IoT新時代 先進事例から勝機を掴め

物流IoTの現在地 - 日本Honeywell:後編

安心・安全と効率化を実現する「Connected Freight」
物流IoTがもたらす日本の未来とは?

センサー技術を活用したIoTのソリューションがあらゆる業界で展開されているが、物流業界においても新たな価値提供に向けたIoTソリューションへの期待が高まっている。そこで今回は、バーコードやQRコードを読取るスキャナやハンディーターミナルといった物流現場の業務に役立つ様々な機器を提供しながら、サプライチェーン全体のコンサルティングから保守を含めた物流のトータルソリューションを提供する日本ハネウェル株式会社に、従来型の環境センシングとは一味異なる、安心・安全の担保と業務の効率化を両立させることが可能な“物流IoT”の実態について聞いた。

物流業界に強みを持つ日本ハネウェルの今

物流業界に強みを持つ日本ハネウェルの今

日本ハネウェル株式会社
代表取締役社長
西巻 宏 氏

空調や飛行管理装置といった航空機に関連したソリューションを展開するエアロスペースをはじめ、ビルや住宅向けの制御システムなどを手掛けるホーム&ビルディングテクノロジーズ、物流倉庫向けのオートメーションシステムなどを手掛けるセーフティ&プロダクティビティソリューションズ、高機能繊維など化学分野の各種ソリューションを提供するパフォーマンスマテリアルズ&テクノロジーズといった事業領域でビジネスを展開しているハネウェルグループ。グループ全体で売上は4.3兆円、12万人を超える従業員を有する巨大複合企業として、現在でも様々な領域のビジネスに深く関わっているが、実は60年以上前から日本でもビジネスを展開してきた実績がある。そして2018年6月に一部事業の分社化を経て、日本ハネウェル株式会社として新たな第一歩を踏み出した。

そんな同社が現在注力している領域の1つが物流業界だ。「以前から現場で働く方の安全性や作業効率の改善に役立つ各種ソリューションを提供してきました。中でも物流は、スキャナやハンディーターミナルなど様々なソリューションを提供しており、今ではエンドツーエンドの環境でサプライチェーンに関連したコンサルティングからハードウェア、ソフトウェア、そしてプラットフォームまで用意できる環境を持っています」と物流における強みについて日本ハネウェル株式会社 代表取締役社長の西巻 宏氏は説明する。

また、これまではハードウェア中心だったビジネスからソフトウェアを含めたソリューション展開に軸足を移しており、“ソフトウェアインダストリアルカンパニー”へ脱皮するべく積極的な投資を行っている。具体的には、各領域を柔軟につなげるためのソフトウェアプラットフォームの提供とともに、同社が強みを発揮するインダストリー領域でのIoT、いわゆる「Industrial IoT(IIoT)」による新たな価値創造を強力に推し進めている状況にある。このIIoTの具体的な適用として注目されるのが、同社が物流領域において“つなげる”ソリューションの展開を計画している物流の環境モニタリングサービス「Connected Freight」だ。

リアルタイム性と低コストが
魅力の新たな物流IoT「Connected Freight」

リアルタイム性と低コストが魅力の新たな物流IoT「Connected Freight」

環境モニタリングサービスといえば、これまでも温度や湿度など周囲の環境情報が測定できる各種センサーをコンテナや貨物に搭載し、環境センシングを行うサービスは実際に存在していた。しかし、従来の仕組みはクローズな環境が中心で、かつセンシングするデバイスや環境づくりに向けて多くの投資が必要だった。

「Connected Freightの最大の特徴は、クラウド上で情報共有できるオープンな仕組みであり、安価に環境が提供できる点です」と西巻氏はその特徴を語る。実際の貨物に設置するセンサーは、温度、湿度、衝撃、傾斜、照度という5つのセンサーを搭載し、データ送信のためのゲートウェイにはグローバルSIMが挿入できる。「これまではリアルタイムな情報収集が難しい仕組みでしたが、Connected Freightであれば世界中で3Gや4Gのネットワークにアクセスでき、搭載されたGPSによって位置情報も把握できます。グローバルな物流での状況が容易に可視化できるようになるのです」と西巻氏。リアルタイムにグローバル物流の状況が把握できるソリューションの点でも大きな優位性を持っているという。

Connected Freightの仕組み。梱包箱に取り付けたセンサータグからゲートウェイに届いた情報を
クラウドに送信することで、リアルタイムな状況把握を可能にする。

また、クラウド上でリアルタイムに状況が把握でき、可視化のためのチャートも自動作成可能だ。「従来の仕組みでは輸送後にセンサーを取り出し、データを抽出してExcelでまとめるといった一連の作業が必要です。Connected Freightであれば、その場でチャート化できるため、次のアクションに移しやすい」。もちろん、リアルタイムに情報収集が可能なため、輸送中に何かあればその場でアラートを通知することも可能だ。「アラートを通知することで、例えば温度管理的に閾値を超えてしまった場合、すぐに代替品を手配することもでき、現場のダウンタイムを最小限にすることが可能になります。リアルタイム性が確保できることで、安心・安全を提供しながら、ビジネスを止めずに効率的なオペレーションが可能になるのです」と西巻氏は力説する。

Connected Freightが持つ特徴の1つとして、長時間のセンシングが可能という物流業界に特化した仕様である点も見逃せない。「10分単位に情報を取得する場合は、約60日間の動作が継続できます。取得単位を20分単位に伸ばせば、単純に倍の120日間動作させることも。船の輸送などでは数カ月単位で運ぶものもあるため、長時間の動作が可能な工夫が施されています」。まさに長時間の環境センシングを目的にした、物流特化型のセンサーを開発しているのだ。実は、Connected Freight自体の開発はインテルと共同で行われており、リファレンスデザインの提供等、センシングデバイスおよびゲートウェイ開発における重要なパートナーとしてビジネス展開していく予定となっている。

Connected Freightで広がる世界

Connected Freightで広がる世界

環境センシング情報をリアルタイムに把握することで、どのような物流において新たな価値が提供できるのだろうか。ここで具体的な例を挙げながら、Connected Freightがもたらすメリットについて見ていこう。

一番わかりやすいのは、生鮮食品や冷食、花などの輸送に際して必要な温度や湿度のセンシングだろう。一定温度で鮮度維持が必要な生鮮食品から、高級ワインといった厳格な温度管理が求められるものまで、リアルタイムに状況把握出来ることは大きな価値をもたらすことになる。また油絵などの美術品では温度や湿度管理が重要になり、検体や医薬品などについても温度管理を厳格に行う必要がある。衝撃や傾斜などのセンシングでは、精密機械の輸送などに役立つはずだ。明るさをセンシングする照度については、例えば輸送中に誰かが梱包箱を開梱すると照度の変化が起こるため、盗難などの被害が検知できるだけでなく、その抑止力としても照度によるセンシング技術が活かされることになる。

Connected Freightによるセンシングは、荷主に安心・安全を提供するものだが、荷物を運ぶ物流事業者に対してもメリットを与えてくれる。リアルタイムに各種情報がセンシングされることで、きちんと安全に輸送していたことが証明できるようになるためだ。「クレームに関する事業者の対応にはかなりコストがかかっています。これらが軽減できるのはConnected Freightによるリアルタイムなセンシングがあるからこそ」と西巻氏。しかも、同社がグローバルに展開するビジネスだからこそ、ラージスケールでの導入が可能となり、センサーコストも低くおさえることができるようになる。

なお、Connected Freightに活用されるセンサーは、梱包された段ボールの外側に取り付けたり梱包箱の中に入れたりしてセンシングを行うため、対象となるものは何も精密機器や家電といったデジタルな商材だけではない。「例えば家具のようなアナログなモノでも、輸送状況が可視化できます。あらゆるものをIoT化できる仕組みとしての応用が可能なソリューションなのです」と西巻氏。

Connected Freightのセンサータグは手のひらに収まるほどのサイズ。
この小さな機械に多くのセンシング装置が搭載されている。

日本では2018年秋ごろにリリースが予定されているConnected Freightだが、すでに海外ではビジネス展開が始まっており、実際の顧客からも大きな反響を得ている状況にあるという。そんなConnected Freightについて西巻氏は「センサーからの情報を収集してクラウドに送るゲートウェイを、日本の物流会社が保有する全てのトラックに設置することで、サプライチェーンにおける環境情報をリアルタイムにセンシングできる、そんな世界を目指していきたい」とその野心を披露する。また、環境維持のためのセンシングデータが価値の主体となってくることになるため、きちんと抽出された情報をエンドツーエンドで扱えるよう、インテルが持つコンピューティング技術をこれまで以上に活用して、顧客に対して新たな付加価値を今後も提供していきたい考えだ。最後に、物流先進国である日本が持つ質の高い物流インフラをこれからも維持していきながら、世界に誇れる物流サービスを提供する日本企業を強力に支援していきたいと力強く語った。

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