代表取締役CEO 清水 正大 氏
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Web広告で効果がでない。そんな悩みに一石を投じるサービスに注目が集まる。
「日本をぶち上げる」という高い志とともに生まれた「チャットボット×広告」というデジタルマーケティングの新たな手法。そのキーワードは「対話」にあった。連載第4回は、経営者やマーケティング担当者の心を掴んだ新たな広告手法に迫る。

ZEALS

2014年、清水 正大氏が学生時代に設立。「次なる産業革命を興し、日本をぶち上げる」をコンセプトに掲げ、テクノロジーの力で営業・販売・接客の変革に挑む。2017年にリリースしたFacebook Messenger連動型会話広告パッケージ「fanp(ファンプ)」は高い評価を集め、人材・不動産業界などで導入が相次いでいる。

「1660年以前のヨーロッパでは、広告は『アドバイス』と呼ばれていたことをご存じですか?それなのに、今の広告は押し付け広告が蔓延し、すっかり嫌われ者扱い。広告を再定義し、本来の意味を取り戻したいんです」

そう熱く語るのは、ZEALS 代表取締役 CEO 清水正大氏だ。2018年、「Forbes 30 Under 30 Asia」(アジアを代表する30歳未満の30人)に選ばれ、世界が注目する若き経営者が生み出したのは、デジタルマーケティングに変革を起こす、新たな広告手法「会話広告パッケージ」だ。

「fanp(ファンプ)」と名付けられた「チャットボット×広告」という新たなサービスは、従来の広告手法に比べて、コンバージョンレート(以下、CVR)がおよそ7倍という脅威の数字をたたき出し、人材、不動産、保険業界など、多くの企業が相次いで導入を決めた。チャットボットを広告に応用するアプローチは、広告の既成概念を打ち破るのか。

絶望の先に見えた「光」

絶望の先に見えた「光」

ーーZEALSを起業するまで紆余曲折あったそうですね。

清水 最初は手探りの毎日で絶望しかありませんでした(笑)。岡山県倉敷生まれの私は、もともとは専門学校を卒業後、地元の鉄鋼製造に勤務していました。仕事は充実しているけれど、どこか違和感を抱きながら働いていました。そんななか発生した東日本大震災。明日がどうなるかわからないことを実感し、残りの人生をかけて何かことを起こさなければならない、と考えるようになりました。「日本をぶち上げる」という思いを掲げ、周りの反対を押し切って東京の大学に入学しました。

しかし、待っていたのは失望と不安でした。目の前にあったのは、自分が大学に描いていたイメージと大きくかけ離れた現実。はっきり言ってぬるま湯に思えました。高い志を共有できる仲間や同志を見つけにきたのに、将来の夢や、やりたいことを何も持っていない人が多いことに失望していました。「何をしに東京へ…」そんな絶望のなか、書店でたまたま目に留まったのが、リブセンス村上 太一社長の著書。「学生起業」というキーワードに「これだ!」とワクワクが止まりませんでした。仲の良かった島田 想氏(現ZEALS 取締役CTO)をすぐに牛丼屋に誘いだし、「一緒に起業しよう」とラブコールしたことを今でも鮮明に覚えています。

島田 構内で初対面の人に片っ端から、「あなたの夢は何?」と聞いて回っていた清水は、大学でも浮いた存在でしたよ(笑)私自身も正直、目的意識をもって大学に入ったわけではありませんでした。ただ、夢を熱く語る彼がカッコよく思えましたし、気が合ったこともあり、自然と仲良くなっていました。「起業しよう」と言われたときは、最初は驚きましたが、迷うことはありませんでしたね。

ーー起業後は、順調に事業展開していったのでしょうか。

株式会社ZEALS
代表取締役CEO 清水 正大 氏

清水 「はい!」と言いたいところですが、待っていたのはさらなる絶望でした(笑)「日本をぶち上げる」というビジョン以外、何も決まっていないまま創業した今の会社。最初はひたすら飛び込み営業で会社を売り込みましたが、誰も相手にしてくれませんでしたね。少しずつWebやアプリの仕事を頂き始めたものの、今を生きるのに精いっぱいの毎日。

そんななかウィルグループの大原 茂社長との出会いは、大きな転機となりました。「『日本をぶち上げる』その“想い“に出資したる。そのかわりどうやったら日本をぶち上げられるのか考え抜け」。大原社長の激励を受け、日本のために何ができるかを本気で考え抜く日々が始まりました。そこで人口減少が進む日本においてロボット産業を創っていく、その未来に賭けようと決心しました。そこからロボットへのチャレンジを通じて「対話・コミュニケーション」が持つ可能性に魅了されました。しかし、事業自体が好転したわけではなく、いつキャッシュアウトしてもおかしくない状況でした。

悩みもがく日々。そしてついにZEALSにターニングポイントが訪れます。忘れもしない2016年4月。Facebookの開発者向けカンファレンス「F8」で、13億人が使っているFacebook Messengerのプラットフォームがオープン化されるという発表でした。まさに『ZEALSに雷鳴が響く』『天が“行け”と言っている』と感じましたね。発表からわずか1か月。国内最速でローンチされたのが、現在の主力事業、会話広告パッケージ「fanp(ファンプ)」です。

チャットボットが打ち破った広告の常識

チャットボットが打ち破った広告の常識

ーーローンチから短期間のうちに、会話広告サービス「fanp」は急成長を遂げています。大手企業も続々と導入を決めているそうですが、何が評価されているのでしょうか。

清水 ズバリ、結果が出ているからです(笑)。デジタルマーケティングが当たり前となった昨今、新規見込み顧客獲得のために、中でもネット広告に大きな投資をされている企業は少なくないと思います。一方で、費用対効果が日に日に悪くなっている課題に頭を悩ます企業の担当者は多いのではないでしょうか。ZEALSは、会話広告という新たなアプローチで従来の広告の常識を変革し、導入企業様に圧倒的な成果をもたらしています。

少し詳しく説明しましょう。まず現在、ネット広告の世界では、「“サーチ”から“フィード”の時代へ」とパラダイムシフトが起きています。スマホ広告におけるGoogleとFacebookの売上が逆転したことが示す通り、企業は検索からのWebサイト流入よりもフィード経由の流入に期待を寄せているのです。それはスマホの普及により多くの人がFacebookやTwitter、InstagramなどのSNSのフィード(タイムライン)上で長く時間を過ごすようになったことが大きく関係しています。

そういった状況で、現在の主流は、用意したランディングページ(以下、LP)にインフィード広告経由で集客し、問い合わせや商品購入につなげる、というものです。しかし、ここに大きな落とし穴が。潜在顧客層にリーチすることを意図したインフィード広告経由で、いわゆる商品やサービスに関心がまだ低い人をLPに集客させているため、結果CVRが低くなります。さらには、一度訪問した人に再訪問を促すリターゲティング広告などにコストをかける必要性が上がり、結果としてコスト増となる課題が生まれています。

上記のいわゆる従来の広告手法は、結果として無駄な投資を生んでいる要因と我々は考えています。それを解決するのがチャットボットを活用した会話広告です。会話広告に導入したのが「ヒアリングファースト」という考え方。これまでのようにLP上で一方的に訪問者に商品を提案するのではなく、一度チャットボットに誘導し、先ずヒアリングして訪問者を理解してから商品を提案することを実現します。

会話広告サービス「fanp」では、Facebookフィード上の広告から、チャットボットへリンク。
タップ会話を通じてユーザーに負担をかけることなく、最適な情報へと促してくれる。

チャットボットを使ってヒアリングすることで、ユーザーのデータを深く取得し、パーソナライズしてチャット上で継続してコミュニケーションする。そのユーザーのパーソナルな属性をあぶりだし、商品やサービスを高い精度でお勧めすることができる。結果として、CVRを高めることができるわけです。

ーー閲覧するユーザーとしてもストレスなく、必要な情報が手に入る。まさにエンゲージメントが高まる新しい広告手法ですね。

清水 まさにその通りです。実際、目に見える形で成果があがっています。これまでの実績は、平均CVR 8.07%、メッセージ開封率72.6%、サイト再訪率14.3%(2018年2月1日現在)。ネット広告に少しでも携わった方であれば、驚異的な数字であることは言うまでもないでしょう。

現在、「fanp」は人材、保険、不動産業界を中心にご利用いただいていますが、これらの業種に共通しているのは、高単価商材で検討期間が長いということですね。獲得するためのコストが高く、購買タイミングが読みにくく、長い検討時間の間は継続してコミュニケーションする必要があるという課題を解決するために「fanp」が使われているのだと思います。

旅行や、高単価EC、継続的に利用する健康食品などの広告にも「fanp」は適しているのではないでしょうか。また、しっかりと顧客管理ができる管理画面を持ち、会話データを蓄積して分析できることも大きなメリットだと思います。現在は、Facebookに加え、LINEでも「fanp」をご利用いただける環境になりました。さらに多くの企業様に、「fanp」の効果を実感頂きたいですね。

チャットボットで日本のプレゼンスを上げる

チャットボットで日本のプレゼンスを上げる

ーーチャットボットの国内コミュニティを立ち上げ、市場全体を盛り上げる活動をされていらっしゃいますね。

株式会社ZEALS
取締役CTO 島田 想 氏

島田 国内では、チャットボットのナレッジを共有する文化がこれまであまりなかったのですが、海外では事情が大きく異なり、チャットボットが非常に盛り上がっています。「World Bot Meetup」といった国際的なイベントも開催され、コミュニティでAPIやオープンソースが提供されています。

そういった場で感じるのは、とにかく日本の存在感が低い。「日本をぶち上げる」ためにも、日本のチャットボット市場のプレゼンスを上げ、世界での存在感を高めたい。そのために、競合と言った垣根を越えて、情報を共有・発信していきたいと思っています。実際立ち上げてみると、「こんなコミュニティを待っていた!」「こんなイベントを開催したい」など反響があり、素直に嬉しいですし、手ごたえを感じています。今後は、コミュニティを通じて、国内で分断されている情報が集まり、ナレッジが共有され、ネットワークが生まれることで、新たな可能性が生まれてほしいと思っています。

世界中のチャットボット・音声のテックスタートアップが集う
F8の開催に合わせたサブイベント「World Bot Meetup」の様子。(中央後ろに清水氏)

ーーZEALSのインフラのほとんどは「Microsoft Azure」を使い、マイクロソフトのスタートアップ支援も受けたそうですね。

清水 「Microsoft Azure」という安心して利用できる環境がインフラとしてあるのは、ありがたいというのはもちろん、マイクロソフトとのご縁は、ビジネス拡大という意味でも大変ありがたく思っています。イベントをきっかけに、スタートアップ企業の支援をしていることを知り、BizSpark(現Microsoft for Startups)というプログラムも利用させていただきました。これからまさにプロダクトを開発しようとしているスタートアップにとっては、こんな太っ腹な支援をしてくれる会社はほかにはないと考えています。

コストをあまり心配することなく、さまざまなトライ&エラーを行えたことは、プロダクト開発、機能拡充を進める上でも非常にありがたかったですね。また、マイクロソフトのイベントを通じたさまざまな企業とマッチングから新たな可能性も生まれていますし、今後ビジネスを拡大する上でとても心強いですね。

ーー今後の展開や将来展望をお願いします。

清水 AIスピーカーなどが登場してきていますが、将来的にデバイスの形がどんどん変わり、対話の形も変わっていくと考えています。5年先には音声、10年先にはフォログラムの技術で対話が行われると思うので、それに向けた開発を続けていきます。

海外では、チャットボットのマネタイズに苦労していると聞いていますが、我々は広告と掛け合わせることに取り組み、チャットボットによって広告効果を高め、会話データを溜めることで、次のステップとして将来的な音声コミュニケーションにもチャレンジできることを示すことができました。今後は、日本だけでなく、海外展開も行う予定で、「日本をぶち上げる」ためにまだまだ挑戦を続けていきます。

未来のパートナーを募集中です

未来のパートナーを募集中です

  • パートナー募集

    5年後にはチャットだけでなく音声が勝負となるため、DBや機械学習のスキルを持ったエンジニア、膨大なデータを分析するデータサイエンティストを募集しています。

  • 用途募集

    今後も、人材、保険、不動産の業種に積極的にfanpを広げていきたいと思っています。課題をお持ちの方はぜひお声がけください。

  • 人材募集

    エッジコンピューティングのディープラーニングソリューションを求めている企業様は、ぜひお声がけください。

ZEALS

WEB:https://zeals.co.jp/

fanp

WEB:https://fanp.me/

清水 正大 氏

ZEALS 代表取締役CEO

1992年岡山県出身。大手重工業企業にて航空機や高炉などの鉄鋼製造に従事した後、東日本大震災を契機に、勉強し直して「日本をぶち上げる」仲間や同志を求めて大学進学を決意。明治大学に21歳で入学し、大学在学中の2014年4月に株式会社ZEALSを設立。2018年3月には「Forbes 30 Under 30 Asia」のエンタープライズ・テクノロジー部門に選出されている。

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