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社員を幸せにしたい 会社がすべきこと

Vol.5 工場の困りごとを基に開発した生産支援ロボットで成長狙う 三和ロボティクス 沢宏宣社長に聞く

伊藤ロボットの製品化は自社ブランドを確立するきっかけになりそうです。

はい、ロボットの「ネクサート」には力を入れていきたいですね。

当社ではこれまで様々な製品を試しては失敗してきました。例えば、ショッピングセンターにあるエスカレーターの手すりに広告を貼る機械を作ったことがありました。しかし、東京まで売り込みやデモに行っても、まるで売れません。もともと我々にマーケティング力が乏しいので、思いつきで新製品を作ってもなかなか顧客に訴求できないのです。

ところが、ネクサートは自社内の困りごとから出発した製品です。精機事業ではそれこそ毎日のように、精度と生産性の両立に困っている(笑い)。精密金属部品を作り続ける限り、現場の悩みというネタは尽きません。こうした自分たちの悩みに裏打ちされた説得力のある製品を作り続けること。結局、これが当社の一番の強みになると気付きました。

精密金属部品の製造現場に立つ伊藤社長(左)と沢社長。2人の背後にある白い箱が社内で使っているロボット「ネクサート」。写真右端にある旋盤への材料投入を自動化できる

保険は普段からできる
危機への備え

伊藤事業承継のとき、自社株の承継について苦労はなかったのでしょうか。

私が社長になったときは、リーマン・ショックの影響で業績が悪化していました。ですから自社株の評価額は安く、株の所有権を移すタイミングとしてはよかったと思います。

伊藤御社が法人向け生命保険に加入していたのは、こうした事業承継をするときに備えていたからでしょうか。

父は以前から法人向け生命保険に加入していたので、その流れで、私も加入しています。先日の西日本豪雨のように、いつ災害が起きるのかはまったく分かりません。当社がある地域は「天竜峡」と呼ばれ、天竜川の川幅が狭くなっているところです。かつては何度も洪水を起こしています。生命保険は毎月掛け金を支払って将来の不測の事態や不安に備えるようなもの。普段から危機に備えて準備をしておかなくてはいけないと考えています。

伊藤ちょっと気が早いかもしれませんが、沢社長の後継者についてはどうお考えですか。

まだ具体的になってはいませんが、会社経営は10年後を考えて動くべきです。私にはまだ小さな娘しかいないので、どうするかを手探り中です。ただ、地域の雇用を維持するために三和ロボティクスという会社は存続しなければなりません。そのためには、社員を後継社長にすること、事業譲渡をすることも選択肢に入れ、沢一族以外への承継も幅広く考えていきたいと思っています。生命保険はこうした将来の事業承継の際には助けになりそうです。