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Vol.5 工場の困りごとを基に開発した生産支援ロボットで成長狙う

三和ロボティクス
沢宏宣社長に聞く

長野県飯田市の三和ロボティクスは、アルミなどを使った精密金属加工で高い技術力を持ち、取引先の9割以上が上場企業だ。エネルギー、産業機械、航空機、光学の各分野で基幹部品を手がけ、過去4年で売上高を2倍に伸ばした。2017年からは自社ブランド製品として、加工材料を自動的に旋盤に投入するロボット「NEXSRT(ネクサート)」を発売し、部品製造との二本足で安定的な成長を目指す。過去、何度かの経営危機を乗り越えながら、諦めない会社と社員を育ててきた沢宏宣社長に、日本電鍍工業の伊藤麻美社長が聞いた。

2018.8.9

三和ロボティクス

業種精密金属部品加工、工作機械用ロボットの開発・製造
所在地長野県飯田市
設立1964年
売上高13億円(2018年4月期)
従業員108人(パート含む)

写真:堀 勝志古

沢 宏宣 さわ・ひろのぶ1974年長野県生まれ。武蔵工業大学(現・東京都市大学)工学部卒業後、機械専門商社の山善にて営業職に従事。2002年に三和精機入社。09年に専務、10年に父を継いで社長就任。12年、社名を三和ロボティクスに変更(写真:堀 勝志古、以下同)

伊藤精密な金属部品の加工が主力で、最近はロボット事業も拡大されているようですね。

沢宏宣社長(以下、沢)当社は1964年に祖父が創業し、当初は油圧ホースの継手金具を従業員5人ほどで作っていました。67年には、角度センサーやサーボモーターを製造する地元の有力機械メーカーからの受注に成功し、センサー部品などの加工を手がけて事業に弾みがつきました。現在の事業は2本柱で、精密部品加工を行う精機事業が売上高の4分の3、ロボットを開発・販売するスマートファクトリー事業が4分の1を占めています。

伊藤ロボットはどのような用途の製品ですか。

ロボットは、もともと精密部品を加工する際の品質向上や納期短縮を狙って社内向けに開発を始めたものです。切削用の旋盤に加工する材料(ワーク)を自動的に送り込み、削り終わったら材料を取り出すロボットです。部品の加工精度を高めるには、材料を旋盤に正しい角度で送り込まないといけません。角度が少しでもずれると、削り出される部品は真円ではなく楕円になってしまいます。

また、切りくずが旋盤の周囲に残っていると材料に傷が付きます。ですから、圧縮空気できれいに切り粉を吹き飛ばしてから材料を送り込むことが必要です。

伊藤麻美 いとう・まみ東京都出身。上智大学を卒業後、ラジオやテレビのDJを経て、米国で宝石の鑑定士・鑑別士の資格を取得。2000年、父が創業した日本電鍍工業の社長に就任。医療器具や管楽器などのめっきを主力とする。貴金属ジュエリーの卸販売を行うジユリコの代表も務める

これらの作業はいずれも慎重に取り組む必要があり、人間が行うと時間と手間が掛かります。また、当社では年間2500種類の製品を生産しますが、所有する工作機械は60台です。1つの製品に合わせて工作機械を自動化してしまうと、他の製品が生産できなくなってしまいます。生産性と精度の両方を確保しながら、多品種にどう対応していくか。このことに、我々はずっと頭を悩ませてきました。そこで、1つのハンドで様々なサイズの材料を工作機械に送り込む汎用性があるロボットの開発に挑戦することにしたのです。この自社用ロボットが成果を上げ、2017年から「ネクサート」という自社ブランドで発売を始めました。ネクサートを使うと、旋盤加工の生産性が大幅に向上します。当社と同業の工場はどこも同じ悩みをお持ちでしたので、ネクサートは順調に売れています。18年12月には、(数値制御により複雑な切削ができる加工機)マシニングセンターの横に設置するネクサートの第2弾を発売予定です。