IoT新時代 先進事例から勝機を掴め

小売IoTの現在地 - ローソン:後編

IoTで買い物が楽しく、こんなに便利に!
CEATECで未来型コンビニをいち早く体験!

アジア最大級の規模を誇るIT 技術とエレクトロニクスの国際展示会「CEATEC JAPAN 2018」が2018年10月16日 ~19日の4日間、千葉幕張メッセにて開催されている。中でも今回の大きな注目の的となっているのが主催者企画「IoTタウン」だ。生活に密接するソリューション・サービス(B2B2C)が紹介される同企画において、株式会社ローソンは、IoTを活用した5~10年先の「未来型コンビニ」を店舗形式で出店している。今回は、IoTを用いた自動化によって、楽しい買い物体験を実現する「未来のコンビニ」の姿をレポートする。

未来のコンビニ像を具現化した展示ブース

未来のコンビニ像を具現化した展示ブース

株式会社ローソン
理事執行役員
オープン・イノベーションセンター長
牧野国嗣氏

今回の「CEATEC JAPAN 2018」では、あらゆるものがネットにつながり新しい価値創造を促進するIoTの活用をテーマにした主催者企画ブース「IoTタウン2018」が設置される。IoTタウンは、「社会問題を解決して、Society 5.0を築く」をテーマに掲げ、その実現に向けて新たなビジネスモデルに繋がるアイデアやパートナーとの共創を広く発信していくものだ。出展社数も20社/団体におよび、金融や小売業、不動産、ヘルスケア、建設といった異業種10社以上が参画する。

今回のローソンの展示だが、デジタル技術の革新によって実現できる「美味しさ・健康・おもてなし」をテーマに掲げ、来店客とのコミュニケーション要素やエンタテインメント性も加えたコンビニエンスストアの未来像を見せていくという。

株式会社ローソン 理事執行役員 オープン・イノベーションセンター長の牧野国嗣氏は、「ローソンとして、『美味しさ・健康・おもてなしを、IoTの活用で実現する未来型コンビニ』をテーマに、来場者に『楽しい』『わくわくする』『また来たくなる』と思ってもらえるような、2025年のコンビニの姿を具現化していきます。そこでは最先端のデジタル技術と、リアル店舗の強みであるアナログのコミュニケーションを融合した、ローソンが描く未来型コンビニを体験して頂くことが可能です」と説明する。

ブースには「未来のローソン体験エリア」と「購買エリア」を用意。IoTやセンサー、AIなどさまざまな最先端技術を活用した展示が行われるほか、実際の買い物もできるという。

“ストレスフリーな決済体験”をサポートする最新技術

“ストレスフリーな決済体験”をサポートする最新技術

それでは、ローソンブースの見どころについて紹介していこう。1つが、「ウォークスルー決済」だ。これは、RFIDを活用した電子タグが貼付された商品を持って、ウォークスルーゲートを通れば、自動購入および決済が行われるというもの。CEATEC専用スマートフォンアプリを事前にダウンロード、スマートフォンにインストールしておけば、買い物に際してレジでのやり取りが不要になるほか、決済完了後には電子レシートも発行され、スマートフォン上で購入履歴も確認できる。牧野氏は、「あたかも自宅の冷蔵庫から食材を取り出すように、棚から好きな商品を選んでバックに入れ、そのまま店舗を出てもらえば、買い物が完了します。レジに並んだり、待ったりする時間や手間が不要となるので、ストレスフリーな買い物が体験できます」と話す。

CEATECに展示される「ウォークスルー決済」

デジタル技術を活用した、新しい接客の仕組みも大きな見どころの1つだ。例えば、ホログラムを利用したからあげクンの注文体験や、3Dキャラクターのバーチャル店員による来店客の対応、ヒト型ロボットによるクーポン配布や案内などが行われている。

また、商品棚に設置されたデジタルパネルとTOF(Time of Flight)センサーやRFIDリーダーを組み合わせ、来店客が手に取った商品に合わせて、デジタルパネルに表示する内容が変わるデジタル広告も体験する事ができる。

CEATECに展示される「パーソナライズ広告」

「このデジタル広告は、将来的には顧客の属性情報や購入履歴に応じ、個人に最適化された広告やレコメンドの表示にも展開されていく構想だという。RFIDとの連動により、来店客一人ひとりに向けて個品個品での商品のお勧めが可能となるわけです。この展示は、先に述べた『美味しさ・健康・おもてなし』を正に具現化するものです」(牧野氏)

また、前編でも紹介した、対面型KIOSK端末により、リモートからコンシェルジュが大型モニターを通じて来店客の悩みや相談に応える「デジタルコンシェルジュ」も展示予定である。また、遠隔からのカルチャースクールや医療相談等のデモンストレーションも披露される。

「今回の展示では、ご来場の方々からもご感想やご提案などさまざまなフィードバックを頂き、それを反映させることで、今後のさらなるコンビニの進化を共創していきたいと考えています」(牧野氏)

CEATECに展示される「デジタルコンシェルジュ」

コンビニ業務を効率化する様々な仕組みも紹介

コンビニ業務を効率化する様々な仕組みも紹介

展示ブースでは、IoTやセンサー、AI、ビッグデータを活用したコンビニ業務の効率化をはじめ、店舗経営を支援していくためのバックヤードの仕組みやプラットフォームについても紹介される。

例えば、「リアルタイム在庫管理」では、RFIDによる電子タグを用いて店内在庫を店外から参照可能な仕組みを実現。また、商品棚にRFIDセンサーを設置し、商品の陳列情報や賞味期限情報を取得したりする仕組みが紹介される。また、在庫、賞味期限といった個品ごとの情報を基に、棚札価格の変更やレコメンドとして顧客に情報提供する「ダイナミックプライシング」や、顧客へ商品の材料やアレルギー情報をスマートフォンに通知したり、電子棚札を通じて表示したりする商品情報提供の仕組みも展示される予定だ。

牧野氏は、「販売許容切れ商品の廃棄は店舗スタッフが担う煩雑な業務の1つで、これまでは1点1点、販売許容期限を確認しながら商品を棚から除外していました。対して、RFIDによる電子タグとセンサーを活用することで、どの商品が販売許容切れかが一目で分かるようになり、簡単に確認、廃棄が行えるようになるなど、店舗業務の大幅な効率化が図れるようになります。また、廃棄ロスの削減にもつながります」と説明する。

これまで紹介してきたような利便性を提供する、未来型コンビニを実現するにあたっては、クラウドを活用したIoTプラットフォームの構築が不可欠となる。今回の展示ブースでは、リアルタイム在庫管理システムやウォークスルー決済の実現を後方から支える、パブリッククラウドサービスを用いたIoTプラットフォームについても、その概要の紹介が行われる予定だ。また、ここで紹介されるIoTプラットフォームは、CEATEC でのパイロット運用を経た後、実用化に向けて本格的な取り組みを進めて行く考えだという。IoTの活用による業務効率化や売上向上を図りたい企業の担当者にとって、大きな示唆を得ることができる展示となるだろう。

これまで紹介してきたローソンによる展示だが、インテルのテクノロジー、そしてハード/ソフトウェア、およびデバイスベンダー各社のソリューションを結ぶインテルのエコシステムによって支えられている。未来型コンビニの具現化に際してインテルが担う役割は大きく、また、大きな期待が寄せられている。

地域に根ざした生活を支援する店舗、拠点を考えた場合、現在、全国には約2万4,000局の郵便局、約3万軒のガソリンスタンドが存在するといわれているが、いまやコンビニエンスストアの店舗数は約5万8,000店と両者を足した数を上回っている。少子高齢化や地方人口減少が大きな社会問題として浮上している中で、日本全土を結ぶサービスネットワークとして、コンビニが担う役割と使命はますます重要なものとなっていくだろう。ローソンはIoTをはじめとする最先端のテクノロジーを接客や店舗運営に積極的に活用し、利便性と効率化を推進していく考えだが、あくまでも同社が主軸に据えているのは、「ヒューマン・ファースト」というコンセプトの実現だ。

「これまでのコンビニは、日々の買い物を支援する機能にフォーカスしてきましたが、今や公共料金支払いや宅配、チケットの購入や各種証明書の発行など、提供するサービスも急速に多様化・多角化しています。今後、コンビニはすべての用事が済ませられる地域サービスステーションとしての機能を担う一方で、地域のコミュニケーションを活性化する場としても進化していかなければなりません。Society 5.0では、IoTをはじめとした先端技術の活用により、少子高齢化などの社会課題を解決し、一人ひとりが快適に暮らせる社会を実現することが謳われています。ローソンもその理念にのっとり、IoT等のテクノロジーを活用し、利便性や業務の効率化の追求だけでなく、全ての人々が『楽しさ』や『ワクワク感』、そして人とのふれあいによる『あたたかみ』を創出できるような、『ヒューマン・ファースト』の考えに基づいた店舗づくりを目指していきます。現状はレジ業務へのIoT活用が中心ではありますが、最終的には人との触れ合いがあるレジ周りに人員を配置し、在庫管理や清掃などを機械が行うようにしていきたい」と力強く訴えた。

TOPへ