特別対談 放送作家 鈴木おさむ × ジャーナリスト 田原総一郎

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』を抜き、世界累計興収歴代9位(2018年6月時点)に入る快挙を成し遂げ、日本でも大ヒットした映画『ブラックパンサー』のMovieNEXが7月4日に発売。マーベル・スタジオ初の黒人ヒーロー作品であり、アフリカへのリスペクトにあふれた世界観が話題。現代の世界情勢を色濃く投影し様々な議論も巻き起こした同作のメッセージ性とヒットの秘密に、ジャーナリストの田原総一朗氏と放送作家の鈴木おさむ氏が迫った。

世界累計興収歴代9位。歴史的大ヒットの背景

ジャーナリスト 田原総一郎

鈴木『ブラックパンサー』は、マーベル・スタジオ作品として初めて、黒人を主役のヒーローにした作品というのが話題の一つですよね。逆に僕は黒人がヒーローのマーベル作品が、今まで作られていなかったことに驚きました。だって、ボクシングもベースボールもバスケットボールも、アメリカには黒人のヒーローがたくさんいるじゃないですか。

田原1960年代にアメリカで公民権運動がありましたよね。つまり、黒人差別をやめようという大運動があった。その代表的な存在だったキング牧師(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア)が殺された。今よりもっと前、国民的英雄の黒人が倒れた時代に生まれていてもいいはずの映画ですよね。

――原作のコミック本は、1966年に出版されています。ちなみにハリウッドでは、黒人が主人公のヒーロー映画は世界的大ヒットにならないというジンクスがあったようです。

田原やっぱり原作が生まれたのは、まさしくキング牧師の時代だ。それを実写化するまでに50年以上もかかっているとは意外だね。ヒットする映画を作ろうと躍起になっているハリウッドが、今までそこを見逃していたとしたら面白い。

鈴木最近の世界的ヒットの要因を分析すると、どこか一つに狙いを定めたものが多いんです。広く当てようとすると、なかなかヒットしない。今回その狙いが黒人のヒーローだったという見方ができるかもしれませんね。

田原ヒーローが黒人というだけでなく、登場人物のほとんどが黒人。しかも舞台となるアフリカのワカンダ王国は、万能の鉱石によって繁栄している。こんな作品は初めてじゃない? ただし、ワカンダ王国は国際交流がない閉ざされた国ですよね。主人公ティ・チャラ(ブラックパンサー)の父親で、前国王からの政策なんだけれども。

ジャーナリスト 田原総一郎
『ブラックパンサー』

舞台は驚異的な最新テクノロジーを隠し持つアフリカの超文明国家ワカンダ。父の死により王位を継いだティ・チャラ(中央)は、国の発展に欠かせない稀少鉱石ヴィブラニウムの秘密を守るべく、ブラックパンサーのスーツを身にまとって活躍する。

「賢者は橋を架け、愚者は壁を造る」は国際社会へのメッセージ?

放送作家 鈴木おさむ

鈴木ワカンダ王国の国民は幸せですよね。でもそれは自分たちが幸せならば良い、世界のことを考え出したらきりがないという思想のもとに成り立っている。身勝手にも思えるけど、今の時代それも正解かもしれないと感じるところもあります。

田原いわばワカンダ王国は反グローバリズム的なんだよね。彼らは万能の鉱物を独占していて、それで幸せに暮らせるから国際交流はしなくてもいいわけです。今は現実の世界でもグローバリズムに矛盾を感じて、内向きの政策をとる国が出てきていますよね。それだけに僕もこの映画の世界観がリアルに感じるところがありました。

鈴木万能の鉱石は、現実世界の核兵器に近いものとして描かれている気がして刺激的でした。最終的にこの鉱石をめぐる話になっていきますけど、どう使えば国際平和につながるのか、そもそも国際平和に使うことがワカンダ王国にとって良いことなのかなって考えさせられました。

田原閉鎖的だったワカンダ王国を変えようとするのが、主人公ティ・チャラの敵役であるキルモンガーですよね。彼は武力行使を肯定していて、内乱を起こして国際社会に出て行こうとする。

鈴木キルモンガーは、ワカンダ王国の秘密主義によって父親を殺されていますよね。それを思うと彼の気持ちも分からなくはないし、胸が痛いところでした。彼が行動を起こしたことで、主人公ティ・チャラが変わっていったところもあるし、すごく存在感のあるキャラクターでしたね。

田原この映画はそういった善悪で割り切れないところを、分かりやすく描いているのが良いね。作品はヒーロー映画らしい未来のある終わり方だけども、最後に主人公のティ・チャラが「危機に瀕したとき、賢者は橋をかけ、愚者は壁を造る」と言いますよね。反グローバリズムに向かう国際社会へのメッセージにもとれるこのセリフを受けて、作品を観た人がその先の物語をどう考えるかということにも興味があります。

放送作家 鈴木おさむ

『ブラックパンサー』STORY

『ブラックパンサー』公式サイト
『ブラックパンサー』公式サイト

アフリカの秘境にありながら、驚異的な最新テクノロジーを持つ超文明国ワカンダ。ここには世界を変えてしまうほどのパワーを持つ鉱石ヴィブラニウムが存在する。ヴィブラニウムが悪の手に奪われると、人類に未来はない。突然の父の死によって王位を継いだティ・チャラは、ヴィブラニウムの秘密を守る使命を背負うことに。また、ワカンダ国王となるものは、漆黒の戦闘スーツを身にまとって悪と戦うブラックパンサーに任命される運命をも背負っている。ティ・チャラはヴィブラニウムを狙う敵に立ち向かうべく、ブラックパンサーとして戦う。

スタッフ・キャスト 監督:ライアン・クーグラー/脚本:ライアン・クーグラー、ジョー・ロバート・コール/出演:チャドウィック・ボーズマン、マイケル・B・ジョーダン、ルピタ・ニョンゴ、ダナイ・グリラ、レティーシャ・ライト ほか

現代のビジネスパーソンにこそ観てほしい作品

鈴木この映画を観て何を語るかによって、人間力とか偏差値が分かりそうですね(笑)。企業の社長が部下に感想を聞いてみたら面白いと思いませんか。いろいろな考え方ができる作品だし、どこまで読み取るのかによっても見方が変わる。

田原面白いね。今の時代は、幸せというものが何だか分からなくなっていますよね。日本もある時までは、経済が活性化することが幸せだと思っていたけど、もうそれだけの時代じゃない。幸せの形が多様化している。

鈴木企業の社長なら敵役のキルモンガーの視点で観る人も多いと思いますね。大人同士が語り合ったら白熱しそうな映画だと思う。

『ブラックパンサー』

前国王である父親の遺志を受け継ぎ、葛藤しながらも国の秘密を守ろうとする国王ティ・チャラ(右)。そんな彼の前に、王位を狙う元アメリカの秘密工作員キルモンガー(左)が立ちはだかる。キルモンガーの出生には大きな秘密が。

田原企業の社長は、大きく分けると2つのタイプがいるんです。ビジネスで勝つことを優先する人、そして社員の幸せを優先する人。この作品で言えば、ビジネス優先だったのがキルモンガーで、社員の幸せを優先したのが主人公のティ・チャラということになるかな。

鈴木田原さんは、この映画をどんな人にすすめたいですか。

田原僕は若者に観てもらいたいですね。これから就職活動する人たちにもいいと思う。いろんな問題を考えさせられると同時に、何より観ていて楽しい。楽しいエンタテインメントの中で、学べることが多いと感じました。

激しいアクションと女性の活躍にも注目

鈴木おさむ × 田原総一郎

――では「楽しいエンタテインメント作品」としては、どんなシーンが印象に残りましたか。

鈴木僕は釜山でのカーアクションですね。カーアクションが素晴らしい作品は、本当に面白い映画だと思っています。バーチャルで運転するという新しい発想、それからブラックパンサーが車をサーフボードのように操るというぶっ飛んだ演出に引き込まれました。

田原出演する女優さんは、みんなきれいで格好良かったですね。そして、女性の強さ、素晴らしさが描かれているのがとても印象に残りました。天才的な科学者がいたりスパイがいたり、ものすごく強い戦士もいる。ワカンダ王国の女性は、知と力の両方持っていてユーモアもあるよね。

鈴木逆に男性は、ちょっと悩んでいる主人公のティ・チャラをはじめ、勝手でわがままな人が多かったですね(笑)。だから、なおさら女性の素晴らしさが際立っていました。ワカンダ王国では、動物のサイを飼っているじゃないですか。最後のアクションにも絡んできますが、暴れ出したら手がつけられない。でも女性の言うことだけは聞くんですよね。動物も女性にはかなわないというメッセージも、また素敵だと思いました(笑)。

――地球外とも思えるような驚異のテクノロジーが発展した舞台設定、迫力の肉弾戦、ハイテクを駆使したスピーディーなアクションなどエンタテインメント性抜群。アフリカとアフリカ系アメリカ人がたどってきた歴史、および現代社会の問題に目を向け、観る者に強烈なメッセージを投げかけてくる『ブラックパンサー』は、ビジネスパーソンにこそ観てほしい作品だ。

エレベーターピッチ
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田原総一朗氏・鈴木おさむ氏のほか夏野剛氏が『ブラックパンサー』の魅力をプレゼン!

エレベーターピッチとは、短い時間内で要点を絞って解説し、相手を説得するプレゼンテーション。今回の対談に出演いただいた田原総一朗氏、鈴木おさむ氏のほか、夏野剛氏がそれぞれの視点からビジネスパーソンに対する『ブラックパンサー』のおすすめポイントを制限時間60秒でプレゼン!

田原総一朗氏
鈴木おさむ氏
夏野剛氏
ブラックパンサーMovieNEX発売記念
著名人が語る『ブラックパンサー』のここがすごい!
エレベーターピッチ動画公開中
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