日経ビジネスオンラインスペシャル

第4次産業革命で変わる世界変わらない金の価値

第4次産業革命で変わる世界変わらない金の価値

世界経済の行方と輝き続ける金の魅力について、経済学者の竹中平蔵氏と英国ブリオンボールト社の金取引のオンラインサービスを独占媒介代理店として提供するブリオン・ジャパンCEOの平井政光氏が語り合う本対談。前編において竹中氏は、「世界経済の先行きが不透明な中、強いよりどころを求める思いが金の価値を支えている」と説いた。

世界経済の行方と輝き続ける金の魅力について、経済学者の竹中平蔵氏と英国ブリオンボールト社の金取引のオンラインサービスを独占媒介代理店として提供するブリオン・ジャパンCEOの平井政光氏が語り合う本対談。前編において竹中氏は、「世界経済の先行きが不透明な中、強いよりどころを求める思いが金の価値を支えている」と説いた。

リスク資産と金をうまく組み合わせることが大切

リスク資産と金をうまく組み合わせることが大切

平井:投資対象としてビットコインやイーサリアムといった仮想通貨が注目される中で、昨年は金価格も上昇しました。通常、リスク資産と安定資産の値動きは相反するものです。これまでにない展開といえますね。

竹中:米ドルが相当不安定な要素を抱えていることが大きく影響しているでしょう。いくつかの通貨は、その価値がほとんどゼロになってしまうほどの暴落を経験してきました。それに対し、金の価値がゼロになる心配はない。非常に特殊な資産ですよね。安定的に資産を保有するためのよりどころとしての位置づけは今後も続くでしょう。

平井:一方で、金は短期間で価格が急上昇するということもありません。やはりリスク資産とうまく組み合わせることが大切ですね。

竹中:問題は、日本の投資環境です。近年の世界最大の成長産業は何だと思いますか? 私はライドシェアだと思います。ウーバーは設立から10年もかからず、日本のメガバンクを超える企業価値を持ちました。ところが日本では、タクシー業界の反対によって一向に普及が進んでいません。成長戦略といいながら、世界最大の成長産業を拒否しているんですよ。ビットコインのような極端な投資対象に資金が向かいがちなのは、そうした背景もあると思います。

平井:フィンテックの分野でも、日本は後れを取っているように感じます。

竹中:フィンテック企業は「お金に関するビッグデータを取り扱うテクノロジー企業」と定義できます。銀行と重ね合わせる必要はなく、これまでとは異なる新たな枠組みの下で発展させていかなければなりません。
 そのためには実験の場が必要ですが、実は三菱UFJ銀行と日立製作所がブロックチェーンの技術を使った小切手決済の実験をシンガポールで行っています。なぜシンガポールかというと、現行法の規制を止めた特区内で新技術を実証できる「サンドボックス制度」があるからです。
 日本でもようやく今年の国会でサンドボックス制度の法律が1本通りましたが、海外ではすでに多くの国が導入しています。もっとスピード感を持って推進していかなければならないと思います。

将来のお金に危機感を持つ若い世代が増えている

将来のお金に危機感を持つ若い世代が増えている

平井:特に優先的に取り組むべき課題は何でしょうか?

竹中:キャッシュレス決済の普及率を高めることでしょう。キャッシュレス化が進まなければ、第4次産業革命の実現に不可欠なビッグデータが蓄積されないからです。先日、アリババの中国本社に招待される機会がありました。アリババというとネット販売会社のイメージがあると思いますが、実はあの会社はビッグデータカンパニーなんです。
 例えば、都市の交通量のビッグデータをためて、今どのくらいの交通量があるかをリアルタイムに把握し、信号の青と赤の最適な間隔を人口知能に考えさせる。それによって道路の混雑が2割減り、救急車が到達する時間が半分になったそうです。そして、その都市の管理システムを売るんですよ。
 そうした金融とデジタルのリテラシーが日本にあるかといえば、疑問を感じざるを得ません。個人投資家の目線でいえば、リスクをとって果敢に攻めることが必要ですが、もちろん全部うまくいくわけがありません。そこで金のような安定資産を組み合わせて、しっかりとポートフォリオをつくっていくことが大切でしょう。

平井:当社の顧客のメイン層は50~70代ですが、最近は30代前後の方からの問い合わせが増えています。原資は少ないけれど将来のお金に危機感を持っているというのが若い世代の傾向のように感じます。

竹中:それはすごくわかりますね。土地神話の時代は金融リテラシーなんか必要ありませんでしたが、若い人はそれを考えざるを得ません。金融に限らず、我々の世代と若い世代とでは、発想がまったく異なります。新しいビジネスを生み出し、担っていくのも若い世代ですから、そうしたアクションはぜひ大事にしていただきたいと思います。

平井:はい。金融リテラシーは、少しずつ試して成功も失敗もして身についていくものです。世界の経済環境、金融環境に向き合う方々に役に立つサービスを今後も提供していきたいと思います。

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