IoT新時代 先進事例から勝機を掴め

顔認証の現在地 - NEC:前編

IoTによる“おもてなし”がビジネスをけん引!
顔認証技術のビジネス活用最前線

第4次産業革命のキーテクノロジーの1つである「IoT」。センサーからもたらされるセンシング情報をビジネスに生かすべく、多くの企業が試行錯誤を続けているが、事業に革新をもたらすまでには至っていないケースも少なくない。そこで今回は、IoTのビジネス活用におけるヒントを探るべく、センシング情報の中でも画像・映像を活用した顔認証においてIoT分野を切り開いている日本電気(以下、NEC)に、IoTビジネスと同社の強みとなっている顔認証技術の最新動向について聞いた。

第4次産業革命の
コアテクノロジーとなる「IoT」「AI」

第4次産業革命のコアテクノロジーとなる「IoT」「AI」

工場の機械化が進んだ第1次産業革命、電力を用いて大量生産を可能にした第2次産業革命、IT活用によるオートメーション化が産業を後押しした第3次産業革命。そして今まさに、第4次産業革命の扉が開かれようとしている。この第4次産業革命におけるコアテクノロジーとして注目されているのが、あらゆるモノをネットワークにつなげてビッグデータを形成し、新たな価値を創造するための「IoT」、そしてコンピュータ自らが判断して一定の結果を提示することが可能になる「AI」だ。いまや研究機関や自治体、企業、教育機関など、世界中のあらゆる組織がIoTやAIに期待を寄せており、それらコアテクノロジーを活用するべく試行錯誤が続けられている。

一方、世界では、富の格差や食料不足などさまざまな社会課題を解決していくことで、サステナブル(持続可能)な社会の実現に向けて取り組んでいくことが求められているが、IoTやAIなどを用いてこの課題解決に取り組んでいるのがNECだ。NECでは、サステナブルな社会の実現に向けて、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)への取り組みを加速させている。NECが目指すDXとは、実世界の出来事をデジタル化してサイバー世界に取り込むことで、人・モノ・コトを深いレベルでつなぎ合わせ、それによって新しい価値を生み出すことを指し、人々の生活やビジネスをよりよいものに変えていくことを目指している。

NECのデジタルトランスフォーメーション

世界NO.1の精度を誇る
NECの顔認証技術

世界NO.1の精度を誇るNECの顔認証技術

日本電気株式会社
デジタルプラットフォーム事業部 事業部長
門井 忠茂 氏

NECはIoTに関して、現在のような大きな潮流になる10年以上前から、企業が保有するデータを分析して活用するための環境づくりを進めてきた経緯がある。「顧客との共創を通じてデータ活用を模索してきましたが、IoTが登場した今、既存のデータと新たなデータを組み合わせて新たな価値が提供できないかという相談が増えている」とデジタルプラットフォーム事業部 事業部長 門井 忠茂氏は今の状況を語る。特にカメラなどから得られる情報の扱いにおいてNECは豊富な実績を有しており、画像・映像データと他のセンサーデータを組み合わせることで、新たな価値提供に積極的に取り組んでいる状況にあるという。

NECが強みを発揮する画像・映像分析の分野では、顔認証や人数、混雑度、年齢性別などの映像分析を行うプラットフォームである映像分析基盤を展開しているが、中でも特に高い技術力を誇っているのが顔認証だ。この顔認証技術は「NeoFaceシリーズ」としてソリューション展開されており、顔認証の分野では世界No.1の性能を持っている。この顔認証に使用されるAIエンジン「NeoFace」は、かつては静止画を用いた顔認証でNIST(アメリカ国立標準技術研究所)主催のベンチマークにて認証精度NO.1を獲得したが、今は動画を用いたベンチマークでも認証精度NO.1を獲得しており、この映像分析から得られるデータを活用して、さまざまなソリューションへの応用が期待されている。

具体例として、4Kカメラなど高精細な映像からリアルタイムに人物照合や行動パターンを特定し、その分析データを用いて新たな価値提供につなげていくソリューションだ。その第一段階として具現化しているのが、スタジアムでの映像監視や空港での出入国管理といった、社会の安心・安全を担保するためのソリューションへの応用だろう。2020年のビッグイベントも視野に入れ、より具体的な取り組みが世界中で進められている。NECでは、既にリアルタイムに顔認証を行うことが可能なソフトウェア「NeoFace Watch」とアクセラレーターを搭載した顔認証専用サーバ「NeoFace Accelerator Platform」を製品化しており、顔認証の処理性能を4倍以上に高めながら、10分の1の消費電力でリアルタイムな顔認証が可能なソリューションを提供している。

ただし、高精度で大人数をリアルタイムに照合するためには、高度な分析エンジンはもちろん、いかに高速に映像を分析処理できるかどうかが大きなポイントになる。つまり、顔認証以外のAIエンジンや既存データと組み合わせるサーバ側の処理だけでなく、効率的に映像を取り込み、高速に映像分析処理するために、エッジ側にも大きなコンピューティングパワーが必要になってくるのだ。そこで取り組んだのが、高性能なNeoFaceを高速に処理するためのアクセラレーターの開発だ。「NeoFaceでは、もともとCoreシリーズやXeonシリーズといったIntelのスケーラブルなCPU上で動作しますが、NeoFaceが持つ顔認証AIエンジンを高速に処理するべく、新たにIntel FPGAを使ったアクセラレーターを開発しました」と門井氏。大容量データを高速かつリアルタイムに処理できるだけでなく、省電力が求められるエッジ側にも最適なアクセラレーターとなっており、NeoFaceの高度な技術に対応できる高速処理が可能な環境が提供できるようになっている。

安心・安全から“おもてなし”への応用で
あらゆる業種への展開を目指す

安心・安全から“おもてなし”への応用であらゆる業種への展開を目指す

顔認証AIエンジンは、安心・安全だけでなく、今では新たな用途への応用も期待されている。具体的には、顔認証によって得られた情報を、“おもてなし”をはじめとしたカスタマーエンゲージメントやホスピタリティ向上へ役立てる用途だ。一例をあげると、海外へ出国する場合、通常であればパスポートやeチケット、搭乗券を用いてチェックインから出国審査、搭乗までさまざまな手続きが行われるが、顔認証AIエンジンを用いれば、チェックインの時に顔を登録することによって、以降の手続きを顔認証だけで本人確認を行い、各種審査や検査を終えることが可能になる。また、こうした手続きの簡略化だけでなく、空港内店舗やラウンジの認証とも連携することで、空港利用客の利便性向上に大きく貢献してくれる。

おもてなし用途として活用される顔認証の一例である、空港での出国審査でのサービス

顔認証を安心・安全以外の用途へ応用することは、実は決して遠い未来の話ではない。すでに海外のハンバーガーチェーンでは、顔照合エンジンや年齢・性別を推定するAIエンジンを用いて決済が可能になるだけでなく、心理学の知見から顔の表情によって割引が発生する仕組みを2018年8月からスタートさせることを計画している。まさに、映像から得られた情報をカスタマーエンゲージメント向上に役立てようとする試みだ。

「顔認証によって個人を特定し、おもてなしを行うソリューションは今後も期待される応用の1つ。また、時間軸や空間軸、行動などさまざまな映像分析エンジンを活用することで、個人のニーズを先取りして新たな価値を提供するというのは、訪日外国人などインバウンド向けの施策としてタイムリーなソリューションになってくるはず」と門井氏は期待を寄せている。

カメラからもたらされる画像・映像データの活用は今後も広がりを見せてくるはずだが、安心・安全の分野にしろ、カスタマーエンゲージメント向上への応用にしろ、そのデータを高度な技術で解析するためのエンジンが必要不可欠であるのはもちろん、そのエンジンを高速に処理できる環境がなければ、新たな価値を生み出すことは難しい。次回は、産学官で取り組みが進められているデータ流通ビジネスの概要についてみていきながら、処理を高速化するための仕掛けづくりやそのための具体的なソリューションについて詳しく紹介する。

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