特別冊子ダウンロード

働き方進化論

働き方改革関連法案の中で、罰則が設けられた「時間外労働の上限規制」が2019年4月から施行される。「残業してはいけません」、「会議の数を減らしましょう」という杓子定規なやり方ではなかなか働き方改革は進まない。「現場が自発的に動くことで改革は加速し、その可能性が広がる」とセガサミーホールディングス(以下、セガサミー) 総務本部長 加藤貴治氏は話す。エンタテインメント業界をリードするセガサミーは、「感動体験を創造し続ける」というミッションを実現するべく全社を挙げた働き方改革をスタートさせ、現場の声を活かし、地に足の着いた改革を進めてきた。セガサミーグループの創造性を解き放ち、距離や時間の壁を超えた働く環境とは? グループを集約するオフィス移転を機に、新たなフェーズで働き方を推進する同社のチャレンジを追った。


現場の声を最大限活かした働き方改革

セガサミーホールディングス株式会社
執行役員 ITソリューション本部長(取材当時 総務本部長)
加藤 貴治氏
(株式会社セガホールディングス 執行役員 IT本部 本部長 兼務)

アーケード・家庭用ゲームそれぞれの分野で「史上初」「世界初」の製品を提供してきたセガと、先進技術を取り入れ、革新的な遊技性を備えた数々の遊技機を生み出してきたサミー、異なる革新の遺伝子を持つ2社が2004年に統合し誕生したのがセガサミーだ。近年は事業環境の変化に応え、持続的な成長に向けた取り組みを進めている。
遊技機市場における規制の強化、余暇の多様化に伴うアミューズメント関連市場の縮小、売り切り型のパッケージゲームからオンラインプラットフォームゲームへの市場構造の転換等、急激な変化は同社の主力事業の根幹を揺るがすものだ。またヒットの有無が業績に大きな影響を与えるエンタテインメント業界では、人財力と投資力の確保が必要となる。セガサミーは2015年3月期からコスト構造改革を実施し収益体質を強化した上で、2016年3月期から経営資源を成長分野に集中する事業構造改革とともに、成長の原動力となる人財を活かし生産性の向上を図る働き方改革に着手した。

セガサミーグループのミッション(存在意義)「感動体験を創造し続ける~社会をもっと元気に、カラフルに。~」を実現していくための働き方はどうあるべきか? 同社の働き方改革はトップダウンでスタートとしたと、セガサミーホールディングス 総務本部長 執行役員 加藤貴治氏は話す。「しっかり仕事をしながら、プライベートも十分に楽しんで、余暇の時間で得た新しい発見やエネルギーを仕事に活かしていく好循環をつくることが、当社の働き方改革の考え方です」
セガサミーグループのビジネスには、遊技機事業、エンタテインメントコンテンツ事業、リゾート事業の3本柱がある。業態やお客様によって働き方が異なる中、改革を進める上で環境整備の観点から3つのポイントを加藤氏は挙げた。1つめが、グループ各社の本社機能の集約。最新鋭のオフィス環境のもと、グループ各社間の物理的な距離による隔たりを解消するとともに、グループの一体感の醸成を目指す。2つめが、グループ全体における業務の効率化やセキュリティの強化を実現するコミュニケーション基盤の統一。2018年8月から随時移転を進め、グループ20社、約6,500人の従業員が新オフィス“GRAND HARBOR”で働くことになるため、働き方改革を支える共通基盤として Office 365 を採用した。3つめが、ボトムアップで現場の声を活かすコミュニケーションツールの導入だ。「チャットベースのワークスペース Microsoft Teams をぜひ活用したい」との提言が開発部門からあったと加藤氏は明かす。

ビジネスにおけるオープンなコミュニケーションと
厳格な情報管理を両立

セガのゲーム開発部門は、これまで様々なヒット作を世に送り出してきた。ゲーム開発の生産性向上ではコミュニケーションのスピードが重要なポイントになると加藤氏は話す。「ゲーム開発はプログラマー、プランナー、デザイナー、サウンド等、複数の職種が関わり、1つのチームを組んで進めていきます。開発のプロセスでは、『あの件、了解です』、『これでいいでしょうか?』等、非常に細かい会話が多くなります。電話やメールのスピード感では遅い。質問と回答、了承が滞ると、作業も遅延します。また公式な決定は取締役会や経営会議等で行いますが、その手前で上司に判断を仰ぐ場面や感触を得ておきたい話がでてきます。シームレスかつ瞬時にコミュニケーションができる Microsoft Teams を利用したいという開発部門の声に応えるかたちで、グループ共通のツールとして導入することにしました」

セガサミーグループでは Microsoft Teams を用いて様々な部門におけるコミュニケーションの効率化を図っている。

さらに加藤氏は説明を加える。「開発プロジェクトでは途中で人の移動が生じるケースがあります。プロジェクトごとに異なるコミュニケーションツールを使っていると、様々なツールを習得しなければならず、過去の情報資産も継承できません。また、セキュリティ面もとても重要なポイントとなります。制作中のゲーム情報の流出はビジネスに与えるインパクトが大きいことに加え、発売前のこの時点ではここまでしか情報を出せない等、プロモーション上の制約もあります。オープンなコミュニケーションと厳格な情報管理という、相反することを実現する上で Microsoft Teams は最良の選択でした」
組織全体をカバーするコミュニケーションプラットフォームの構築は、“シャドー IT ”の徹底排除につながり、グループ全体のガバナンス強化にも大きく貢献する。2017年から Microsoft Teams の利用を開始し、アーケードゲーム機の開発部門の80%が日々のプロジェクトで使っていると加藤氏は話し、その効果について言及する。
「定量的な効果測定はこれからですが、労働生産性が向上し不要な残業の削減に貢献していることは間違いありません。また瞬時かつ簡便に、デバイスも問わずやりとりができることで、コミュニケーションの密度が高まっているという点は、業務の相談や変更点等、テーマ別のチャネル数の多さにもあらわれています。開発部門の利用拡大がきっかけとなり、後工程にあたる間接部門、生産部門、セールス部門等も使い始めています」
「残業してはいけません」、「会議の数を減らしましょう」という杓子定規なやり方ではなかなか働き方改革は進まないと話す加藤氏。現場が効率的に動ける環境を提供していくことで改革は加速し、その可能性が広がると指摘する。

有志2人で自発的に始めた「ママさんコミュニティ」が
参加者90人以上に

セガサミーグループには、働き方をテーマにしたポータルサイト「わくらぼ」がある。グループ各社における働き方改革の事例や創意工夫を掲載し、情報の共有を図っている。その中の1つの例として、加藤氏は Microsoft Teams を利用した「ワーキングママのコミュティ」を紹介した。「お子さんを持つ働く女性同士で情報交換やコミュニケーションをとりたいというニーズに対し、これまで会社の中で気軽に話せる場がありませんでした。上司等が勧めたわけではなく、自発的に有志2人で始めたコミュニティは、今90人以上に増えています。オープンに女性同士で話し合うことによって良いアイデアが出てきたら、人事部門で採用する場合もありますし、オフサイトの場で検討会を設置する等、会社としても支援できます。1つのテーマのもとみんなで議論し、より良い働き方を追求する基盤に Microsoft Teams は有効であり、地に足のついた働き方改革の実現に大きく寄与すると考えています」
またオフィス移転に伴うグループ各社の機能の集約でも Microsoft Teams が活躍したと加藤氏は話す。「移転のプロジェクトではグループ各社の総務部門の間で、椅子の数、テーブルの色等、細部を詰める必要がありました。Microsoft Teams は写真も掲載できますし、複数人が同時に会話できる点も非常に助かりました」

働き方をテーマにしたポータルサイト「わくらぼ」から、社内の様々な取り組み事例を発信。
「ワーキングママのコミュティ」では、子供を持つ母親同士の気軽なコミュニケーションが活性化。

グループの創造性を解き放つ自発的な働き方改革を成長のエンジンに

相手の顔を見ながらの Web 会議も、Microsoft Teams からシームレスに利用できるため活用拡大が進む。

セガサミーグループでは、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を実現するテレワークに関して、2019年1月からの本格展開に向けて試験導入を行っている。当初、盛り上がりに欠けていたが、Microsoft Teams を利用することで流れが変わったと加藤氏は振り返る。「テレワークの推進では、コミュニケーションが希薄になるのではないかということが一般的によくいわれています。『あの件はどこまで進んだか?』、『昨日の打ち合わせはどうだった?』等、オフィスにいるときにできていた“ちょっとしたやりとり”ができないことが不安を大きくすると考えています。最初はチャットベースのやりとりができるツールがありませんでしたが、Microsoft Teams を利用することで、仕事がやりやすくなったと試験導入の参加者の間でも大変好評です。テレワークでもオフィスにいるときと同じ距離感で仕事をしたいとなったとき、Microsoft Teams は非常に有効なツールであると思います。チャットはもとより音声やWebでの会議、ファイルの共同編集・共有等、これ1つでチームの作業を完結できる点も高く評価しています」

今後の展望について加藤氏はこう話す。「テレワーク本格展開への対応、グループ間での交流の促進とシナジーの創出等を実現するために、グループ全体で Microsoft Teams の利用率を80%まで広げていきたいと考えています。またお客様サービスの向上を目的とするリゾート事業での活用や、社長を含めた経営層における利用方法の検討も今後のテーマです。日本マイクロソフト様には課題を一緒になって考え、当社の視点に立った提案を行っていただいています。これからも当社のコミュニケーション促進のためにご協力をお願いしたいと思っています」
セガサミーグループは事業構造改革により着々と足場を固め、2018年からいよいよ成長戦略の実行フェーズに入った。距離と時間の壁を超えた働く環境でセガサミーグループの創造性を解き放ち、自発的な働き方改革を推進力に新たな成長軌道に乗る。

現場が自発的に動く働き方改革によって社員の創造性を最大化させていきたいと話してくれた加藤氏。
PAGE TOP

SPECIAL DOWNLOAD

『働き方進化論〜変化を味方にする働き方〜』無料ダウンロードはこちら

RELATED CONTENTS

三越のおもてなし×デジタルで小売業混沌の時代を突破する! プロジェクトチームの”集合知”で顧客の信頼を勝ち取る提案を ワークプレイスの分析で顧客に貢献