経営者のためのテクノロジー講座「AI/IoT」編 ~AI/IoT活用が生み出す新たなビジネスチャンス~

深刻な人手不足や働き方改革が、多くの企業の喫緊の経営課題として浮かび上がっている。人事にまつわるこれらの課題を解決する手段のひとつとして、現在大きく注目されているのが、人事とITを融合するHR(Human Resources)テクノロジーである。日経ビジネスオンラインでは、2018年5月31日、HRテクノロジーをテーマに「経営者のためのテクノロジー講座」を開催。HRテクノロジーの概要や技術動向、実践例、具体的なソリューションなどが紹介された。

ギブリー

Agile HRのススメ
〜21世紀型のエンジニア組織の採用・育成・評価〜

さまざまな産業分野とテクノロジーを掛け合わせたX-Techが注目されている。そのため、テクノロジーが経営戦略の根幹に入ってきており、優秀なエンジニアの採用ニーズが急激に高まっている。一方で、ビジネスやテクノロジーのトレンドが急激に変化するなかで、従来通りのサイクルで求人を続けていては、他社に後れを取る可能性もある。ソフトバンクの経営戦略に基づく人材採用を事例に、これからのエンジニア採用・評価を考える。

小さく始めて大きく成長させていく「Agile HR」

ギブリー
執行役員
山根 淳平

エンジニアの学びの動機形成とスキルの定点観測をベースに、エンジニアが自立自走できる環境づくり、組織づくりを支援するギブリーでは、エンジニア採用に関する相談をよく受けるが、その相談の多くがツールやチャネルの話に終始しがちなものだという。先に採用目標人数と予算があり、それを実現するにはどうするかというところだけが人事部におりてくるコミットメントになっている会社が少なくないからだ。しかし、そうではないとギブリーの山根淳平氏は次のように指摘する。「採用戦略は会社の経営戦略からおりてくるものです。どのような領域にどのような事業をこれから展開していくか、またそこにどのような技術的投資を行い、実現していくのか、という経営戦略の理解なくして、これから自社を支えるエンジニアの採用成功はありません。また、市況感やトレンド、競合の動きによって、エンジニアの採用のあり方はどんどん変わっていきます。人事部の動き方も、去年と同じ時期に同じような施策を実施する、というのは通用しなくなってきており、その流れを掴みにいかなければいけません」。

実際、テクノロジーやエンジニアのトレンドの変化は激しい。たとえば主流のプログラミング言語は、10年前と現在ではまったく異なっている。エンジニアの採用の潮流も変わってきている。特にエンジニアの需要が高まっていることもあり、従来2カ月程度かけていた選考期間が平均2週間程度に短縮化。中には1日で選考をする企業もある。そのため、短期間にお互いが見極められる選考が重要になってきている。

ギブリー
執行役員
山根 淳平

そこで、ギブリーが提唱するのが、「Agile(アジャイル) HR」という思想だ。Agileとは開発でよく使われる用語で、環境変化が激しく不確実性の高い時代において、開発を成功に導くために、従来のトップダウン型の計画手法に代わり、その時々の状況への対応に適したユーザー志向の機敏な手法を意味する。これは近年、単なる開発手法ではなく、企業文化と価値観そのものを表しており、2015年頃からすでに海外で注目を集めている概念である。HR Trend Institute が選ぶ「11 HR Trends for 2016」でも最初に取り上げられている。「小さく始めて大きく成長させていく」という思想のもと、プロトタイプを作って小さなPDCAを回しながら開発していくスタイルなのだが、近年これがHR領域においても、期初に立てた1年前の年間計画だけで動くと、トレンドや自社で必要なエンジニアのスキル・素養が変化する可能性がある、と山根氏は指摘する。

ソフトバンクの経営戦略に基づく人材採用

ソフトバンク
人事本部 採用・人材開発統括部
人材採用部 採用企画課
課長
中村 彰太

ここで、ソフトバンクの中村彰太氏に交代し、同社の経営戦略に基づく人材採用が語られた。ソフトバンクは年間400名ほど新卒を採用しており、その半数近くがエンジニアである。グループの中枢企業であるソフトバンク株式会社の国内事業は引き続き通信事業がメインだが、今やグループ内には異なる業態も増えている。さらに、今後も継続的に成長していくには新規事業の創出が欠かせない。「数年前まではネットワークエンジニアを多く採用していましたが、今は、AIやデータサイエンティストなど部門によって欲しい人材が変化しています。また、プログラミングスキルも以前より各部門から求められるようになりました」(中村氏)。

ソフトバンク
人事本部 採用・人材開発統括部
人材採用部 採用企画課
課長
中村 彰太

そこで、採用面でも変革が必要と考え、「ユニバーサル採用」を実施。採用活動を通年で行っており、応募資格も入社時に30歳未満ならいつでも採用するというポリシーにした。「優秀な人材には常に門戸を開いているので、海外留学のため日本の就活スケジュールに沿えなかったり、起業にチャレンジしたが失敗してすでに就活時期が終わっていた人などに出会え、メリットを感じています」と中村氏。

また、従来型の就活サイトで大量に母集団を形成する採用から、ピンポイントでアプローチをする「攻めの採用活動」にシフト。2週間から1カ月間、部門に配属して、現場で働いてもらう就活インターンは、昨年度約300名を受け入れた。また、グローバルにもアプローチしており、昨年は7カ国を訪問。国内でも全国の上位校を直接訪問して各研究室や団体にアプローチをしたり、逆求人イベントへの参加、地方創生に特化したインターンなど、多彩な施策をPDCAを回しながら実施している。

このような攻めの採用活動を拡大する一方で、従来型のマス採用フローの効率化が必要となってきた。とはいえ、それでマス採用の選考精度が下がっては元も子もない。そこで、効率化を図りながら、より精度の高い選定を実現するため、AIによるエントリーシートの判定やエンジニアのスキルアセスメントによるスキル見える化を活用し始めた。

エンジニアの実務力を可視化

ソフトバンクがエンジニア領域においてスキルアセスメントで利用しているサービスが、ギブリー社の「track(トラック)」である。trackは、従来型の知識系の問題形式だけでなく、プログラムのソースコードを書いて提出するとリアルタイムにスコアリングされ、エンジニアのスキル見える化、評価の補助として活用できるサービスだ。相対比較も可能で、全応募者のランキングまで提示する。

trackを利用することで、従来見えにくかった実務力を可視化でき、ミスマッチを防ぐことができる。「入社のタイミングで高い精度のスキル評価ができるので、研修の要不要の判断や、報酬やポジションの決定にも活用できます」(山根氏)。

また、エンジニアスキルの見極めを自動化できるので、大幅な工数削減が可能だ。「企業によっては、求職者のスキルの見極めに現場のエンジニアが面接に出てホワイトボードコーディングやプログラミングのペーパーテストを実施したり、別途プロジェクトファイルやGitHubのリンク提出をするなど、ミスマッチを削減する取り組みを実施している企業もありますが、現場エンジニアにとっては採用業務と開発業務の両立が難しいケースもあります。見極めに必要な指標を作ることで、エンジニアの工数が削減できます」(山根氏)。

trackは、日本のIT、通信、メーカー、人材系を中心に、60社以上が導入。ギブリーではこれらのデータをビッグデータとして蓄積しており、そこと自社の求職者の母集団のスキル比較なども可能だ。また、求職者の評価だけでなく、自社のエンジニアのスキル評価、教育機関では生徒のスキル評価も可能。さらに、業務委託や協業のパートナー選定などにも活用できる。

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