Event Report

「激動期を生き抜く変革リーダーシップ」

EXECUTIVE AGENDA 2018

主催:KPMGコンサルティング

2018年10月11日、KPMGコンサルティングが主催するカンファレンス「EXECUTIVE AGENDA 2018」が行われた。日本企業は、取り囲む環境の変化にどのように対応すべきか、いかにしてその先を見据えた変革をスピーディーに実現するか。「激動期を生き抜く変革リーダーシップ」をテーマに行われた3つの講演と、パネルディスカッションの模様をお届けする。

基調講演
ふたたび世界で勝つために ─グローバルリーダーの資質─

IMDビジネススクール 前学長 ドミニク・テュルパン 教授

IMDビジネススクール
前学長

ドミニク・テュルパン 教授

グローバルリーダーに求められる資質は、文脈や文化などコンテクストに大きく左右されます。こうした資質の中には、清廉さや誠実さのように普遍的なもの、ソーシャルスキルのように努力して習得できるものもありますが、カリスマ性のように習得が難しいものもあります。したがって、自らの生来の資質に近いものを選び、自分に合ったグローバルリーダー像を創り上げることが重要です。

グローバル化や人口構成の変化、テクノロジーの進化は、あらゆる産業において破壊的イノベーションをもたらし、予測不可能なVUCAの時代の到来を迎えています。こうした変化の中で、グローバルリーダーには「デジタル・アジリティ」こそが重要であり、グローバル・ニッチな市場で新しいものを創造するためのリーダーシップが求められます。「デジタル・アジリティ」とは、ビジネス環境の変化にいち早く気づき、情報に基づいて意思決定を下し、迅速に実行すること。これこそが、迫り来るデジタルビジネス・ディスラプションへの的確な対応を可能にします。こうした能力を身に付けるために、グローバルリーダーは①(他者からのフィードバックを受け止める)謙虚さ、②適応力、③ビジョン、④(社内外の関係者の言葉に耳を傾ける)エンゲージメントという4つの資質を持つ必要があります。

では、日本がふたたび世界で勝つために、日本のリーダーはどうすればグローバル・マインドセットを強化できるのでしょうか。それは、①安全圏から飛び出し、②技術のみならずビジネスモデルにも革新をもたらし、③多様性を実現することによって最適解を探し、④相手に応じてコミュニケーションのスタイルを変え、⑤リーダーシップを磨くことです。まずは自分の強みと弱みを自覚し、コーチングも活用しながら、自らのマネジメントスタイルを模索していくこと。それが、グローバルリーダーとなるための第一歩です。

今の時代のリーダーへの、5つの提言 Five messages for the leaderstoday
							Big Picture: 枠組みを超えて考える
							Innovation: 技術だけにとどまらず、和音を奏でる
							Diversity:効率を求めず、最適解を見出す
							Communication: 多くの引き出しを持つ
							Leadership: 自らの行動をマネジメントする

グローバルCEOが見据える未来 ─KPMG CEO outlook 2018─

KPMGコンサルティング 代表取締役社長兼CEO 宮原 正弘 氏

KPMGコンサルティング
代表取締役社長兼CEO

宮原 正弘

KPMGは、世界の大手企業のCEO約1300名を対象に「グローバルCEO調査2018」を実施しました。その結果明らかになったのは、日本のCEOは「業界における技術革新のスピードへの対応」に苦慮しており、さらに「経営モデルの抜本的な変革」にコミットしているCEOは半数に満たないという事実です。

日本企業が持続的な成長を図るためには、2020年以後の経済を見据えて、新しいテクノロジーを活用しながら経営モデルの変革を考えていく必要があります。5年後10年後も、現在の経営モデルで収益を上げられる保証はありません。喫緊の課題は、将来の市場と顧客層を具体的にイメージした経営モデルの改革アジェンダに取り組むことです。

その基軸となるのが4つの攻めの施策、すなわち①CEOのリーダーシップ、②顧客重視の戦略、③意思決定プロセスの迅速化、④人財の獲得、外部との連携です。日々の業務に加えて攻めの施策を進めるためにも、CEOはリーダーシップを発揮してプライオリティ付けを明確にしなければなりません。まさにトップのコミットメントこそが経営を左右するのです。

1. CEOのリーダーシップ
							2. 顧客重視の戦略
3. 意思決定プロセスの迅速化
4. 人財の獲得、外部との連携

ダイキン流グローバル戦略と人基軸経営 ─実行に次ぐ実行で勝ち続ける─

ダイキン工業 常務執行役員 フィルタ事業担当 グローバル戦略本部長 峯野 義博 氏

ダイキン工業
常務執行役員
フィルタ事業担当 グローバル戦略本部長

峯野 義博

ダイキン工業は世界で唯一、冷媒開発から空調機器開発までを一貫して行う総合空調メーカーです。直近では、5期連続で過去最高益を更新してきました。当社がここまで成長できたのは、100の失敗を重ねながらも、お客様の「次の欲しい」を先取りしてきたからです。最初は、1994年には赤字転落で海外市場にシフトしたことがきっかけでした。以来、「空調で世界ナンバーワンになる」というビジョンを掲げ、一歩先を行く戦略で、実行に次ぐ実行を愚直に進めてきました。

中国とヨーロッパではハイエンド市場を先行して創造し、M&Aを駆使して米国や新興国に進出。さらにインド市場獲得のため、ボリュームゾーンの攻略にも乗り出しました。10年間現地人社長の下でコスト削減とディーラー網の拡大に努め、今やインド市場では圧倒的ナンバーワンになりつつあります。地域にコミットすることで実現したこの成功例をベースとして、今後はインドから中東・アフリカへ、タイ・マレーシアから米州・中南米へと成功事例を横展開していきます。

当社の特徴は、経営企画室任せではなく、地域や現場が戦略を考えて提案するボトムアップの手法にあります。こうしたダイキン流の経営戦略を支えるのは「人」であり、当社は「人を基軸におく経営」で成長してきました。現在、取締役10名のうち2名は中国人とインド人。今後もさらなるグローバル化を意識し、優秀な人材の育成に力を注ぎたいと考えています。

ダイキン工業の概要 ~ 事業別売上構成高
							売上高(2017年度)22,906 億円
							空調事業:グローバル規模で展開する幅広い製品とソリューションで、全世界のあらゆる空調ニーズに応える。
化学事業:樹脂、ゴム、ガスなど多様な特性を持ったフッ素化合物を開発し、様々な分野で社会を支えている。
フィルタ事業:空調と化学との技術力の融合で、大気汚染対策や、製薬、食品業界の衛生管理に貢献している。

							国内・海外空調90%(20,530億円)空調事業で2兆円突破
化学8%(1,831億円)
						その他2%
パネルディスカッション
							激動期を生き抜くグローバルCEOのリーダーシップとは