BUSINESS CASUAL STYLE
鈴木大地長官

1967年生まれ。1988年のソウルオリンピック100m背泳ぎで金メダルを獲得。選手引退後、2013年には日本水泳連盟会長とオリンピック委員会理事に。そして2015年10月、スポーツ庁初代長官に就任。現在3期目を迎える。

働き方改革はファッションから心も体も軽やかにして自由な発想を

ビジネススタイルのカジュアル化が日本でも進んでいるが、
スポーツ庁の鈴木大地長官が提唱するのが
「スニーカー通勤」など、歩きやすい服装だ。
その目的と提唱する意味を聞いた。

写真/藤谷 望 モデル/直樹 ファッションディレクター、スタイリング/森岡 弘(グローブ) スタイリング、ヘア&メイク(鈴木長官)/team marge ヘア&メイク(モデルカット)/TOYO デザイン/HARPH-Imaging 文/小暮昌弘(LOST & FOUND)

白のジャケットに、黒のレザースニーカーをコーディネートする長官。レザースニーカー(三陽山長/三陽山長 日本橋高島屋S.C.店☎03-6281-9857)ジャケット、シャツ、パンツ、ネクタイ(すべてダンヒル☎03-4335-1755)

 「働き方改革」が日本でも大きく叫ばれ、仕事の進め方や個人の仕事に対する意識が変わる中、クールまたはウォームビズなどビジネススタイルについても新しい動きが起きている。こうした傾向を受けてスポーツ庁の鈴木大地長官が提唱するのが「スニーカー通勤」など、歩きやすい服装の推奨だ。
 「数年前にシリコンバレーに行きましたが、誰もスーツなんて着ていない。ネクタイも締めていない。そこまで行かなくても、機能的に優れるスニーカーで仕事をするのは合理的な選択です。日本の高温多湿の気候を考えてもスニーカーは合っています。もちろんせっかくスニーカーをビジネスで履くのならば、カッコよくしたいなと思っています。『似合っている、これなら真似してみよう』と思われるスタイルを目指すべきだと思います」
 長官が提唱する「スニーカー通勤」はビジネスシーンでのTPOを最低限わきまえての提案だ。歩きやすいビジネスシューズでも良い。長官も仕事場に革靴もスニーカーも何足か用意して、場面に応じて履き替えている。
 長官によれば、スポーツという言葉の語源は、ラテン語の「deportare」で、意味は、「楽しみ」「気晴らし」「娯楽」など。だから競技をするだけでなくもっと身近なものだと考えるべきと長官は語る。そんな中、スポーツ庁が推進しているのが「FUN + WALK PROJECT」。
 「ウォーキング、ダンス、山登り、日々自転車を乗ること。どれも立派なスポーツです。医科学的にみると、平均で一日8000歩の歩行で大抵の生活習慣病を防ぐことができます。それで健康になって、病気にならないようにすればみんな幸せじゃないですか。ビジネスパーソンの場合は、たとえば通勤のとき、あるいはちょっとした空き時間に、軽い運動やエクササイズなどができれば、それと同じ運動量が行えるのではないかと提唱したのがこのプロジェクトです」
 企業にとっても、社員が病気になって仕事ができない、さらに退職するということにでもなれば、生産性の低下は避けられない。
 「効率を優先する仕事は、これからはAIが代わってやってくれるようになるでしょう。むしろ答えがない答えをどう導くか、シンギュラリティ(=AIが人間の知性を超える時)を迎えた後に生き残るには、自由な発想が大事。そういう発想を持つためにも健康は大事です」
 健康はもちろんのこと、頭を常にフレッシュな状態にし、自由な発想を持つこともビジネスでは重要だ。心と体に良い服装を取り入れることも、ある意味ビジネススキルの一つといえるだろう。

※本特集内の商品の価格表記は、すべて税抜きです。