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社員を幸せにしたい 会社がすべきこと

Vol.6 「社員の幸せが顧客を呼ぶ」社内改革で業績拡大を目指す ブルーマリンスポーツクラブ 竹花長雅社長に聞く

伊藤実績を上げたことで、経営にも自分の色が出せるようになったのではないですか。

竹花私は、経営に自分の色を出そうとは、全く意識していません。考えていることは現場の社員を幸せにすることだけであって、社内改革で自分が仕事をやりやすいように社内を変えてきたわけではありません。経営者の仕事は社員の幸せという目的のために最善の選択を続けることだけです。社員がどうしたら幸せになるかを考え、それを実行することを繰り返すだけです。

伊藤私は父が亡くなった後に日本電鍍工業を継いだのですが、実は父の後に社長となった人が結果的に会社の状態を悪化させていました。社員にも不満がたまり、私が社長に就任したときは社員が私を見る目はかなり厳しかったのです。そのため、私も就任後は、まず社員たちの声を聞くことから始めました。

竹花社員たちの声を真剣に聞くことは本当に大切です。経営者になって心がけていることは、間違った選択をして社員を傷つけないことです。経営者という立場にいると、指示の仕方一つで自分が思う以上に社員にダメージを与える可能性があります。正しい選択をするため、1人の意見でなく、必ず複数の情報を収集して判断するようにしています。

竹花社長も伊藤社長も、まず社員1人ひとりの話を聞くところから社内改革を始めた

「新施設建設は地域への恩返し」

伊藤経営改革にも成功され、業績も伸びているブルーマリンの次の課題はどんなことでしょうか。

竹花ブルーマリンの株式をどう承継するかは長期的な課題になるでしょう。先ほどお話した通り、父がこの会社を設立するときは、資金を集めるために様々な関係者に出資を仰ぎました。このため、株主の数が多いのです。

また、2019年3月に小諸市内でオープンする新店舗にかなりの投資をしたので、今後の経営をいかに安定させるかも重要になるでしょう。こうした事業継続の様々なリスクをヘッジするための手段の1つとしては生命保険を活用しています。

伊藤それだけのリスクを背負ってまで、大きな新店舗に着工しているのはなぜですか。

竹花地域の人口を増やして恩返しをしたかったからです。新店舗は3階建てで4600平方メートルの広さがあり、地元資本のフィットネススタジオとしては県下最大級だと自負しています。この施設をてこに人を呼び、地域の活性化に貢献できればと考えています。

プール、ジム、フィットネススタジオ、サウナ、岩盤浴、マッサージルームなどを完備、2階は女性専用エリアにしてボディーデザインなど女性の美を意識したトレーニングも実施します。子供向けのメニューも充実しており、忍者の訓練を参考に就学前から運動能力を鍛える「忍者9(ナイン)」というプログラムも導入します。

地域の健康増進のために、会員の病歴や血圧、コレステロール値などのメディカルデータを管理し、専門医と提携して運動療法ができる環境も整えます。

新店舗のスタジオには、プロジェクションマッピングの設備を設置し、目でも楽しく運動ができる場にするつもりです。

伊藤新施設は地域のランドマークになりそうです。オープンが楽しみですね。本日はありがとうございました。

2019年3月のオープンに向けて建設が進む、新施設の前にて

日経BP総研 中堅・中小企業ラボ所長伊藤暢人の「経営ワンポイント」

社員の「好きだから」に
甘え続けてはいけません

 2020年に向けてスポーツ関連事業は注目を集めています。サッカーやテニス、野球などの古くから人気のある競技に加え、ボルダリングやサーフィンなどの新たに採用される競技に対する関心も高まっています。本格的なプレーを目指す選手ばかりでなく、例えば元大リーガーが始めたのは英語で教える子供野球教室。野球でトップクラスになるのは大変ですが、英語を楽しみながら覚えて将来は海外で働けるようになればと、父兄からも期待が高まっているそうです。

 一方、スポーツ関連企業で働くスタッフはどうでしょうか。土日出勤は当たり前で、手弁当で大会や試合の応援などもあり、施設では1人が何役もこなす。スポーツ選手からの転職も多いので、ボランティア的に残業をしてしまう方も多いとか。もともとスポーツ好きのスタッフが多いので、それに甘えてしまい、働く環境の整備が進まなかったわけです。

 今年6月の有効求人倍率は1.62倍と、前月をさらに0.02ポイント上回っており、人手不足は深刻化する一方です。その中で、こうした働く環境ではスタッフの定着は望めません。好きだからよく働いてくれるだけでは、長続きしないのです。好きだから、長く働ける職場であってほしいという従業員の声に応える責任が経営者にはあるのです。