未来のビジネスへの懸け橋となるハイブリッドクラウド

- 企業経営のデジタライゼーションを加速する「 Azure Stack 」

日本企業が直面する、経営におけるデータ活用の高いハードル。それを乗り越えるには既存の IT インフラの戦略的な進化、いわゆるモダナイゼーションが不可欠だ。単純なオンプレミスかクラウドかの二元論ではない、ビジネスデジタル化の最適解としてのハイブリッドクラウドとは? 日本ヒューレット・パッカードでハイブリッドIT事業を統括する五十嵐毅氏と、日本マイクロソフトでクラウドビジネスを推進する浅野智氏が、企業ITインフラの課題解決アプローチ、これからのビジネスのデジタライゼーションのあるべき姿について対談した。

社内に眠るデータと社外で生まれる新しいデータをどう活用するかが鍵になる

五十嵐
今日のテーマは“企業経営の観点から IT インフラをどうモダナイゼーションしていくべきか?”。まずこの点について、マイクロソフトとしてはどうお考えですか?
日本マイクロソフト株式会社
マーケティング&オペレーションズ
クラウド&エンタープライズビジネス本部
業務執行役員 本部長 浅野 智 氏
浅野
日本企業でデジタルを経営に活用できている企業はおよそ3割程度と言われています。デジタル化が遅れている最大の要因は、これまで蓄積してきたデータを処理しきれず、活用したくてもできないからです。我々の調査によれば、社内のデータの在りかは、約3割がファイルサーバーで、約5割がアプリケーションサーバー。いずれも連携できておらず、個別に乱立しています。さらには経年の中でもはや管理者もわからなくなっていたりします。そのため新しいシステムに移行したいのにできない、というボトルネックが生まれているのです。これらのレガシー化したコンピュータの中にあるデータをうまく取り込み、現状のビジネス エコシステムを壊さない形で、いかに第四次産業革命といわれる新しい時代へ持って行くことができるか? これが多くの企業が直面している課題であると思います。
日本ヒューレット・パッカード株式会社
ハイブリッドIT事業統括
執行役員 五十嵐 毅 氏
五十嵐
まさにその通りですね。日本は人口統計の推移(人口減少)を見ても、もっと積極的に新しい技術の活用を進めて生産性を上げていかなければならず、そこで必須となるのがクラウドの活用です。一つの仕事をオフィスや外出先など居場所を変えながら、PC やスマートフォンなどデバイスを変えて行うことが、クラウドによって実現できます。ただし、ここ数年の「クラウド活用」という掛け声は、一部の業務を切り出してパブリッククラウドで運用することを指していました。一方で我々の調査では、一昨年では20%、昨年は35%もの企業で、パブリッククラウドからオンプレミスに逆戻りしている、というデータがあるのです。
浅野
興味深いデータですね。現実はその通りで、ITインフラ全てを一気にクラウドに移行できることはありません。ホップ、ステップ、ジャンプと段階を踏みながら、戦略的に移行していかなければならないと考えています。クラウド化すべきものと、そうじゃないものを切り分ける意味でも、両者を並行して運用する「ハイブリッドクラウド」が最適だと考えます。実際、弊社のお客様の87%が次の選択肢としてハイブリッドクラウドを検討されています。これは1年前から55ポイントも一気に上昇していて、現実的な選択肢として企業が認めていることが分かります。クラウドインテグレーターとしての日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)の掲げるハイブリッドクラウド戦略も、まさにその1つですね。
五十嵐
はい。HPE の見ている世界もマイクロソフトと同じです。ただそれを実現する取り組みのレイヤーが違う。だからこそ両社がタッグを組む価値があると思います。IT インフラの何を外に出して何を中に残すか、という議論になりがちですが、まずはオンプレミスをいかにプライベートクラウド化するか、が重要です。オンプレミスのデータをきちんとプライベートクラウド化しておくことで、自社にとっての「ライトミックス(適正な組み合わせ)」を、いつでも動的に変えられます。これが我々の推進するハイブリッドクラウド戦略です。
現状はデータのおよそ80%が企業の中にあり、ほぼ使いこなせていない。逆にこれから将来に向けては実に74%のデータがエッジ、いわゆる企業の外側で生み出される新たなデータ、と言われています。要するに、社内にある既存のデータと、エッジで生まれる新しいデータ、生い立ちの違うこの2種類のデータをどう有効活用していけるかが鍵なのです。それらのデータを有機的につなぎ、自由に行き来できる世界を実現するための手段をプラットフォーム側から支援するのが、我々 HPE のミッションです。

「 or 」ではなく「 and 」。理想的なハイブリッドクラウドで「いいところ取り」を

浅野
企業がハイブリッドクラウドを実現する上で、マイクロソフトが提供している「 Azure Stack(アジュール・スタック)」というソリューションが有効だと考えています。Azure Stack は、クラウドサービスの Microsoft Azure と同じスケーラビリティや管理性を、企業のオンプレミス環境で実現できるものです。
五十嵐
HPE としても Azure Stack はキーソリューションだと考えています。オンプレミスにあるデータをいかにクラウドにつなげるか、というアプローチはITベンダー各社からさまざまなメッセージが出ていますが、構築から運用というトータルな面において、Azure Stack は非常に有効なソリューションとなっています。浅野さん、Azure Stack は企業経営の観点においても、メリットがたくさんありますよね。
浅野
Azure Stack なら、オンプレミス、エッジ、プライベート、パブリックなど、データが存在する場所を問わず一貫したアイデンティティとプラットフォームで運用管理できる、という特長があります。“運用が破綻しない、理想のハイブリッドクラウド”と呼んでいるのはそのためです。そのメリットは大きく、管理性、アプリケーション開発環境、AI活用などがポイントとして挙げられます。
まず管理性については、Azure Stack は多くの企業で活用いただいている Microsoft 365 で皆さんが毎日扱う Wordや Excel、PowerPointなどのアプリケーションファイルも、ファイルサーバーやクラウドへのアクセスも、Active Directory 連携によって ID が一元管理できます。これは運用管理面だけでなく、セキュリティ面においても大きなメリットです。企業コンプライアンスにも注力していて、日本では FISC 安全対策基準(※1)や CS ゴールドマーク(※2)など、各地域でローカルに根差した認証を取得しています。グローバル化の中で、国ごとにデータ保全やコンプライアンス対応が異なるのはビジネス拡大の足かせになりかねませんが、Azure ならその点をサービスレベルでご支援できます。
  1. FISC The Center for Financial Industry Information Systems 公益財団法人金融情報システムセンターが定める金融庁が金融機関のシステム管理体制を検査する際に使用する基準
  2. クラウドセキュリティ推進協議会 JCISPAが認定する日本初の外部監査に基づくクラウドサービス提供者のセキュリティ認定制度
五十嵐
ID 一元管理や各国における認証対応は非常に有効ですね。日本企業においても、管理性とコンプライアンスは非常に重視されますから。
浅野
2つ目は俊敏なアプリケーション開発環境の提供です。サービス更新のスピードが速くなればなるほど、セキュリティの観点からもバグがあればすぐにアップデートしなければなりません。Azure Stack であれば機密性の高いデータはオンプレミス側に置いておいて、アプリケーションだけをクラウドにある開発環境でアップデートしてタイムリーにクライアント環境に送り込むという、DevOps(※3)が可能になります。
そして3つ目は、一貫性のあるデータプラットフォームによる AI 活用のしやすさです。AI による経営分析や業務自動化を実施したいときに、Azure Stack であれば、世界中どこにあるデータでも同一の機械学習モデルでスピーディーな展開が可能です。
  1. DevOps(デブオプス) は、開発者( Development )と運用者( Operations )が密接に連携することでより柔軟かつスピーディーにシステムを開発、提供する手法
五十嵐
いずれの点も、ビジネスにおけるアジリティに大きく貢献しますね。
浅野
はい、先ほど五十嵐さんの仰ったパブリッククラウドかプライベートクラウドか、どこを外に出してどこを中に残すのか、というのは二元論的に「 or 」で語られることが多いのですが、Azure Stack は「 and 」なのです。両方の良さを活かして、「いいところ取り」をできるのです。
(次ページに続く)
マイクロソフトの「 Azure Stack 」は、企業のオンプレミス環境に構築でき、クラウドサービスと同様の運用管理性を実現。ビジネスのデジタライゼーションを加速する。
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