統合報告書が与える レポーティング革命

統合報告書が与える レポーティング革命

財務情報や環境や社会への配慮、さらには中長期的な経営戦略などを含めた非財務情報をまとめ、投資家たちに伝えるレポートとして知られる統合報告書。近年、その存在感を急激に高めている。その理由や背景にはいったいどんなものがあるのだろうか?

株式会社エッジ・インターナショナル 代表取締役社長

梶原 伸洋

外資系IR会社を経て1990年にエッジ・インターナショナルを設立。30年以上にわたり、日本企業のIRコミュニケーションを支援。これまで企画・コンサルティングを手掛けたアニュアルレポートや統合報告書は100社を超える。近年は、統合報告やESG経営の普及に努める。2008年「信頼できる経営者を見分ける法 ~それでもあなたはアニュアルレポートを読まずに投資を続けますか?~」を監修・発行。1982年慶應義塾大学卒業

統合報告書の必要性が増す
投資家たちとの対話の場面

統合報告書を発行する日本の企業数は2013年では95社にとどまっていたが、2018年10月末時点で410社。実に4倍以上の伸びを見せるなど、企業の姿勢がここ5年でガラリと変わった。こうした傾向には、「世界的な動きと国内の動きの2つがある」と梶原氏は語った。

「グローバルな動きでは、2006年に国連のPRI(責任投資原則)が立ち上がり、ESG投資の流れができたのが大きかったと思います。環境や社会、ガバナンスといった非財務情報を企業報告の中に入れるという要請が高まりました。国内でも⽇本再興戦略の一環で伊藤レポートが出て、日本企業の資本効率の低さが指摘された。その解決策のひとつが、企業価値向上に向けた企業と投資家との対話促進であり、そのプラットフォームとして統合報告書の活用が進んでいます。“対話”は、統合報告書のキーワードと言えます」

投資家との対話のツールは
最初から満点の必要はなし

以前から各企業はCSRレポートやアニュアルレポートを発行するなど、投資家やステークホルダーたちと対話をする機会は設けてきたが、うまく活用していたとは言い難い。

企業の環境や社会活動を包括したCSRレポートと事業戦略やガバナンス、財務内容が盛り込まれたアニュアルレポートはもともとターゲットが違っていた。時代の変化とともにCSRレポートは企業価値や財務との関連性がわかりづらく、アニュアルレポートは持続可能性の部分が弱いという難点が次第に浮上してきた。統合報告書が登場して以来、2つのレポートはそれぞれの強みをより高め、存在価値を上げたと梶原氏は解説する。

統合報告書は企業の強みを存分に紹介できるというのがメリットだが、一方で日本の企業は統合報告書の作成を苦手としているという。では、どんなところに不安があるのだろうか?

「統合報告書は法定開示物ではないので、本来もっと自由な発想でつくられるべきなのですが、原則主義で掲載項目も決まっていないため、どんな情報を掲載するかで悩んでしまったり、他社のベンチマークにエネルギーを費やしてしまう企業が多いんです。しかし肝心なのは、そもそもレポートを戦略的にどう使うのか?また自社としてどんなメッセージを発信したいのか?をしっかり考えること。これがクリアになるとレポートのコンセプトやコンテンツが自然と⾒えてきます」

梶原氏によると、いわゆる起承転結の「結」の部分にどんなメッセージを残すかに時間を割くことがポイントになる。そしてもう一つ大切なこととして、「最初から100点満点を目指さなくていい」と言う。企業が投資家やステークホルダーとのやりとりをする際に活用できるのが統合報告書の強みであり、大きな目的のひとつ。だからこそお互いがブレストを重ねて、ブラッシュアップしていくことこそが梶原氏がキーワードとして挙げた「対話」に繋がってくる。

時間を掛ければ増してくる
統合報告書がもたらす効果

統合報告書の登場によって、CSRレポート、アニュアルレポートの個性がより明確になり、投資家やステークホルダーには企業の特性がより鮮明にわかるようになっていった。しかし、統合報告書が広がるにつれて、様々な課題が見えてきた。そのひとつとして梶原氏は統合報告書を作る企業の姿勢の違いを挙げてくれた。

「現在(2018年10月末)までに統合報告書を作成している企業は410社ありますが、既存のCSRレポートとアニュアルレポートを組み合わせたコンバインレポートの類も依然として少なくありません。こういった作り方をしたものではやはり成果は得にくいでしょう」

統合報告書を法定開示物としている英国などを除くと、作成している企業数では他国を圧倒するという日本。しかし、活用できていない企業もある。現在の410社という数字がひとつの分岐点になると分析する梶原氏はより効果を発揮するには、統合報告書がもたらす効用に経営者がいかに早い段階で気付くかにかかっているという。

「統合報告書は作るプロセスが大切だと思っています。自分たちの会社の魅力や強みを見つけることに真剣に向き合うことは自分たちを見つめ直すよい機会にもなります。活用している企業の経営者はそこに時間をかけています。そうしてできた統合報告書は投資家やステークホルダーにはもちろん、社員たちにも響きます。自分が勤めている会社の価値や強みを十分に理解していない社員は意外と多かったりしますからね」

自社を改めて見つめ直すことで今まで気付かなかった資産や価値を知り、社員たちにも共有する。社員のモチベーションアップにつながり、ひいては業績が上がるという相乗効果が期待できる。対外的に発信するだけでなく、社員の意識を向上させるという統合報告書が持つもうひとつの利点がそこにはある。

そうしたメリットにいち早く気付いたある企業では社長自ら陣頭指揮をとって作成し、社員にはもちろん取引先にも配布するという。経営者が統合報告書で得られる効果を最大限に高めていることがよくわかる。さらに就職活動中の学生にも配布するようになってから、入社してくる社員のクオリティーが以前と比べると格段に上がったという。

梶原氏によると統合報告書を作る企業の間に年々格差が広がりつつあるという。企業の存在意義を明確にし、よりよくしていくためには統合報告書の存在が今後、必要不可欠になると言えるだろう。

株式会社 エッジ・インターナショナル

http://www.edge-intl.co.jp/

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