果が出始めたこれらの施策と、9月に行われ今年で5回目となる日本からの植林ツアーについて紹介する。

APPが環境経営へと舵を切ったターニングポイントは、2012年「持続可能性ロードマップVision2020」を制定したことだ。これは、2015年国連サミットで策定されたSDGs(持続的な開発目標)を先取りするような内容であり、認証材や植林木などによる原料調達、気候変動抑制のためのCO2排出削減、森林再生と生物多様性保全の支援、地域社会紛争の解決、先住民の人権保護などを指針として打ち出した。さらに2013年には独自の森林保護方針(Forest Conservation Policy/FCP)を発表し、自然林伐採ゼロ、泥炭地管理、地域コミュニティの生活改善を掲げ、責任ある原料供給会社となることを世界に対して誓約した。

FCP発表直後から、APPのコンセッション※1のすべてで自然林伐採を中止した。製紙用のバージンパルプのすべては専用の植林より調達。それは、現在に至るまで継続して実施している。さらに、自社のみならず、サプライチェーン全体で調達を可視化し、環境規則への完全順守を実施。APPのサプライヤーの植林地のうちPEFC/IFCC森林管理認証※2を取得している植林地の割合は、2015年の12%から2017年には86%まで上昇している。

※1 コンセッション:インドネシアの森林は大部分が国有林である。各企業は国や州政府からその使用権を得て利用するが、そのエリアのことをコンセッションという。
※2 持続可能な森林管理のために策定された国際基準に則って林業が実施されていることを第三者認証する「森林管理認証プログラム」。

インドネシアは、森林面積が世界第8位※3、アジアで最大規模の低地熱帯雨林を有する森林大国だ。しかし、残念ながら森林の減少面積も多い。その理由のひとつは、森林火災の多くが泥炭地で起きていることによる。泥炭土とは有機物が長い年月をかけて固まったもので、石炭の一種。そのため、森林火災により泥炭に火がつくと地中でくすぶり、別の場所に飛び火してしまう。数日から数週間後に飛び火することもあり、火種を根絶することが難しいのだ。

※3 FAO, 2010, Global Forest Resources Assessment (Main Report)

人的要因もある。野焼きによる開墾は手軽であることから、古くから焼畑農業が続けられてきた。現在インドネシア政府もこれを問題視し、規制や監視を強化するなどの取り組みに励んでいるが、これも根絶は難しい。さらに、貧困を起因とした違法伐採も後を絶たない。

これらの課題を解決するため、APPは、地域住民が森林破壊をしなくても済むよう地域コミュニティを支援する事業を実施。総合森林農業システム(IFFS)を策定し、APPが資金の提供や技術指導、販売支援などを行い、地域住民の代替生計手段の確保に向けて協力を続けている。このIFFSプログラムは2018年3月現在で191の村で実施され、537の農民グループが参加。1万3814世帯がその恩恵を受けている。最終的には、500の村で実施を目指しているという。

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