経営者のためのテクノロジー講座「AI/IoT」編 ~AI/IoT活用が生み出す新たなビジネスチャンス~

テクノロジーの進化は日本の産業界を大きく変えようとしている。人工知能(AI)によるデータ解析、あらゆる機器がインターネットでつながるIoTによるビジネス変革などの成功事例も増えてきた。テクノロジーの持つ可能性を知り、それをビジネスの力に変える。経営者に課せられた使命と期待に応えるため、日経ビジネスオンラインでは2018年4月20日に「経営者のためのテクノロジー講座」を開催した。今回のテーマは「AI/IoT」。当日は最新の技術動向や成功事例、関連ソリューションなどが数多く紹介された。

基調講演

人生100年時代の
「AI経営」を考える

株式会社エクサウィザーズ
代表取締役社長
石山 洸

医学・医療の進歩により、人生100年時代を迎えようとしている。その中で、AIをはじめとするテクノロジーが果たす役割は大きい。「大切なことは経営者がAIを理解し、利活用すること。それが企業の成長戦略に大きく影響します」とAIやロボットによる社会課題の解決を支援するエクサウィザーズの石山 洸氏は述べる。

人生100年時代に活躍するための能力として「4S」をあげる。「SENSE(取材力)」「SF(物語力)」「SHARE(発信力)」「SHIFT(実現力)」の頭文字をとったもの。「社会課題を取材し、AIなどの科学技術で課題解決の物語を増幅させる。それを発信して多くの仲間と実現するまでやり切ることです」と石山氏は説明する。

これを具現化した取り組みの1つが、介護分野でのAI利活用である。「これまで良い介護とは何かが科学的に解明されてこなかった。AIを活用した動画解析技術が向上したことで、実際に介護をしている動画をAIで検証することが可能になり、被介護者の介護拒否が生まれるメカニズム等を解明できるようになってきている」(石山氏)。

科学的に解析された認知症ケアの技法の1つにフランス生まれの認知症ケア「ユマニチュード®」がある。福岡市の実証実験では、在宅ケアを担う市民向けに同技法を学ぶための研修を実施。この結果、被介護者の認知症行動心理症状が20%低下、介護者の負担感も28%低下した。さらに、現在、この技法の普及のために「コーチングAI」も開発し、様々な場面において、介護者がどう接すればいいかをAIが教えてくれるような取り組みが始まっている。

コーチングAIを基に、人事業務サポートの「HR君」も開発。三菱UFJフィナンシャル・グループがこれを活用し、人事業務改革と働き方改革に取り組んでいるという。今後も同社はAIやロボットの開発・活用を進め、人生100年時代の「AI経営」を強力に支援していく。

特別講演

人がより幸せになる未来づくりの提言
~テクノロジーと人が協調する社会を~

株式会社hapi-robo st
代表取締役社長
富田 直美

「AIやロボットはすばらしいテクノロジーだが、あくまで“道具”です。テクノロジーが人を幸せにするのではない。人が“道具”をうまく使うことで、より幸せになれるのです」

講演の中でhapi-robo st(ハピロボ)社長の富田 直美氏はこのように述べた。同社は多くの米国企業で経営手腕を振るった富田氏の理念に支えられ、人の能力を引き出し発展・成長させるロボットの開発を推進している。そして富田氏が目指すのが、E-Trinity(自己・自然摂理・環境経済)による幸福世界の実現である。「テクノロジーによる価値を人や社会に分配し、それを環境改善につなげ、世界の永続的存続に貢献したい」と富田氏は説明する。

その実践の場の1つが、大型リゾート施設のハウステンボスだ。ロボットが接客する「変なホテル」を施設内に開設。顧客にアトラクション的な楽しさを提供するとともに、人の作業を代替・補完することで“世界一生産性の高いホテル”を実現した。

施設内に植物工場を作り、農業の効率化にも取り組んでいる。「各種センサーで野菜の生育状況をチェックし、水・肥料の散布場所や量を細かく調整しています」(富田氏)。ハウステンボスでの活動以外にも、豊富な経験と人脈を活かし、様々な分野でのロボットの活用も支援している。

「テクノロジーという“道具”を使って、一人ひとりがより幸せになれる社会を創りたい」。富田氏の主張は、私たちが目指すべき未来でもある。

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