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社員を幸せにしたい 会社がすべきこと

Vol.5 工場の困りごとを基に開発した生産支援ロボットで成長狙う 三和ロボティクス 沢宏宣社長に聞く

伊藤ここ数年は業績が順調に伸びていますが、これまで経営の危機に直面するような場面はあったのですか。

はい、何度も苦しい状況にぶつかってきました。

90年代初めまでは、60年代に父が開拓した地元の有力メーカーからの仕事に100%依存した協力工場として伸びてきました。ところが、バブルが崩壊して経営が苦しくなったこのメーカーが経営合理化のために、協力工場に発注していた部品の内製化に舵を切りました。結果、我々、協力工場は自ら新たな仕事を見つけることを求められたのです。

先代社長である父(章好会長)は、全国に支店を作り、精密金属部品の販路開拓に努めました。同時に、当時最先端だったマシニングセンターや複合加工機を導入し、加工できる部品の種類も増やして業績を伸ばしました。

精密金属部品が売上高全体の4分の3を占める。エネルギー、産業機械、航空機、光学といった幅広い業界向けに部品を出荷している

次の危機は、10年に私が社長に就いたすぐ後でした。当時、原子力関連の金属部品の大型受注が決まりました。10年単位の長期契約で大量の部品を受注することになり、現在の工場を新たに建設しました。

ところが、11年に東日本大震災が起きると、この受注分の生産計画が先送りとなりました。震災で日本のエネルギー政策が大きく転換したためです。今日現在もいつ生産が再開できるかは、見通しのつかない状況です。またしても、会社の屋台骨を支えるような大きな仕事を失いました。

しかし、その状況をただ見ているわけにはいきません。新規開拓や営業に必死で走り回り、ある大手メーカーから受注を獲得することができました。

納期遅れ発生が
ロボット開発のきっかけ

伊藤沢社長も危機を自らの力で乗り切ることができた。

はい、おかげさまで。しかし、大きな受注ができたと安心した後が大変でした。何しろ発注ロットがこれまで経験がない大きさで、既存の社内体制ではまるで対応できませんでした。不良発生と納期遅れが頻発し、生産体制を立て直すまでお客様からの発注が半年間ストップする事態を招いたのです。お客様から「社長、何とかしてください」と叱られたことをよく覚えています。

どうしたらこれだけの量と精度を両立できるのか。知恵を絞り、作業者を助けるロボットを自社開発して生産性と精度の両立を目指すことにしたのです。10台ほどのロボットを社内で開発しました。これが成果を上げ、大口の受注をした大手メーカーに認めてもらえるようになりました。

これらの社内向けロボットのうち、成果が大きく安定して稼働しているものを製品化したのが、冒頭にお話しした「ネクサート」です。