~ビジョナリー経営ラボ特別レポート~ グローバル社会を生き抜くには学び続けるフロー型スキルが必須条件 ~ビジョナリー経営ラボ特別レポート~ グローバル社会を生き抜くには学び続けるフロー型スキルが必須条件

グローバルビジネスの進化に伴い、ビジネスパーソンに求められる能力も変化している。日本の国際競争力をいま一度高めるためには、一人ひとりが変化に対応し続けるフロー型のスキルを身につけることが大切。そのためには、相手の意図をしっかりと理解し、自分の考えを伝えて納得させる力が必要になる。日経BP総研ビジョナリー経営ラボ所長の徳永太郎がその理由を考察する。

日経BP総研ビジョナリー経営ラボ所長 徳永太郎

日経BP総研ビジョナリー経営ラボ所長

徳永太郎

日本の国際競争力復権のために

スイスのビジネススクールIMDの「世界競争力センター(IMD World Competitiveness Centre)」は、毎年国や地域ごとの競争力を示す『世界競争力ランキング(World Competitiveness Ranking)』を発表しています。2017年版では、前年より2ヵ国多い世界主要国63の国と地域を対象に調査が実施されました。その結果、総合第1位と2位は、昨年同様香港とスイスで、前年4位だったシンガポールが3位に駒を進め、逆に米国は第3位からひとつポジションを下げました。

一方、日本は1989年から4年連続1位でしたが、98年以降20位前後を推移。2017年も、前年同様26位という結果でした。このように、長らく低迷が続く日本の国際競争力を回復するためには、金融政策や財政政策だけではなく、より根本的な体質改善が必要です。すなわち、従来の日本で必要とされてきた、同質人材の採用を基盤とした閉鎖的な20世紀の日本的経営から、よりグローバル経済に適応したオープンなリーダーシップの発揮を目指す必要があるのです。

そのために必要なスキルは、日本的経営で求められていた、閉じた環境下で蓄積した経験や知識を利用するストック型ではありません。なぜなら、世界の多様なプレイヤーが競争相手になるグローバル社会では、これまでの実績に基づく型にはまった解決策だけでは勝ちきれない可能性が高いからです。VUCA(※)と言われる変化の激しい現代社会で求められるのは、常に情報を収集して様々なシチュエーションに弾力性をもって対応できるような、学び続けるフロー型のスキルなのです。※Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字をつなぎ合わせた造語。これら四つの要因により、現在の社会経済環境がきわめて予測困難な状況に直面しているという時代認識を表す言葉

IMD世界競争力ランキングにおける日本の順位の推移

IMD世界競争力ランキングにおける日本の順位の推移

出典:IMD「World Competitiveness Ranking 1989-2017」より

多様性が成長の源泉となる社会では
理解力、説明力こそがパワーとなる

旧来、人材の同質性に依拠してきた日本の企業は、画一的な役割分担と組織マネジメントで、総和としての生産性を生み出してきました。内需で大きな成長が見込める時代には全員で同じ方向を向くだけでよかったからです。

しかし時代は変わりました。先にも述べたように、従来の日本的経営から脱し、世界の強豪および成長著しい新興国と闘うためには、ストック型ではなく、変化に対応し続けるフロー型のスキルを身につけていかなくてはなりません。そのためには、企業は多様な人材の個々の志向や能力を把握したうえで、それぞれの役割で成果を生み出す組織マネジメントが求められます。

また近年、自社の競争力を高める手法として、オープンイノベーションを採用する企業が増えています。過去の蓄積である社内資源だけに依存せず、外部から新たな知識・技術を取得するにあたり、自社とは異なる業種の関係者との対話が発生します。その際、相手に理解しやすい説得力ある情報伝達ができるか否かが、イノベーションの成否を左右します。

このように異なる能力やバックグラウンドを持つ個々人の相互理解を可能にするのは、「高度なコミュニケーション力」に他なりません。ここで言う「高度なコミュニケーション力」とは読む・書く・話す・聞くという伝達だけではなく、それらを踏まえたうえで、「相手の意図を理解する力」「相手を納得させる説明力」までを含むものです。日本の美学でもある「阿吽の呼吸」で理解を丸投げするのではなく、相手の意図をしっかりと理解し、同時に自分の考えを組み立て、それを正確に伝えて納得してもらう力なのです。

「コミュニケーション力」を養うため、さまざまな企業で導入されているのが
公益財団法人 日本漢字能力検定協会が運営する「文章読解・作成能力検定(文章検)」です。
変化の激しい現代社会においては、相手の意図を理解する力や相手を納得させる説明力を育成することが重要になります。
「文章検」は現代社会で活躍するための
基礎となる日本語運用能力を身につけるコンテンツのひとつとして選択肢になるでしょう。