現場の“集中力”は生産性に直結無駄を省いて創造的業務を増やす

働き方改革において労働時間短縮は達成指標の1つに過ぎない。本来議論が尽くされるべき“仕事の質”については観念的な話に終始しがちだ。「量的な労働時間に対し、時間あたりの仕事の質やパフォーマンスを測るモノサシがないため、何をどう改善すべきなのか気づきを得ることができない」と株式会社ジンズの井上一鷹氏は根本的な問題点を指摘する。ここにブレイクスルーをもたらすのが“集中”という新たな尺度を用い、改革施策の効果検証をサポートするメガネ型ウェアラブルデバイス「 JINS MEME(ジンズ・ミーム)」だ。多くの企業が関心を寄せるJINS流・働き方改革に迫る。

“集中”を測ることで仕事の質やパフォーマンスを可視化する

株式会社ジンズ MEME事業部 事業統括リーダー Think Labプロジェクト メンバー 井上 一鷹氏
株式会社ジンズ
MEME事業部
事業統括リーダー
Think Labプロジェクト メンバー
井上 一鷹

2017年12月、公益財団法人・日本生産性本部は、2016年の日本の労働生産性がOECD(経済協力開発機構)加盟国35カ国の中で21位、G7(先進7カ国)の中で最下位だったと発表した。G7での最下位は37年連続である。
 「日本では、日々改善活動に取り組む製造現場の生産性は非常に高い。問題なのはデスクワークや営業職などホワイトカラーの生産性です」と株式会社ジンズ MEME事業部 事業統括リーダーの井上一鷹氏は指摘しこう続ける。「製造現場の改善は、5分かかる作業を2分に短縮するなど定量的な指標が立てやすい。一方、企画や営業職などは量的な労働時間に対し、1時間あたりの仕事の質やパフォーマンスを測るモノサシがありません。後から振り返ることのできる指標がないため、何をどう改善すべきなのか、気づきを得にくいのです。これを定量的に測定できれば、日本の労働生産性は世界のトップクラスに近づけると考えています」
仕事の質やパフォーマンスを測るモノサシとして“集中”に着目した理由について井上氏はこう話す。「ヒントをいただいたのは任天堂DSの脳トレで有名な東北大学の川島隆太先生でした。認知症の研究医の川島先生は、認知症の初期段階の患者さんと健常者を比べた際、目の動きと重心バランスに違いがあるとの仮説を立てました。JINS ではこの仮説を実証し認知症の早期発見を実現するために、普段通りに日常生活を過ごしながら目や身体の動きに関するデータを集めることができるメガネ型ウェアラブルデバイスの研究開発に取り組んだのです。身体の内側を知るというメガネの新たな価値は、認知症の早期発見だけでなく様々な問題を解決できるのではないか。そう考えて、脳の活動を見える化できるシーンを模索した結果、“集中力”に行き着きました」

行動心理学の実証実験から、集中力は瞬きと視線、姿勢の変化にあらわれることが分かった。メガネ型ウェアラブルデバイス「 JINS MEME 」は、ノーズパッドのセンサーで瞬きと視線移動を、つるの先端部分のセンサーで姿勢の変化をキャッチし集中力を測定する。
JINS MEME はスマートフォンのアプリと連携し、自分の集中状態のデータを蓄積・可視化する。

JINS MEME は2015年11月の販売開始以来、働き方改革に取り組む企業の人事部から大きな関心が寄せられている。「テレワークやフリーアドレスなどの施策を実施しても、その施策の良し悪しを判断する材料はこれまでアンケートくらいしかありませんでした。JINS MEME は“集中”という新たな尺度を用い、仕事の質を可視化し評価することが可能です。JINS MEME を利用することで、生産的な職場づくりに向けた施策の効果を測定・検証する PDCA サイクルを回すことが可能になります」

生産的な働き方を探る実証実験を日本マイクロソフトと展開

生産性向上の観点では、集中力を測定するだけでは意味を成さない。「重要なことは JINS MEME で収集した集中力のデータと、場所/時間/作業内容などを組み合わせ、より生産的な働き方を見つけること」と井上氏は話す。その点で、企業で導入が進む Microsoft 365と JINS MEME は非常に親和性が高いと強調した。Microsoft 365 のツールの1つである「 MyAnalytics 」は、メールや会議時間などの情報を自動集計して AI が分析、個人に様々な気づきを与えてくれるパーソナルエージェントだ。JINS MEME と MyAnalytics を組み合わせることで、最適な執務環境や時間帯を見つけることが可能となる。
「実証実験では最初のテーマとして、執務環境と集中力の関係を検証しました。その結果、CO2 濃度が高くなると集中力が低下する傾向を確認できました。人が集まる会議では空調がとても重要であることが今回のデータから分かります。また室温の上昇に伴い、集中力は低下します。集中力を高めるには22℃~25℃で、かつC02濃度1,000ppm以下が望ましいという気づきが得られました」

Microsoft Dynamics 365は Excelからデータを直接取り込むことが可能。日々の業務を圧倒的に効率化する。
カラフルな点は会議室やオフィスなど執務環境の違いを示す。
集中スコアの高い点群は、CO2濃度1,000ppm以下のゾーン(左側)に集まっていることが分かる。

次のステップでは、「集中力×執務環境×作業内容」というテーマに取り組む。「個々の作業内容に対し、どの時間帯や場所で行うとパフォーマンスがあがるのか。JINS MEME と MyAnalytics により日々のデータを蓄積し、そこから働き方改革の具体的な指標を導き出していきます。午前中は資料作成、午後に会議、夕方はメール対応など、個人が集中力を発揮しパフォーマンスを最大化するためのリコメンドやレポートの提出を考えています。近い将来、自分のスケジュールに対し『あなたはこの時間に打ち合わせを入れていますが、テレワークで別の作業に集中した方が効率的です』などと AI がアドバイスしてくれる世界を目指したいですね」

実証実験で明らかになったテレワークの高い導入効果

また JINS ではテレワーク導入効果に関しても日本マイクロソフトと協業し実証実験を行っている。日本マイクロソフトの社員が JINS MEME でテレワークとオフィスでの集中力の違いの検証を実施。その結果は予想以上だった。「オフィスよりも、自宅やカフェで仕事をするほうが30%も集中力が高かったのです」と井上氏。しかし、どの会社でも同じ結果になるかというと、そうではないと付け加える。「テレワーク文化が定着し、個人に裁量が与えられている会社でないとパフォーマンスは上がりません。集中力を高めるには“誰かに声をかけられることのない環境”が重要なポイントとなります。テレワークにしたことで電話がかかってくる数が増えてしまい、その結果、仕事に集中できない状態になると本末転倒です」
育児や介護といった限定的な用途だけでなく、生産性を高めるためにより多くの社員を対象に攻めのテレワークを導入することが競争力強化につながる。ここでも集中力の可視化が貢献すると井上氏は話す。
「在席状況や会議中などに加え、“集中度合い”も含めてリアルタイムのプレゼンスが分かれば、“この人は今集中しているから電話はやめてメールにしておこう”など自分も相手側も仕事の効率が一層高まるでしょう」(以下に続く)

cofee break

世界一集中できるワークスペース「 Think Lab 」に潜入!

集中力を測定し働き方改革を推進する JINS が、理想とする執務環境を実現するとどうなるのか? JINSがこれまでのノウハウを結集し、“世界一集中できる場”を目指してつくったのが、会員制ワークスペース「 Think Lab(シンク・ラボ)」だ。ストレスとリラックスを共存させた神社仏閣をイメージしているという。鳥居に似た扉を開け、漆黒の壁に包まれた廊下を抜けると、緑が豊かな広い空間に出る。デスクとチェアも思考したいジャンルで使い分けることが可能だ。「人はロジカルになるときには前かがみに、アイデアを出すときには上を向く姿勢になります」(井上氏)。
Think Labの一番奥にはオフィス家具メーカーなどとコラボレーションした個室集中スペースが用意されている。またカフェコーナーではパートナー企業から提供された低 GI 値食品が並ぶ。「以前、集中して仕事をしたい時には喫茶店を利用していましたが、今は Think Lab を利用しています」と井上氏は笑顔になる。

静謐なムードに満たされた Think Lab の様子。温度・湿度はもちろん、視界に入る植物の割合までも、すべてが“集中”のために計算しつくされている。

メガネや機能性アイウエアとして利用しながら活用拡大へ

近年は JINS MEME の商談として、全社導入を視野に入れた PoC( Proof of Concept =概念実証)に取り組む企業が増えていると井上氏は話す。「どんな人にでも使っていただけるように、JINS MEME の新モデルの開発は進めています。JINS MEME はメガネでもあるので、遠近両用はもとより、人の眼に及ぼす影響が懸念されるブルーライトをカットする機能にも対応できます。目を守りながら集中力を測定し、そのデータを分析して働き方改革につなげていく。メガネのメーカーが取り組むことの強みを活かし、普通のメガネとしても軽くて、より快適なかけ心地を目指します」

JINS MEME の全社導入が進めば、働き方改革だけでなく、情報システムも視野に入れたビジネスプロセス革新にも期待が広がるという。「例えば、Microsoft Dynamics 365 で基幹システムを刷新し、ビジネスプロセスの効率化を図る際も、結果としての仕事の質やパフォーマンスへの影響は重要な評価ポイントとなります。JINS MEME を活用することで、部門や企業全体の生産性向上の検証も加味した、ビジネスプロセス最適化を図ることが可能になるのではないでしょうか」(井上氏)

アイウエアを通じて人々の人生を豊かにするという、JINS の掲げるビジョン「 Magnify Life(マグニファイ・ライフ)」。JINS MEME をはじめとする同社の取り組みは、ワーク・ライフ・バランスと生産性向上を両立させた、“真の働き方改革の実現”に貢献していくだろう。

● JINS MEME の詳細はこちら

● Microsoft Dynamics 365 の詳細はこちら