地元のモノを地元で生産。純粋な地場産品をお礼品にすることで地域経済への貢献度を高める

新しい寄付の形として定着したふるさと納税。しかし、一部自治体のお礼品競争が加熱し、所轄官庁である総務省は趣旨に反するお礼品の自粛を通知した。一方、お礼品競争に頼らずとも、潜在的な効果波及を実感している自治体も多い。地域活性化につながるふるさと納税のあり方を、ふるさと納税サイト『さとふる』の取締役 兼 COOの青木大介氏が語る。

東日本大震災で注目
故郷を後にした人が
育ててもらった恩返し

 2008年に応援したい任意の自治体に寄付ができる仕組みとしてスタートしたふるさと納税。開始当初は寄付額があまり多くはなかったが、東日本大震災以降、遠くにいながら寄付で地域を応援できるシステムが注目されるようになった。「ふるさと納税は財源を確保するだけでなく、地場産品のPRといった地域活性化につながる制度です。特に規模が小さい自治体では人的リソースを割くのが難しいケースが多いため、当社ではお礼品の開拓や寄付者の問い合わせ対応などのふるさと納税業務を実際に現地へ足を運びながら、ワンストップで代行しています」。そう説明するのはふるさと納税を推進する総合サイト『さとふる』を運営する、さとふる取締役 兼 COOの青木大介氏である。

 一方で、ふるさと納税のお礼品の是非を問う報道も見られている。『さとふる』ではお礼品によって地域経済の活性化・循環につながっている事例が数多くあると実感していた。そこで、ふるさと納税の目的や効果が数値により客観的に評価ができるよう、地方創生に取り組む事業構想大学院大学とふるさと納税のお礼品がもたらす地域への経済効果をテーマに共同研究を実施した。

お礼品をもらう寄付者の声から
新しいヒントが生まれ
PRや新事業へとつながる

 「研究結果では、地場産品をお礼品にしたところ、地域外から調達したお礼品より最大約6倍もの地域経済効果を生み出すことが分かりました。例えば、地元レストランの食事券をお礼品にして地場の食材を使えば、仕入れ先の農家にも経済効果が波及します。さらにそのお金で地元の人を雇えば地元の雇用促進にもつながり、地域内の経済循環が高まるのです」と青木氏。また、寄付者からは同じお礼品でも返礼割合が高いものよりも、地場産品を提供している自治体や事業者を応援したいという声が多いことも判明した。同社ではお礼品事業者と直接話をする機会も多く、“寄付者から感謝の手紙や電話をもらった”“うれしい口コミで従業員の士気が上がった”など、寄付者とお礼品事業者のつながりが見えたという。

 「あるイクラを提供する事業者では、寄付者の声を参考に個人向けにパッケージの改良を行いました。お礼品事業者には全国流通をしていない事業者も多いのですが、ふるさと納税をきっかけに新たな取り組みにつながるケースも珍しくありません」(青木氏)

Qふるさと納税によって自社の商品・製品の認知は高まったと感じますか Qふるさと納税サイトに掲載したことによる変化はありましたか。

アンケートによると、70%のお礼品事業者が「ふるさと納税により自社の商品・製品の認知が高まった」と回答。また、ふるさと納税サイトに掲載したことで、「寄付者のニーズを考えるようになった」などの変化があったという声が多く聞かれた。
出所:ふるさと納税事業者アンケート

  • 株式会社さとふる 取締役 兼 COO 青木 大介氏

    株式会社さとふる
    取締役 兼 COO
    青木 大介氏

  • お礼品をきっかけに
    地域の魅力や強みを再発見

    『さとふる』では、自治体の担当者やお礼品事業者と一緒にお礼品の開拓・開発をするお手伝いもしています。自治体や事業者にとってふるさと納税は、地域の強みや魅力を再発見する機会にもなります。歴史的資産や強みを知り、それを伝えるストーリーを考えることは地域活性化にとって重要です。それにより多くの方が地域に興味を持ち、実際に地域に訪れる機会を増やすことにもつながるのではないでしょうか。

寄付された先が見えれば地域への愛着がさらに増す