TOPインタビュー 日本公認会計士協会 会長 関根愛子氏「公認会計士の本質はAIに代替されない」

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TOPインタビュー 日本公認会計士協会 会長 関根愛子氏「公認会計士の本質はAIに代替されない」

公認会計士制度は70周年を迎えた

 公認会計士制度は今年で70周年を迎えました。公認会計士というと監査のイメージが強いかもしれませんが、税理士登録をすることで税務に関する業務を行ったり、経営全般にわたるコンサルティング業務を行ったり、社外役員に就任したり、幅広い業務のフィールドがあります。企業活動を映し出す会計は英語以上にグローバルの共通言語であり、世界で活躍する公認会計士も増えてきています。

 近年、AIの活用が話題になり、公認会計士の仕事がAIに代替されるとも言われています。しかし、それは公認会計士の本質を捉えた議論ではないと感じています。公認会計士には、高度な知識と深い経験に裏打ちされた職業的専門家としての分析や洞察、判断が求められます。経営者との議論を含め、これらはまだまだAIが代替できるものではありません。

 AIによって、膨大化する単純作業から解放されるなら、むしろ歓迎すべきです。積極的に活用することで、公認会計士が本来行うべき創造的かつ魅力的な作業に集中できるようになるでしょう。

 日本公認会計士協会は、公認会計士で組織する我が国唯一の団体です。公認会計士法に基づいて指導や監督を行うほか、公認会計士の登録業務などを行っています。公認会計士は男性が多く、男性中心と思われている方が多いと思いますが、実際に働いている方を見ると、男女差なく活躍されています。公認会計士という資格は、ライフイベントに左右されにくく転職もしやすいことから、女性にもメリットがあると思います。

 当協会では、産休や育休から復帰しやすいようにリスタート応援研修を実施したり、休職中は会費を免除したり、女性会計士が十分に活躍できる環境を整備しています。今後はもっと多くの女性に公認会計士を目指してほしいと考えています。

日本公認会計士協会 会長 関根愛子氏

日本公認会計士協会 会長 関根愛子氏

1958年生まれ。1981年早稲田大学理工学部卒業。外資系銀行を経て、公認会計士に。あらた監査法人(現PwCあらた有限責任監査法人)パートナーを経て、2016年7月から現職。

監査のプロセスを示し透明性を高める

 現在の監査報告書はいわゆる短文式で、監査意見に至るプロセスや監査の内容が外部から見えにくいとの指摘がありました。そこで、上場企業などの監査報告書では当年度の財務諸表の監査において特に重要と判断した事項「監査上の主要な検討事項(KAM)」を記載することとしました。これまでの標準文言の監査報告書から、個々の企業の固有の情報を提供する監査報告書へと生まれ変わる大きな転換点といえるため、利用者にとって適切な情報となるよう公認会計士に呼び掛けています。

 「国民経済の健全な発展に寄与する」という公認会計士の使命は今後も変わりません。しかし、社会からの期待はますます大きくなってきており、しっかりと対応していく必要があると考えています。制度創設70周年という節目を機に、社会的な課題解決に貢献するための取り組みの方向性について、長期的なビジョンで検討していくことにしました。会計と監査の専門家としての知見・経験を活かし、80年、90年、さらには100年へと歩んでいきたいと思います。

日本公認会計士協会 
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