キリンビール「一番搾り」缶の売上が絶好調だ。2017年9月のリニューアル後、売上は右肩上がりで上昇し、2018年は対前年比117%で伸長中だ。ビールを始め、アルコール飲料の選択肢が多様化する中、「一番搾り」はなぜ、多くの消費者に評価されているのか。そこには、これからのビジネスにも共通するヒントが見てとれる。今回は、経済アナリストの森永卓郎さんに、「一番搾り」のおいしさ、ヒットの秘密を大いに語っていただいた。

森永 卓郎(もりなが たくろう)

経済アナリスト。1957年東京都出身。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局等を経て、現在は獨協大学教授。専門はマクロ経済、計量経済、労働経済。難しい「経済」を紐解く、その語り口は解りやすく、軽妙である。テレビやラジオ番組のコメンテーター、パーソナリティーとしても活躍中。もう一つの顔は、自他共に認めるコレクター。ミニカーやフィギュア、携帯ストラップ、貯金箱、テレビ局の時計など、現在もいろいろなモノを集めており、50年間で収集した約10万点のコレクションを展示するB宝館を2014年にオープンしている。

知っトク!ヒットのツボ 01 ビールが売れない時代になぜ「一番搾り」は売れたのか!?

発泡酒、第三のビールなどが消費者の支持を獲得し、「ビールが売れない時代」と言われる昨今、その風潮をもろともせず大躍進を続ける「キリン一番搾り生ビール(以下、一番搾り)」。2018年7月期の売上げは前年比124%、昨年8月から12か月連続で前年の販売数量を上回り絶好調だ。

こうした実績を踏まえ、森永卓郎さんが「一番搾り・ヒットの理由」を、こう解説する。

2017年のリニューアル後、絶好調が続く「一番搾り」。
ヒットの大きな理由は、多くの消費者がビールに求める本質的な価値である「おいしさ」を評価したということでしょう。発泡酒や第三のビールなど、選択肢が多岐にわたる中で、「一番搾り」という皆がよく知っている定番商品が、さらに進化した。そのインパクトが響いたのだと思います。

メーカーにとって、看板商品で、しかも一番の主力商品の味を変えることは、大きな挑戦です。私は、その挑戦自体が凄いことだと考えますが、「一番搾り」は、さらに期待を上回るおいしさになっていることに驚きました。つまり、すでに研ぎ澄まされて完成した味に、“もう一歩”踏み込んだことが価値を高め、ファンを拡大したわけです。

知っトク!ヒットのツボ02 ヒットを支える「一番搾り」のおいしさ

知っトク!ヒットのツボ02 ヒットを支える「一番搾り」のおいしさ

「一番搾り」の揺るぎのない「おいしさ」は、本当にすばらしいレベルだと思います。「一番搾り」が発売された1990年当時、商品のライバルといえば当然「ビール」。ビールの中での差別化商品というスタンスで、登場した「一番搾り」を初めて飲んだとき、うまみがあり、雑味のないおいしさ、そして他のビールとは異なる味づくりが印象的でした。

時代が変わった今、ビールを購入する人たちは、他の選択肢もある中で「ビールじゃないと嫌だから、ビールを買う」わけです。そのニーズに応えるためには、さらにバランスのとれた「おいしさ」を提供しなければならない。いわば、“360度、どこから写真を撮っても全部美しい”といったパーフェクトなイメージです。

今日、改めて「一番搾り」を飲んで感じたのは、「もともとおいしかったけれど、さらに進化した」という驚きです。リニューアル前の「一番搾り」からさらにバランスの良い味わいになったと思います。言わば、レーダーチャートがすべて満点といった感じかな。

ビールというのは、非常に厳しい評価にさらされるドリンクです。

どれだけ発泡酒や第三のビールが台頭したからといって、「とりあえずビール」という需要は無くならない。最初に飲むお酒というのは、味覚がしっかりしていて完璧な神経で味が評価されてしまうわけです。バランス感覚の良い「一番搾り」のおいしさは、その評価に応える味と言えるでしょう。

世界も含めて、色々な味のビールを味わってきましたが、最後は必ずここに戻ってきたい、そう思うビールが「一番搾り」だと思っています。

知っトク!ヒットのツボ03 ヒットの裏にコミュニケーションあり

知っトク!ヒットのツボ03 ヒットの裏にコミュニケーションあり

「一番搾り」のヒットの理由には、優れたコミュニケーション戦略もあります。たとえば、「一番搾り」のCMは、「銘柄別CM好感度ランキング」で、2017年9月から何度も第1位を獲得したことも、他のビールとの「違い」を明確にしつつコミュニケーションに成功した事例と言えます。

CMではビールを大好きな人が主役で、一番搾りを飲んで、その美味しさで幸せを感じている様子が直感的に伝わる。

「おいしそうに飲んでいて、自分もこんな風にビールをおいしく飲みたい」というイメージで、消費者の心に響く効果が大きいと思います。

色々な消費者のツボにはまりそうですね。

私も地方ロケなどに行くと、仕事が終わってひと汗かいて、駅の売店で冷えた「一番搾り」を買って新幹線に乗り、座席でプシュッと開ける。その瞬間、本当に幸せを感じます。

仕事をしながら飲めないのは、とても残念ですが(笑)、私にとって、オフを彩ってくれる素晴らしいパートナーですね。

提供:キリンビール株式会社