海外出張をもっとラクに!海外出張にかかる工数を40%削減 NECの業務改革を支えた仕組みとは

グループ社員10万人を抱えるNECは、ムダの多かった出張交通費業務を改革し、新しい業務基盤としてクラウド型経費管理サービス「SAP Concur」を採用した。これにより、業務工数を40%も削減することに成功したという。そもそも出張にまつわる業務には、どんなムダがあったのか、そして、なぜこれほどの成果を上げることができたのか。SAP Concurを開発した米Concur Technologies社の日本法人であるコンカーの阪尾 素行氏と、NECマネジメントパートナーの及川 典子氏に話を聞いた。

申請、承認、航空券の手配、様々な手続きや準備を伴う海外出張

グローバルに事業を展開する企業では、年間多くの海外出張が発生します。コンカーは、この海外出張が抱える課題を解決するそうですね。そもそも、どのような課題があるのですか。

株式会社コンカー 事業開発本部 本部長 阪尾 素行氏
株式会社コンカー 事業開発本部 本部長 阪尾 素行氏

阪尾氏海外出張は、申請・承認をはじめ、航空券やホテル、場合によってはレンタカーの手配など、様々な業務が同時に発生します。この工数は見逃せません。

例えば、申請は紙の書類で行い、出張者本人が航空券の手配を行う。窓口となる旅行会社は定められていても、手配を行っているのは基本的に出張者本人。電話やメールで、旅程や希望の便を伝えて航空券を予約・購入しますが、一度のやりとりで完結することはほぼありません。それとは別にホテルやレンタカーも自分で手配し、帰国後は、為替レートなどを考慮しながら、複雑な経費精算を行わなければなりません。

航空券、ホテル、レンタカーなどの手配を出張者自身または旅行会社との間で行われることは、ほかの問題にもつながります。利用する航空会社やコストの上限などを定めていても完全に徹底することは難しく、ガバナンスを効かせづらいのです。場合によっては、割高な航空券やホテルの利用が増えてコストが膨らんだりします。

また、こうした状況は、出張者がいつ・どこにいるのかを把握するのも難しくなり、災害やテロのような万が一の事態発生した時の安否確認もままなりません。

確かに様々な問題がありますね。数件なら看過できたとしても、企業全体で見れば大きな問題になります。では、コンカーは、どのように課題を解決するのですか。

阪尾氏「SAP Concur」は、出張業務を統合処理するためのクラウドサービスです。SAP Concurにアクセスすれば、そこで、申請、承認、航空券やホテルの予約、そして、帰国後の経費精算までを一括して行え、出張業務を大幅に効率化します。

核となるオンラインブッキング機能は、旅行業界で広く使われているGDSという予約・発券システムだけでなく、全世界のホテル予約をサポートするHRS社のようなパートナー企業とも連携して(コラム参照)、世界中の航空券、ホテル、バス、レンタカーなどの予約が可能。推奨する航空会社、ホテル、コストの上限など、あらかじめルールを設定しておけばガバナンスも効かせることができます。

さらに、あらゆる出張に関する情報がSAP Concurに集約されるため、誰が、いつ、どこにいるのかもすぐに把握でき、万が一の際の危機管理にも有効です。


1年間に100万件も発生する海外出張の業務プロセスを改革

NECもSAP Concurを使って、出張業務の課題に取り組んだそうですね。

NECマネジメントパートナー株式会社 BPOサービス事業部 シニアエキスパート ICTソリューションプロフェッショナル 及川 典子氏
NECマネジメントパートナー株式会社 BPOサービス事業部 シニアエキスパート ICTソリューションプロフェッショナル 及川 典子氏

及川氏はい。背景には、NECグループの大規模な業務改革推進プロジェクトがあります。NECグループは、社員数約10万人に及ぶ大規模な組織です。以前は、ビジネスユニットやグループ会社ごとに業務プロセスが異なっており、大きなムダにつながっていました。現在、全社を挙げて、その改革に取り組んでいるのですが、海外出張業務もその対象です。

NECグループ全体の海外・国内出張、外出件数は年間約100万件。その事務処理にかかる時間はグループ全体で約7万時間にものぼります。

従来のプロセスは、申請を受けるのは人事部門、航空券の購入窓口はグループ旅行会社、経費精算は経理部門と、担当部門および業務プロセスが分散しており、出張者本人にも、管理側にも、多くの負担を強いていました。そこで、それらを集約して業務プロセスを策定。その基盤としてSAP Concurを導入しました。

実際に利用してみていかがですか。

及川氏NECは、HRSのホテル予約サービスに加えて、独自開発のシステムともコンカーを連携させて、海外出張だけでなく、国内出張にまつわる業務も一括で行えるようにしました。業務プロセスを統合し、業務改革が進んでいます。

特に海外出張のオンラインブッキング機能導入により、出張者本人がセルフサービスで航空券やホテルを予約できるようになり、以前なら何度もメールの往復が必要だった航空券の手配を20分程度で終えることができるようになりました。

加えて、出張に関するデータがすべてSAP Concurに集約されているため、出張の状況を可視化・分析し、課題を解決していくこともできます。例えば、航空券の予約がギリギリなことが多い部門があれば、業務に支障をきたさない範囲で早期予約、早割料金適応を促進するなどの取り組みも実施しています。

阪尾氏蓄積したデータを見れば、どの会社のサービスをどれくらい利用し、いくらかかっているかがはっきりと分かるので、航空会社やホテル会社との価格交渉の材料にも使えます。

具体的にはどのような成果が出ているのでしょうか。

及川氏例えば、従業員の海外出張後の煩雑な精算業務の効率化、また管理部門が航空券を手配するだけの業務はほぼなくなりました。このような業務改革が進んだ結果、海外出張の事務処理全体では約40%の工数削減につながっています。

リスク管理も向上しました。海外のある地域で震度7クラスの地震が発生した際には、SAP Concurの安全管理機能を利用し、直ちに現地の従業員に一斉に連絡を取りました。以前は、すべてを把握するのに2日近くかかることもありましたが、この時はわずか数時間で全員の安全を確認できました。

また、経費の見える化と様々な低減施策の実行により、航空券、ホテルにかかる費用は10%削減できています。


自らの経験・ノウハウを生かしNECが顧客の出張業務改革を支援

NECは自身の経験を基にSAP Concurを扱うビジネスを開始したそうですね。

及川氏NECグループの間接業務を集約するシェアードサービス会社であり、SAP Concurを導入・運用しているNECマネジメントパートナーが中心となってお客様に提案を行っています。

単にSAP Concurの導入をお手伝いするだけでなく、NECグループが行った業務改革プロジェクトの知見を生かして、既存プロセスの棚卸、ムダの洗い出しやコストの可視化、適切な標準業務プロセスの策定などまでトータルにサポートします。運用開始後には、事務業務そのもののアウトソーシングまでを引き受けることも可能です。

阪尾氏SAP Concurの導入支援企業は多数ありますが、ここまで大規模に自社で活用し、その経験を基に業務改革のコンサルティングから導入支援、運用定着、効果創出までトータルにサポートできるのはNECマネジメントパートナーだけ。この付加価値はお客様にとって大きな魅力であり、私たちとしても非常に心強いですね。

及川氏実際、多くのお客様から相談や引き合いを受けており、そのいくつかは既に正式契約し提供を開始しています。総合飲料食品グループ大手の、アサヒグループホールディングス様はその1社。グループを挙げて取り組む海外出張業務のプロセス改革を、人・システムの両面からサポートしています。

SAP Concurの今後の展望をお聞かせください。

阪尾氏TripItという旅程管理の機能を間もなくリリースします。手配した航空券や宿泊予定を基に出張スケジュールを自動生成する機能です。例えば、搭乗予定便の遅れ、搭乗ゲートの変更、施設の地図など、その予定にひも付く情報も連動して表示するので、不慣れな土地でも安心です。

このようなサービスの強化、そしてHRSやNECマネジメントパートナーをはじめとするパートナーとの協力関係をさらに発展させながら、今後もお客様の出張業務を改革し、経営基盤強化に貢献していきます。

企業ごとに独自のホテルポートフォリオを用意 ほかにはないBTMサービスを提供するHRS

HRSは、1972年に創業した、ホテルに特化したBTM(ビジネストラベルマネジメント)サービスを提供する企業です。オンライン予約ポータルおよび出張宿泊に関するBPOを中心にグローバルで4万社のお客様にご利用いただいています。

私たちが目指すのは、従業員が個別に行っている出張時のホテル手配を集約して業務プロセスを改革すること。そして、コストや安全性などを考慮した適切なホテル調達を促すこと。さらには、可視化したデータを基にホテルと交渉して、コスト面のさらなる最適化を図ることです。SAP Concurが航空券手配で提供する価値と、我々がホテル手配で提供する価値の親和性は非常に高く、それがパートナーシップにつながっています。

BTMと定義されているサービスは多数ありますが、当社のサービスはほかとは全く異なります。予約可能なホテルを単に一斉表示するのではなく、お客様のビジネスに最適なホテルポートフォリオを作成して提示するのです。

例えば、同じ製造業で、タイに工場を持っていたとしても、工場のある場所は違います。また、土地勘がなければ、そのホテルの設備レベルや安全性などまでは分かりません。

私たちは、世界中に1500名以上のスタッフがおり、グローバルにチェーン展開しているホテル、特定の国や地域だけでチェーン展開しているホテル、さらには現地のみでしか営業していないホテルまで、あらゆるホテルを調査した上でお客様のニーズに合ったポートフォリオを作成します。ですから、仮に初めて進出する地域でも安心してホテル手配を行えます。

現在、お客様により最適なポートフォリオを提案するためにAIや機械学習など最先端の技術を取り入れたり、立て替え精算が不要になる新サービスを三井住友カード様、マスターカード様と開発したり、様々なサービス強化に取り組んでいます。既に国内でも、NEC様など、多くの大手グローバル企業様にご利用いただいています。今後もSAP Concurと共に、日本企業の出張業務の改革に貢献していきます。

ホテル・リザべーション・サービス株式会社
代表取締役社長
マネージング・ディレクター ジャパン
本多 良行氏

お問い合わせ

株式会社コンカー
TEL:03-4570-4666(営業時間 9:00~18:00)
URL:https://www.concur.co.jp/contact